『炎のランナー』『ブレードランナー』の映画音楽を手がけたギリシャ出身のシンセサイザー奏者/作曲家、ヴァンゲリスが5月17日に亡くなった。享年79。彼の個人事務所からの声明で明らかになった。死因は明らかにされていないが、ギリシャの地元紙によると、新型コロナウイルスの治療を受けていたフランスの病院で亡くなったという。

1943年に生まれたヴァンゲリス(本名:エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ)は、ほとんど独学で音楽を学び、高校時代からプロ・ミュージシャンとしての活動を開始。1963年に最初のバンド、フォーミンクスを結成する。1968年には母国を離れてパリに移住し、プログレッシブ・ロック・バンドのアフロディテス・チャイルドを結成。ヒット曲「Rain and Tears」(邦題:雨と涙)で知られ、1972年の大作『666』など3枚のアルバムを発表した。

その後はソロ活動を本格化させ、電子音楽の先駆的なアルバムをリリースする一方で、1970年代には映画音楽の分野にも進出。フランスの映画監督フレデリック・ロッシフのためにドキュメンタリーの音楽を制作し、アメリカで成功を収めたことが80年代の飛躍につながった。また、1974年にはリック・ウェイクマンの後任として打診されたイエス加入を断る一方で、同バンドのボーカリストであるジョン・アンダーソンと交流を深め、1979年に音楽ユニット「ジョン・アンド・ヴァンゲリス」を結成。3枚のアルバムを発表している。

1981年の映画『炎のランナー』の音楽で第54回アカデミー賞作曲賞を受賞。象徴的なテーマ曲に後押しされ、同年のビルボードアルバム及びシングルチャートで1位を獲得。リドリー・スコット監督の映画『ブレードランナー』(1982年)とともに代表作となる。スコット監督とヴァンゲリスは、後に1992年の『1492 コロンブス』で再共演している。日本では公開当時の邦画史上1位となった大ヒット作『南極物語』(1983年)のサウンドトラックや、日韓同時開催となった2002 FIFAワールドカップの公式アンセムを手がけたことでも話題となった。

From Rolling Stone US.


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