ヨーロッパで今年あった二つのスポーツの祭典が、県勢の夏のドラマの舞台となった。ロンドンのパラリンピック世界陸上とトルコで開催されたデフリンピックだ▼パラ陸上の上与那原寛和選手の活躍は特筆に値する。20代の選手に混じって、46歳のベテランが躍動した。車いすT52の男子400メートルと1500メートルで銅メダル2個を首にかけ、健在ぶりを示した

▼レースでは車輪の走りの感覚を確認しながら、タイヤの空気圧を微調整し、メダルにつなげた。状況判断の的確さは五輪など大舞台を経験する勝負師ならでは。衰え知らずの走りは、今大会の日本男子で最高齢メダリストにつながった

▼デフリンピックでは、バレーボールの高良美樹選手が金メダルを獲得した。リベロとして全試合に出場し、2日に那覇空港に凱旋した際は家族や仲間ら大勢が祝福した

▼そのデフリンピック。五輪と同時開催される「パラ」に比べ、知名度はいまひとつ。全日本ろうあ連盟は啓発活動にも力を入れていく方針で、今回の過去最多の27個のメダルがその契機になればと願う

▼高良選手は祝福の輪の中で「沖縄に夢と勇気を与えることができた」と笑顔を見せた。出迎えの関係者の表情が、目標に挑む選手と支える仲間で感動を共有できることを表していた。努力の持つ力は普遍的な価値がある。高良選手の軌跡がそれを証明した。