これでは、ご都合主義と言わざるを得ない。 2017年版防衛白書の沖縄関係の内容は、米軍北部訓練場の過半返還など「沖縄の負担軽減」を強調する一方、昨年墜落したにもかかわらずMV22オスプレイは「安全性に問題ない」と記述するなど、実態と懸け離れている。

 昨年12月、名護市安部の海岸に墜落したオスプレイの事故について「不時着水事故」と表記した。米大手のAP通信、英ロイター通信、保守系FOXニュース、米軍準機関紙「星条旗」、米海兵隊専門誌「マリンコータイムズ」などは事故を「墜落」と報じているのに認めていない。

 今年4月から6月までに発生したオスプレイを含む米軍機による緊急着陸が7回発生したことにも触れていない。県民が日々、米軍の訓練によって危険にさらされているのにである。

 日米特別行動委員会(SACO)最終報告にも触れているが、SACO合意に違反する嘉手納基地の旧海軍駐機場の使用についても触れていない。国家間合意が守られていないことを無視するのでは報告の体をなしていない。

 一方、北部訓練場の過半の返還について「沖縄の本土復帰後最大」と成果を強調している。しかし、返還に伴って新設されたヘリパッド6カ所は、東村高江集落を取り囲んでいる。昨年6月に先行提供したN4地区のヘリパッドで連日、オスプレイが午後10時以降に離着陸を繰り返した。その影響で睡眠不足に陥った児童らが学校を欠席する事態を招いた。これでは負担が軽減されるどころか、増す一方である。

 強引にヘリパッドを建設したことを正当化し、市民による反対の意思表示を「妨害行為」と位置付けた。最高裁が翁長雄志知事による埋め立て承認取り消し処分について「違法であるとの判断を示した」と明示するなど、国による工事推進も正当化した。

 米軍属女性暴行殺人事件を受け、日米地位協定で身分が保障される軍属の範囲を明確にする補足協定を締結したことを記載している。政府は協定締結を「画期的」と自賛したが、その効果が出ているかどうか不明である。

 ご都合主義は国連平和維持活動(PKO)にも及んでいる。安保法に基づく新任務「駆け付け警護」に触れたが、南スーダンPKO部隊が昨年7月、首都ジュバで「戦闘が生起した」と日報に記したことには言及していない。

 昨年秋、この日報の情報公開請求に対して、廃棄したとして非開示にしたが、今年2月に一転公表した経緯が書かれていない。

 白書は北朝鮮を巡り、核・ミサイル開発進展への危機感を強調した。しかし自衛隊の文書管理の問題と文民統制が機能していないことが問われた事案に触れないのでは、白書そのものの信頼性を損ねてしまう。