ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ被告にかけられていた強姦及び性的暴行容疑に関し、スウェーデン当局が捜査を打ち切ったとニューヨーク・タイムズ紙が伝えている。

スウェーデン検察局のエヴァ・マリー・ペーション副長官は決定についてこう述べた。「起訴に持ち込むには証拠が十分ではありません。こうした状況では予備調査は打ち切るべきです。今回もそうした判断です」

容疑は2010年、2人の女性がそれぞれ個別にアサンジ被告を性的暴行で訴えたことにさかのぼる。2人の話は共通していて、最初は同意の下で行為に及んだものの、やがて強制的になり、しまいには暴力をふるわれたと言う。結局アサンジ被告は不法強要罪と強姦罪、2件の性的虐待の合計4件で告発された。アサンジ被告は不正行為はなかったと否定した。

警察の事情聴取の後、アサンジ被告はスウェーデンを出国して渡英。スウェーデン検察は、弁護団から逮捕間近と聞かされた被告が国外逃亡したと判断した。アサンジ被告はその後2年に渡り強制送還に抵抗したが、最終的にロンドン市内のエクアドル大使館に亡命申請を余儀なくされた。被告に対する容疑によって、ウィキリークスをめぐる国際騒動も激化。一時期アサンジ被告は、起訴はウィキリークスを潰そうとするアメリカの陰謀だと仄めかし、弁護団は被害者といわれる女性たちを「おびき寄せるための囮」と呼んだ。

2017年にスウェーデンの捜査当局は捜査を打ち切ったが、その理由はひとえに、大使館にいる間はアサンジ被告に正式な逮捕状を通達することができないからだった。当局は、もしアサンジ被告に近づけるようになれば捜査を再開すると付け加え、実際に今年4月エクアドル側がアサンジ被告の亡命を却下して大使館から被告を退去させ、イギリス当局による逮捕を許可すると、スウェーデンも捜査を再開した。

ペーション副長官は、捜査再開後スウェーデン当局は新たに2名の人物に事情聴取を行ったと述べた。また、告発した女性たちの証言には矛盾する部分もあったものの、2人とも信頼に足る人物であるとも述べた。ガーディアン紙も指摘している通り、6月にスウェーデンの裁判所がアサンジ被告の強制送還を却下する裁定を下したため、捜査は暗礁に乗り上げていた。

「証拠能力が弱まり、これ以上捜査を続ける理由が見当たらなくなったというのが私の総合的な判断です」とパーソン副長官。

大使館から退去させられて逮捕された後、アサンジ被告はアメリカ送還の可能性を審議する聴聞会を待つ間、今も留置所に勾留中。諜報活動取締法違反で17件の容疑がかけられている。現時点では、審問会は来年年明けに予定されている。