プレミアリーグ第30節が31日に行われ、日本代表のキャプテン、MF遠藤航(31)が所属するリバプールが2−1でブライトンに逆転勝ちした。開始2分に先制されたリバプールは27分にコロンビア代表FWルイス・ディアス(27)が同点弾を、後半20分にはエジプト代表FWモハメド・サラー(31)が逆転弾をゲット。アンカーで先発した遠藤はフル出場を果たし、逆転劇を縁の下で支えた。続けて行われたマンチェスター・シティ対アーセナルが0−0で引き分けたため、リバプールがアーセナルを抜いて残り9試合で首位に再浮上した。

2−1の逆転勝ちでリバプールは首位に浮上

目立たないけど絶対に欠かせない。遠藤が安定感あるプレーで勝利に貢献した。
前半のキックオフからわずか2分で、腰痛で長期離脱中の日本代表FW三笘薫(26)を欠くブライトンが先制ゴールを一閃。まさかの立ち上がりとともに目を覚ましたリバプールが、ホームのアンフィールドに駆けつけたファン・サポーターを熱狂させた。
まずは27分。右CKのこぼれ球をサラーが頭で前線へつなぎ、オフサイドぎりぎりで飛び出したディアスが必死に伸ばした右足でボレー。同点ゴールを叩き込んだ。
後半20分には右タッチライン際に開いたインサイドハーフ、ドミニク・ソボスライ(23)が中央にポジションを取るもう一人のインサイドハーフ、アレクシス・マクアリスター(25)へペス。トラップした背番号「10」は素早く縦へパスを供給し、右側から走り込んできたサラーがトラップからさらにボールを前へ運びながらゴール左へ流し込んだ。
今シーズンで6度目となる逆転勝利を手にした瞬間に、リバプールはプレミアリーグの暫定首位に浮上した。選手採点を伝える英国メディアは、ゴールした2人ではなく、決勝点をアシストしたマクアリスターに軒並み高い評価を与えている。
例えばリバプールの地元メディア『Anfield Watch』は、マクアリスターに10点中で極めて珍しい満点をつけた上で次のように称賛している。
「アルゼンチン代表選手は、あらゆる面で素晴らしかった。ボールをうまく奪い、ポゼッションに何度も関与し、あらゆるエリアからシュートを放つ。主審のデイビッド・クートの無能さのおかげで開始早々の13分にイエローカードをもらったのは不運だったが、それでも彼はピッチ上で最高の選手であることを最後まで止めなかった」
同国の公共放送『BBC』も、視聴者の投票で選ぶ「プレイヤー・オブ・ザ・マッチ」にマクアリスターを平均採点「8.51」で選出している。もっとも、ここで見逃せないのが、ディアスの「8.10」に続いて遠藤が「7.65」で3位にランクインし、公式戦で3試合連続ゴールとなる逆転弾を決めたサラーの「7.60」を上回っていた点だ。
マクアリスターに満点の「10」をつけた前出の『Anfield Watch』も、遠藤に及第点の「7」をつけた上で「彼は中盤に君臨する戦士であり、守備面で常にチャレンジしている」と評価した。中盤の底で相手ボールを奪い、怯まずに相手の攻撃を潰す姿が「戦士」として映り、雄々しいプレーの数々が「チャレンジ」として受け止められた形だ。
地元紙の『Liverpool Echo』も、選手採点で遠藤に「7」をつけている。
「序盤の攻防ではスピードのあるブライトンのカウンターへの対応に苦しめられたが、時間の経過とともに順応したからか、すぐにタックルを仕掛けるようになった。後半はさらにプレッシャーを強めて、守備面でもヘディングによるいいクリアが続いた」

象徴的だったのは後半8分。右ウイングバックに入ったガーナ代表DFタリク・ランプティ(23)にカウウターを発動された場面で、左タッチライン際で追走した遠藤がランプティに追いつき、ファウルなしでボールを奪取。味方の攻撃につなげている。
リバプール専門メディアの『LIVERPOOL.COM』も遠藤に「7」をつけている。
「ピッチの中央で強烈なタックルを何度か披露し、相手の脅威であるダニー・ウェルベックの前で何度かスクリーンとしての役割を果たした。タイミングを間違える場面がいくつかあったものの、プレーそのものは試合を通して安定していた」
この「安定」の二文字こそが、遠藤が必要不可欠となっている理由となる。
昨シーズンのプレミアリーグで5位に甘んじたリバプールは、中盤の総入れ替えを行った。オフの間にアルゼンチン代表のマクアリスターをブライトンから、ハンガリー代表のソボスライをライプツィヒから獲得。さらに開幕直後には、当時30歳という年齢を含めて周囲から懐疑的な視線を向けられながらも日本代表の遠藤を獲得した。
トップチームに昇格して2シーズン目を迎えていた期待の星、スペイン出身のステファン・バイチェティッチ(19)が負傷で長期離脱を強いられたなかで、今シーズンの前半は中盤の最適解を探すのに試行錯誤した。しかし、プレミアリーグとリバプールでのプレーに順応した遠藤が、アンカーに定着した昨年12月以降で潮目が変わった。
それまでアンカーを務めていたマクアリスターが、インサイドハーフとして攻撃的なセンスを存分に発揮。ユルゲン・クロップ監督(56)が「リズムを作り、違いを生み出し、試合の一瞬、一瞬のコントールできる」と称賛するマクアリスターが、ソボスライとともに躍動しているのも、後方で遠藤が重厚な存在感を放っている状況と無縁ではない。
国際Aマッチデー期間明けのブライトン戦へ向けて、クロップ監督はリバプールの公式HP上で、逆三角形型で組む新たな中盤に関して次のように言及している。
「昨シーズンを終えて、われわれはかなりの再編成を行った。その結果、マシンルーム、つまり中盤はまったく新しい顔ぶれになった。遅れて6番(遠藤)が加入し、さらなるアイデアを生み出さなければいけなかった状況で、確かにシーズンが始まる前の段階では何もわからなかっただろう。それでもわれわれは一緒に道を見つけたんだ」

指揮官が言及した「道」こそが、デュエルにおける無類の強さを含めた遠藤のハードワークを土台に、マクアリスターとソボスライが攻撃力を融合させる新たな組み合わせだった。遠藤自身もリバプールでの日々に、満足感をにじませながらこう語っていた。
「求めている環境に身を置けている、という感じですね」
リバプールでの過密日程が考慮され、3月21日に国立競技場で行われた北朝鮮代表との北中米W杯アジア2次予選は後半13分からの途中出場だった。先発が予想された26日のアウェイでの北朝鮮との再戦は、北朝鮮側のドタキャンもあって最終的に没収試合となり、日本が3−0で不戦勝した。遠藤としては休養十分でリバプールに戻った形だ。
日本時間1日未明に行われたマンチェスター・シティ対リバプールがスコアレスドローに終わった結果、リバプールが単独首位に浮上した。2位に後退したアーセナルとの勝ち点差は2ポイント、3位のマンCとは同3ポイントとなって残り9試合を迎える。
もちろんまだまだ予断を許さない戦いが続くなかで、リバプールは追いすがるアーセナルとマンCとの直接対決をすでに終えている。4シーズンぶりとなるプレミアリーグ制覇へ。遠藤が黒子に徹するほど強さを増すリバプールが、チームの生命線を担う中盤の完成度を高めながら、5月19日の最終節まで続く正念場の戦いに挑もうとしている。