バンド「やさしいひとたち」と、ユニット「The Super Ball」のピアノ&ボーカルとして活動する吉田理幹。周りの人たちから「やさしい」と言われることや、綺麗事が好きだという自身の考え方を受け止め、これからも音楽を紡ぎ続けていきたいと語る彼の活動のルーツに迫った。
ー吉田さんが音楽に目覚めたきっかけを教えてください。

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吉田:両親の影響が大きくて。父がギターとピアノ、母がボーカルとピアノでアマチュアバンドをやっていたこともあり、小さい頃から音楽が近くにある環境で育ったんです。気づけば自分も楽器と歌に触れていました。

ー自分で歌おうと思ったきっかけはなんだったんでしょう?

吉田:高校時代はプロ野球選手になりたいと思って強豪校の寮に入っていたんですけど、しんどい寮生活の中、お風呂で歌う瞬間がすごい幸せで。極めつけは、サッカー部が全国大会に行ったとき、選手権の曲を担当していたいきものがかりがサプライズで体育館でゲリラライブを行ったんです。それを観て、鳥肌が止まらなくて。ものすごく感動して野球どころじゃなくなってしまったんです。それで、引退した次の日にボイトレに通いだして、小さいときに習っていたピアノも再開してっていう感じですね。



ーその後、レコード会社のオーディションがきっかけで知り合った佐々木陽吾さんとThe Super Ballを結成し、2016年にはメジャーデビューを果たします。吉田さんも佐々木さんも喧嘩しないくらい温和な性格だとインタビューで語っていますが、ぶつかり合いたいみたいな気持ちはないですか?

吉田:真面目と言われることが嫌な時期はありました。「売れる人って尖っているんだよね」っていろいろな人に言われたし、納得できるんですよ。自分も陽吾さんもダメなのかなと思ったりもしたんですけど、ここまで活動を続けてきて、それが強みなんだから活かせる音楽をやり続けたらいいんだよって自分たちで思えるようになりました。



ーそんなThe Super Ballの活動と並行して、どうしてやさしいひとたちというバンド活動も始めようと思ったのでしょう?

吉田:2年間ぐらい悩んでいたんです。The Super Ballで何をやったらいいのか、どうしたらもっと広がるのか分からなくなり、ゴールが見えなくなってしまった時期があって。もともとバンドへの憧れがあったし、何か環境を変えてやることで違った発見もあるかなと思ったときに、新しい挑戦をすることで、いろいろな引き出しを作れたり成長できたらいいなと思って始めました。

ーバンド名の由来は?

吉田:自分の1番の長所ってどこだろうなと人に訊いたりもしたんです。そしたら、「やさしい」って言われることが多くて。やさしいだけの男が嫌で、もっと尖って生きたいとか、ちょっと悪い部分を見せたいと思う時期もあったんですけど、無理に着飾っても嘘がバレてしまうと思うようになって。周りもそう言っているし、自分もそう思うので、やさしいひとたちであろうと思うようになったんです。

ー女性目線からの歌詞が多いですが、客観的に見ると報われない恋だとしても、それを信じ続けるようなものが多い印象を受けます。

吉田:たぶん自分は綺麗な事が好きで、綺麗なものを綺麗と思いたい人間なんです。もちろん、そんな綺麗事を言われても……と思う人もいっぱいいるから、迷っていた時期は、もっと尖った方がいいよなと思いながら歌詞を書いていました。でも、自分が言いたいことがやさしさだったりするので、ようやく思っていることと歌詞が一致したというか。10割の人にいいと思ってもらおうと考えていたんですけど、コロナ禍を経て、1割の人に深く刺すってことが、自分が音楽を続けていくために必要なことなんだと思い始めました。



ー最新楽曲は「ストロング缶」と、インパクトのあるタイトルですよね。

吉田:「ストロング缶」は代名詞的な曲になればいいなと思って作った曲で。メンバーの脱退もあったりしてすごく悩んでいたときに、「あーなかなか上手くいかないな、難しいな」って1人でストロング缶を飲んでいたんですね。こんな悔しい想いだったり、上手くいかないよなって想いは、9%じゃ足りないってことを歌っている曲なんです。



ー吉田さんはメロディにも強いこだわりを持っていますよね。

吉田:いろいろな音楽の聴き方があると思うんですけど、自分は最初から歌詞がスッと入ってくるタイプではなくて。まずはいいメロディかどうか、そして聴き心地のよさで好きになるんです。なので、まずはいいメロディを作りたい。小さい頃から、父と母の影響もあり、家で洋楽がすごく流れていたんです。歌詞は分からないけどこのメロディすごくいいなとかワクワクしていたのも影響は大きいのかなと感じています。

ーちなみにどんな洋楽を聴かれていたんでしょう。

吉田:マイケル・ジャクソンの「Man in the mirror」が大好きで。あとはスティーヴィー・ワンダーの「Isn‘t She Lovely」はカラオケでよく歌います。そのほかにも父がイーグルスやエリック・クラプトンのライブDVDとかたくさん持っていて。それを観たりもしていましたし、さまざまな音楽を聴いていました。

ーThe Super Ballではコーラスが強い武器だと思うんですけど、ボーカルにおけるこだわりはどんなところにお持ちですか?

吉田:大学時代に、ゴスペラーズさん出身のサークルでアカペラをやっていたんです。なので、ハモるのもすごく好きで。活動していく中で相方の陽吾さんもコーラスするのを好きになってくれました。お互いの声を支え合う瞬間、その感覚がものすごく気持ちいいので、そこはマストで曲を作っていますね。

ー吉田さんにとっての今後の夢を教えてください。

吉田:大きな会場でライブしたいという想いは忘れたことがなくて。武道館だったり、アリーナクラスで必ずライブをしたい。やさしいひとたちでも、The Super Ballでも、できるようにするのが今の一番の夢です。コロナ禍になってから考えが変わって。今まで何人に届くかみたいなところばかり考えていたんですけど、例えば100人に深く刺して、それを何年もやり続けることに価値を強く感じるようになりました。なので、とにかくやりたいことを長く続けたい。おじいちゃんになっても歌い続けるのも1つ大きな夢ですね。


<リリース情報>



やさしいひとたち
『ストロング缶』
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