星空の目印で「夏の大三角」「冬の大三角」はよく知られていて、小学校でも理科の学習で学びます。これらは、明るい1等星で作られる大きく見事な夜空の三角形です。学校では履修しませんが、春にも似た目印があり「春の大三角」といいます。多くの星座解説書でも紹介されていますから、星の好きな方にはこれもおなじみでしょう。春の大三角は、うしかい座の1等星アルクトゥルス、おとめ座の1等星スピカ、しし座の2等星デネボラでできる、とっても大きな正三角形です。しかし、2等星のデネボラが頂点のひとつなので、夏や冬の大三角と比べるとやや見劣りがします。

 ところで不思議なことに「春の大三角」は、西洋ではほとんど知られていません。この三角形は、元は米国の天文普及誌の中で「おとめ座の三角」と表現して提案された(1946)ことが切っ掛けとなっています。しかし、本家の米国では普及せずに日本で定着しているという面白い歴史があります。

 また、これも日本で広く紹介されている夜空の目印に「春の大曲線」があります。実はこれも近年に誕生した和製造語です。生みの親は著名な天文学者の鈴木敬信氏(1905―1993 東京学芸大学)で、日本国内で受け入れられて普及しました。

 「春の大三角」「春の大曲線」を見やすい季節です。ちょっと外に出て探してみませんか。

 文・早水勉(佐賀市星空学習館副館長)

 イラスト・橋本章斗(同館)

 

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