昔、鳥と獣が争いをした。コウモリは鳥が優勢な時は「私は翼があるから」と鳥の味方につき、獣が優勢な時は「私は全身に毛が生えているから」と獣の味方についた。鳥と獣が仲直りした後、コウモリは仲間外れにされ、洞窟で暮らすようになったという。イソップ物語の「ひきょうなコウモリ」のお話だ。一方、「みにくいアヒルの子」のように、見た目が違うというだけで仲間外れにされてしまうお話もある◆組織や集団の中で、ルールを守らない人、みんなになじめない人は「排除」されがちだ。ただ、多様性が尊重されるべき社会で、「排除の論理」はあってはならないものだろう◆ふるさと納税訴訟で最高裁はきのう30日、大阪府泉佐野市を新制度から除外した国の決定を取り消す判決を下した。泉佐野市の逆転勝訴である。高額な返礼品で多額の寄付を集めた泉佐野市は「ひきょうなコウモリ」と批判されても仕方ない面はある。だからといって「排除」するのはどうかということだ◆「小の虫を殺して大の虫を生かす」という言葉がある。多くの命を守るために少数を犠牲にする。非常時でも、そんな究極の選択を迫られることは悲しい◆理想は「大の虫を生かして小の虫も生かす」だ。小さな声に耳を傾け、みんなが一つになれる解決策を模索する。そんな政治であってほしい。(義)