県民の安全を一顧だにしない米軍は許し難い。墜落事故直後に同型機の飛行再開を後押しする日本政府は、さらに許せない。 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの豪州での墜落事故からわずか2日後、オスプレイが県内で飛行を再開した。

 当初は、米軍が日本政府の飛行自粛要請を無視し、飛行を強行したとみられていた。だが、そうではなかった。政府は「運用上必要なものを除く」との条件を付けていたのである。これでは、飛行再開を米側に促したも同然だ。

 米側が「運用上必要だ」として自粛要請を拒否することを、政府は分かっていたはずだ。県民の安全など、政府は何ら考えていないということにほかならない。

 米軍嘉手納基地と普天間飛行場を対象とする騒音規制措置(騒音防止協定)が形骸化しているのは、米軍の運用を最優先する内容になっているからである。

 米軍が「運用上必要」とすれば、米軍機の飛行に何ら制限はない。米軍はこの間、深夜・早朝にも飛行を繰り返し、騒音は軽減されていない。政府の申し入れが飛行自粛を目的にしていたならば、米軍に都合のいい条件を付けることなどあり得ない。

 気脈を通ずる日米両政府が「運用上必要なものを除く」との条件を意図的に付けた可能性がある。「日米共犯」の飛行再開は看過できない。強く抗議する。

 オスプレイの飛行再開の口実を米側に与えていたことを直ちに説明しなかった小野寺五典防衛相の姿勢は不誠実極まりない。小野寺氏が国内での飛行自粛を米軍に求めたのは、要請自体が目的だったと疑わざるを得ない。

 小野寺氏はオスプレイの飛行再開を受けて「多くの心配がある。懸念がある。自粛を求めていく考えに変わりはない」と述べた。懸念があるなら飛行中止を求めるべきだ。オスプレイの飛行再開に不快感を示すどころか、「引き続き安全面に最大限配慮するよう求めていきたい」として、飛行再開を容認している。

 国民の安全を第一に考えるのが防衛相のあるべき姿だろう。小野寺氏はその対極にいることを自覚すべきである。

 在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官は富川盛武副知事の抗議に「オスプレイは世界中で飛んでいる」として、国内飛行自粛は必要ないとの認識を表明した。普天間飛行場所属のオスプレイは昨年12月にも、最も重大な「クラスA」の墜落事故を起こしている。県民に大きな不安を与えている当事者との認識がニコルソン氏にあるのだろうか。

 ニコルソン氏は「沖縄の人たちの憤りはよく分かる」とも述べた。憤りを理解しても、飛行を再開するのが米軍である。この状況を放置しては、県民の安全は守れない。政府は沖縄で米軍を最優先する姿勢を改めるべきだ。