今回からシリーズでお届けします、【ユータアニキの鉄道散歩】! 関東近郊の鉄道系ミュージアムなどの鉄道スポットを周って、その魅力と楽しみ方を鉄道愛全開で濃〜くお伝えしていきたいと思います! シリーズ化前の小田急電鉄『ロマンスカーミュージアム』に続きまして、記念すべき第1回にお邪魔したのは京王電鉄の『京王れーるランド』! じつはかねてから行きたいと思いつつ、「ちびっこ向けコンテンツも多そうだし、息子が生まれたら一緒に行きたいから、とっておくか……」と、まだ行ったことがなかった場所でした。が、息子と行く前に結局、父1人で行ってしまう結果に。でも、ほら、下見ということで(笑) 許せ!息子よ!!

京王線多摩動物公園駅からすぐ

さて、『京王れーるランド』へは当然京王線が便利! 最寄り駅となる多摩動物公園駅へは新宿から特急で30分ちょっとの高幡不動駅で京王動物園線に乗り換えて1駅。高幡不動駅で列車を待つと、なんとピンク色の列車が入ってきた! 動物園線には専用のラッピングをした車両が運行されており、乗るだけでワクワク度を増大させてくれる! 車内外には京王のオリジナルキャラクターの「けい太くん」をはじめ、たくさんの動物や仲間たちが出迎えてくれるぞ!

動物園線特別仕様の7000系で多摩動物公園駅へGO!
動物園線特別仕様の7000系で多摩動物公園駅へGO!
車内にも楽しいラッピングが!
車内にも楽しいラッピングが!
車両の端部もこの通り。
車両の端部もこの通り。

『京王れーるランド』のエントランスは多摩動物公園駅を降りてすぐ左手。右手には『多摩動物公園』、『京王あそびの森 HUGHUG<ハグハグ>』があり、一大レジャー拠点となっていて、この3施設をハシゴして遊ぶファミリーも多いそうです。
改札を出る前の右手にはおむつ替えベッドや子ども用トイレを備えた綺麗なだれでもトイレも完備しているのも、遊びに行く前にはとっても嬉しいポイント。こうした施設は実際に子どもと出かけるようになって、その重要性とありがたさ……身を持って知るようになりました。

駅名標もスペシャル仕様の多摩動物公園駅。
駅名標もスペシャル仕様の多摩動物公園駅。
お楽しみ前の支度にもうれしい、かわいいトイレ。
お楽しみ前の支度にもうれしい、かわいいトイレ。

スケルトン仕様の自動改札機からいざ入館

まさに「駅併設」の『京王れーるランド』。
まさに「駅併設」の『京王れーるランド』。

さあ、いよいよ『京王れーるランド』に入りましょう! 今回館内を案内していただいたのは、『京王れーるランド』の主任 秋田賢一郎さん。長らく車掌さんとして京王線に乗務されていたお方です。

ご案内いただいた秋田賢一郎さん。京王が誇る名車5000系と共に。
ご案内いただいた秋田賢一郎さん。京王が誇る名車5000系と共に。

秋田さんと共に館内に入ると、目の前には本物の券売機と自動改札機! どちらも実際に駅で使用されていたものを移設してきています。自動改札機は一部分がスケルトン仕様に改造されており、中の仕組みを観察することができます。しかも、『京王れーるランド』は一日中入退館自由! 何度でも心ゆくまで自動改札機を通ることができちゃいます!

交通系ICカードで購入も可能な入館券販売機。
交通系ICカードで購入も可能な入館券販売機。
自動改札機ももちろん本物!
自動改札機ももちろん本物!
一瞬で機内を通り過ぎていく入館券を見逃さないで!
一瞬で機内を通り過ぎていく入館券を見逃さないで!

実車の京王バスも展示。降車ボタンは押し放題。

『京王れーるランド』は2階建ての本館と屋外展示場、そしてアネックスの3部構成。まずは本館1階を見ていきましょう。自動改札機を抜けるとちっちゃな京王バスが展示されています。こちらの小さいバスももちろん実車で、1996年から2012年まで活躍した「超低床小型バス日産ディーゼルRN210CSN」という車両。

超低床小型バス日産ディーゼルRN210CSN
超低床小型バス日産ディーゼルRN210CSN

コンパクトなので小道でも進んでいけるため、地域により密着した路線で活躍しました。車内に入ることもでき、運転席にも座れちゃうし、「降車ボタン」も押し放題!! これはちびっ子にはたまりません! いや、僕も小さい時から車内いろいろなところに取り付けられた降車ボタンを押すのが大好きだったので、僕もたまりません!!
なんか、「え、こんなところにもボタンついてるの!?」って場所見つけるの、楽しくないですか!?

ウインカーも光る。
ウインカーも光る。
降車ボタンも押し放題(でもていねいにやさしく押そうね!)。
降車ボタンも押し放題(でもていねいにやさしく押そうね!)。

バスの向かいにはHOゲージの「ジオラマ展示」。 京王線の各列車が沿線を再現したジオラマの中を走ります!見ているだけでも楽しいですが、1回100円で5分間実際に使用されていた運転台の機器を使って模型を自由に運転することもできます。

HOゲージが走るパノラマ展示。
HOゲージが走るパノラマ展示。

実車カットモデルを使った、雰囲気マシマシの体験コーナーもあるぞ

そして並ぶようにしてあるのが、「運転体験」シミュレータと「車掌体験」のコーナー。どちらも6000系のカットモデルが使用されているのですが、このふたつは元々ひとつの編成だったもの。運転体験シミュレータの「6722」は新宿方、車掌体験の「6772」は京王八王子方の先頭車で、6000系で最後まで現役で活躍していた編成なのです。晩年は4両編成で動物園線で活躍していました。
「車掌体験」では実際の乗務員室に入り、ドアスイッチを操作し、乗降ドアを開閉することができます!もちろん、安全対策が施されているので小さな子どもでも安心して遊べます!

さすがは車掌さんだった秋田さん、立ち姿、手さばき共に美しい!
さすがは車掌さんだった秋田さん、立ち姿、手さばき共に美しい!
そして僕もやってみた。やっぱドアスイッチって楽しいよね。
そして僕もやってみた。やっぱドアスイッチって楽しいよね。

そして、お待ちかね「運転体験」シミュレータです! 150インチのスクリーンに映し出された映像を見ながら、信号、標識、制限速度を守って6000系を運転していきます。
現在の京王線では車内信号方式(ATC)が採用されていますが、この6000系シミュレータは線路側に備え付けられている信号機に従って運転する、ATS時代の京王線を運転することができます。ちなみに『れーるランド』には、ほかにも小型の運転体験シミュレータがあり、こちらは井の頭線1000系と京王線8000系、9000系の運転台計3台があります。こちらはどれも現役車両ということでATCが採用されているので、異なる2つの保安システムで運転体験をすることが可能です。

本物の(しかも最後まで現役で活躍していた)6000系運転台で運転できる「運転体験」。
本物の(しかも最後まで現役で活躍していた)6000系運転台で運転できる「運転体験」。
京王電鉄のスマートな乗務員室が子どものころから大好きでした!
京王電鉄のスマートな乗務員室が子どものころから大好きでした!
ATS時代の京王線なので線路横に信号機があるぞ。
ATS時代の京王線なので線路横に信号機があるぞ。

6000系シミュレータは1回300円。初級〜上級の3つのレベルに分かれています。運転に自信がないという方も、大丈夫。ここにも京王線の運転を知り尽くしたレジェンド係員さんが、優しく丁寧に運転動作を教えてくれます。

やさしく運転を教えてくれた鈴木さん。運転のプロ中のプロです!!
やさしく運転を教えてくれた鈴木さん。運転のプロ中のプロです!!

今回僕が体験したのは「中級」。元運転士さんの鈴木さんのご指導のもと、6000系を操作していくと……なんと100点が出ましたー!!でもこれは僕がすごいのではなくて、鈴木さんのご指導の賜物です。
運転中も「ここが昔の調布駅の名残で」、「この標識で62キロくらいになるので、ここで加速を止めますよ」と、きめ細かく豆知識込みで運転を教えてくれます。使われている映像はATS時代に実際に使用されていた運転士さんの訓練用のシミュレータ映像と同等のものだそうです!

鈴木さん、ありがとうございます! 100点出ました!
鈴木さん、ありがとうございます! 100点出ました!

対応力試される! 鉄道好きも唸る「上級編」。

「上級」は実際に他社の運転士さんがやりにくることもあるほどの本格派。シチュエーションが5つに分かれており、夜や雨、ラッシュ時間帯など、よりリアルな条件が体験できます。中でもコアなファンを楽しませているのが「回生失効」が発生する点。
これはモーターを発電機にして架線に電気を戻しつつ、ブレーキをかける「回生ブレーキ」時に、電力が発生しすぎた際などに発生する事象で、若干制動距離が伸びてしまうんです。これが上級では唐突に起こるそうで、その対応力が試されます。
「回生失効があると聞いて関西からやってきたお客さまもいらっしゃいました」というほどファン心をくすぐっているそう。 『京王れーるランド』はどちらかと言えばちびっこ向けのイメージでしたが、大人でもがっつり楽しむことができます!

こちらはATC仕様の無料で楽しめる小型シミュレータ。
こちらはATC仕様の無料で楽しめる小型シミュレータ。
速度計の周りの矢印がATC信号で、他社のそれとはちょっと違う特徴的なATC表示が経験できます。
速度計の周りの矢印がATC信号で、他社のそれとはちょっと違う特徴的なATC表示が経験できます。

フォトスポットが本物!?

一番奥には5000系の前面部を使ったフォトスポットがあるのですが、ここで秋田さんがボソリと一言。

「これ、本物なんです」

たしかにリアルだし、これまで見てきた6000系やバスも本物なので、なにも不思議ではないのですが、続けて秋田さんが発した言葉に思わず驚愕!

これ、本物の「部品」なんです。必要になった際は奥のシャッターから搬出されるそう。
これ、本物の「部品」なんです。必要になった際は奥のシャッターから搬出されるそう。

「実はこのパーツは展示品でありつつ実際の部品ストックでして……運行中の5000系に何かがあってこの部品を使うことになったら、このフォトスポットはなくなります」

って、えーっ、マジですか!! 確かにリアルだし、5000系は現役最新鋭車両なので、実車のカットモデルとかではないと思ってましたが、まさか実際の部品ストックを展示しちゃうとは……こんなの聞いたことないですよ、『京王れーるランド』さん!

2階にあがるエレベーターにも遊び心

続いて本館2階に上がりましょう。ここでも秋田さんのアドバイスが。「エレベーターにも階段にもちょっとしたお楽しみ要素があるので、それぞれを使って行き来してみてくださいね!」ここでその内容を書いてしまうとネタバレしちゃうので、気になる方は実際に行って確かめてくださいね! エレベーターは「音」に注目ですよ!!

ネタが詰まったエレベーター。ぜひご体験あれ!
ネタが詰まったエレベーター。ぜひご体験あれ!

親子でニッコリのコーナー充実、本館2階

2階は京王線と井の頭線の車両で遊べる「プラレールで遊ぼう」コーナーと「アスれーるチック」、休憩コーナーがあります。2021年9月現在、2階の両コーナーは整理券方式での入れ替え制になっています。整理券は1階のインフォメーションでもらうことができ、プラレールは40分、アスれーるは20分ずつの区分になっています。
どちらも無料で楽しめるということもあり、ちびっこたちに大人気。

「プラレールで遊ぼう」「アスれーるチック」「運転体験」はそれぞれ整理券制なので、入館したらまずインフォメーションで整理券をもらうのが吉。

3歳から8歳までが遊べる「アスれーるチック」。
3歳から8歳までが遊べる「アスれーるチック」。

「アスれーるチック」の奥には京王線にまつわる歴代のヘッドマークや制服などが展示されている「コレクションギャラリー」があり、こちらも見逃せません!! お手洗いや授乳スペースも2階にあり、男性側のトイレにもおむつ替え向けのベビーベッドが備えられています。

2階にある「だれでもトイレ」。ぴかぴかで清潔。
2階にある「だれでもトイレ」。ぴかぴかで清潔。
授乳室は流しもあって、男性でも使用可能(給湯設備はありません)。
授乳室は流しもあって、男性でも使用可能(給湯設備はありません)。
授乳室にはベビーベッドもある。
授乳室にはベビーベッドもある。

往年の名車が勢揃いの屋外展示場。ミニ電車にも乗車できるぞ

京王が誇る名車が並ぶ屋外展示。
京王が誇る名車が並ぶ屋外展示。

本館を後にして、やってきたのが屋外展示スペース。こちらには京王電鉄を支えてきた往年の名車がずらりと並んでいます。展示車両はデハ6400形(6000系)、クハ3700形(井の頭線3000系)、クハ5700形(5000系)、デハ2010形(2010系)、デハ2400形(2400形)の5車種。

反対側の妻面もきっちり観察できる。
反対側の妻面もきっちり観察できる。

デハ6400形、クハ3700形以外は車内に入ることもできます。展示中の5車種は京王電鉄からはすでに引退していますが、実はまだ運転されている形式もあるんです! 京王電鉄の5000系2010系車両は全長が18mで、20mが主流のJRなどの車両に比べて若干小柄。これが、日本各地の中小私鉄のニーズにマッチして、全国で「第二の人生」を過ごしている車両が多いのが特徴なんです。富士急行に岳南鉄道、一畑電車など、多くの路線でまだまだ元気に活躍中で、銚子電鉄では製造から60年を迎える2000系も現役です。

地方私鉄ではまだまだ現役の京王5000系。
地方私鉄ではまだまだ現役の京王5000系。
2010系の車内。
2010系の車内。
スピーカーにも細かな意匠がある。
スピーカーにも細かな意匠がある。

そしてこの名車たちを取り囲むようにして走るのが1回100円で乗車できる「ミニ電車」。その時々で走行する列車が変わるのもユニークです。

先頭の車種が変わる「ミニ電車」。きっぷを買って乗車します。
先頭の車種が変わる「ミニ電車」。きっぷを買って乗車します。
もちろん券売機は駅で使っていた本物です!(現金のみ使用できます)
もちろん券売機は駅で使っていた本物です!(現金のみ使用できます)

さすが鉄道会社のミュージアムショップ。超本物志向グッズがぞろぞろ

アネックスの「ミュージアムショップ」。
アネックスの「ミュージアムショップ」。

さあ、最後にご紹介したいのが「アネックス」。こちらは「ミュージアムショップ」と7000系、8000系のカットモデルが展示されています。ミュージアムショップにはここでしか買えない商品が多く並び、特に人気なのは実際の運転士さんが業務用の時刻表に入れて使用する種別板(2000円税込)と車内路線図(800円税込)。

人気商品の「車内路線図」。よーく見ると左右対称になってます。
人気商品の「車内路線図」。よーく見ると左右対称になってます。

路線図は海側と山側の2種類があるこだわりよう。一見同じように見えますが、取り付け位置によって新宿が右に来るか、左に来るかが変わるため、2種類あるんです! なお、山側の方が若干人気とのこと。デザインは本物と全く一緒で持ち帰りに便利な専用のビニール袋も販売されています。これ持って京王線に乗って帰ったら、ちょっとシビれますね。

お持ち帰り用の袋もナイス。
お持ち帰り用の袋もナイス。
本物と同じデザインの「種別板」。
本物と同じデザインの「種別板」。

京王れーるランドからメッセージ

帰る前に秋田さんに改めて『京王れーるランドの魅力』について伺ってみた。

「小さなお子さまから京王電鉄を愛してくださるファンの方まで、お楽しみいただけるコンテンツが魅力かなと感じています。ぜひ小さなお子さまには、車掌体験やシミュレータで京王線の乗務員になりきって遊んでほしいですね(笑)。ご家族で来られて、多摩動物公園など周辺施設と合わせてお楽しみになられる方も多いです。平日は館内も比較的過ごしやすいですし、大人子ども(3歳以上)ペアでご利用いただける『京王あそびの森  HUGHUG<ハグハグ>との平日限定共通チケット(2400円)』も発売しています。イベントとして展示車両にヘッドマークを付けたりと、これからもいろいろ企画していきますのでお楽しみに!」

実は秋田さん、車掌として5000系の定期列車最終日に運良く乗務されていたそうで、5000系を筆頭に京王愛がかなり深いお方。これまでも、京王電鉄の鉄道系イベントを数々企画されてきた方だけに、これからの『京王れーるランド』の企画が楽しみすぎてしかたがない!

京王れーるランド
住所:東京都日野市程久保3-36-39/営業時間:9:30〜17:30/定休日:水(水が祝日の場合その翌日)/アクセス:京王動物園線多摩動物公園駅下車すぐ