和菓子が食べきれないことはありませんか。お土産でいただいた数十個の温泉饅頭(まんじゅう)は固くなり、最中は湿気てしんなり、街の和菓子店で欲張って買い込んだ大福はカチカチ。大きなカステラや大棹の羊羹を前に途方にくれる。 和菓子が多く集まりがちな我が家ではよくある光景ですが、どの和菓子も無駄にしたくない。最後までおいしく食べきりたい。そんな気持ちでいつも楽しんでいる、残った和菓子の食べきりレシピを少しずつご紹介していきます。第二回目はカステラ編。食べきれなくて困ったときも、いつもの食べ方に飽きたときも、お試しください。

切って焼くだけ。カステララスク

カステラを開封したら、ラップでぴっちり包んで乾燥を防ごう。
カステラを開封したら、ラップでぴっちり包んで乾燥を防ごう。

しっとりとした食感が身上のカステラは、ひとたび開封してしまうとラップで包んだとしても乾燥が進んでしまう。

乾燥しやすいというのは、ラスクを作る場合は、むしろ利点だ。二度焼くという意味を持つイタリアの焼き菓子、ビスコッティと同様に、ラスクも一度焼いた生地をスライスしてもう一度乾燥焼きをして仕上げる。水分を飛ばすことで保存性が高まるけれど、生地によっては歯が立たないほど固くなり、飲み物に浸さないと食べられないなんていうこともある。それがカステラで作ればサクサクほろほろ。小気味よい食感の焼き菓子になる。

カステラを0.8〜1cm幅に切る。今回はカステラ一切れを7等分。
カステラを0.8〜1cm幅に切る。今回はカステラ一切れを7等分。

作り方は、カステラを0.8〜1cm幅に切り、オーブンペーパーをしいた天板に並べる。130℃に予熱したオーブンで15分、裏返してさらに15〜20分、指先で触り(やけどに注意)、乾燥していれば焼き上がり。(温度や時間はオーブンにより変わるので調整する。)

130℃のオーブンで15分。裏返してさらに15〜20分ほど乾燥焼きする。網に取り冷ます。
130℃のオーブンで15分。裏返してさらに15〜20分ほど乾燥焼きする。網に取り冷ます。

網に取り完全に冷ます。すぐに食べないときは、乾燥剤を入れて密閉容器に保存する。

サクサク!
サクサク!

ぷるんぷるんのフレンチトースト

卵と牛乳を同量溶いて、バニラで香り付けしてからカステラを両面さっと浸す。
卵と牛乳を同量溶いて、バニラで香り付けしてからカステラを両面さっと浸す。

乾燥したケーキやパンの利用法といえば、フレンチトーストやパンプディング。特にフレンチトーストであれば、オーブンを使わずにフライパンで焼けるので手軽だ。

作り方は、Sサイズの卵1個と牛乳50ml、バニラオイル数滴をバットで溶いて、カステラ2枚を浸す。10秒ほど浸したところで裏返して(崩れやすいので手でやさしく裏返す)さらに20秒ほど浸す。浸しすぎると崩れるので予めフライパンの準備をしておき、すぐに焼けるようにしておく。

※乾燥していないカステラを使う場合、卵液を全て吸わないことがある。無理に吸わせなくてよい。

バターをたっぷりひいて弱火でじっくり焼く。
バターをたっぷりひいて弱火でじっくり焼く。

フライパンを温めてバターを小さじ1〜1・1/2ほど溶かして弱火にし、卵液に浸したカステラを入れて(崩れやすいので手ですくってそっと入れる)じっくり焼く。フライ返しを差し入れて、香ばしい焼き色が付いていたら裏返し、裏面もじっくり焼く。

甘いのでシロップは不要。写真では水切りヨーグルトとフリーズドライのラズベリーを添えた。
甘いのでシロップは不要。写真では水切りヨーグルトとフリーズドライのラズベリーを添えた。

温かいうちに食べる。好みで水切りヨーグルト(紙製のコーヒーフィルターなどにプレーンヨーグルトを入れて1時間ほど水切りする)や砂糖を入れずに泡立てた生クリーム、フルーツを添える。

ほろ酔いケーキ

カステラ、ブランデーやラム酒、柿、カスタード、水切りヨーグルトを重ねる。
カステラ、ブランデーやラム酒、柿、カスタード、水切りヨーグルトを重ねる。

最後はティプシーケーキ(tipsy cake)。tipsy=ほろ酔いケーキと名付けられた、アメリカの古風なデザートだ。残ったケーキでつくる、イギリスのトライフルと呼ばれるデザートにも似る。

切ったカステラにお酒をふりかけて、果物、カスタードクリーム、生クリーム(今回は水切りヨーグルト)を重ねる。

今回はカスタードカップ(小さなココット型)4個分。

カステラ2切れは1.5cm角に切り、プレーンヨーグルト300gはコーヒーフィルターなどで水切りしておく。柿1個(柔らかめのもの)は1cm角に切る。ラム酒やブランデー、シェリーなど好みのお酒を用意する。

 

カスタードクリーム。ぴったりラップを貼り付けて急冷する。
カスタードクリーム。ぴったりラップを貼り付けて急冷する。

唯一少し手間のかかるのはカスタードクリームだ。材料は卵黄1個にグラニュー糖小さじ5、薄力粉10g、牛乳1/2カップ、バニラエッセンス数滴。

作り方は、①ボウルに卵黄とグラニュー糖小さじ2・1/2、薄力粉を入れてホイッパーでよく混ぜる。②小鍋に牛乳とグラニュー糖小さじ2・1/2を入れて混ぜ、中火にかける。③沸騰直前になれば①に加えて混ぜる。④ザルを通しながら鍋に戻してかき混ぜながら中火にかける。とろみがつきはじめたら火からはずして滑らかになるよう混ぜる。再び火にかけ、ボコボコ沸けばできあがり。

すぐにバットに広げてぴったりラップを貼り付けて、保冷剤などをあてて急冷する。冷えたカスタードクリームはボウルにうつして、ホイッパーやシリコンベラなどで滑らかになるようほぐしてから使う。傷みやすいので冷蔵室で保存し、当日中に食べきろう。

果物は好みのもので。
果物は好みのもので。

準備が整えば、カステラ→ラム酒やブランデーなど好みのお酒少量をふりかける。その後、果物→カスタードクリーム→水切りヨーグルトの順に重ねる。仕上げにカステラ、少量のお酒をふり、果物、フリーズドライのラズベリーなどで飾る。

今回は秋限定の栗のカステラを使ったので、果物も秋らしく柿を使った。柿は柔らかめのものを使うのがおすすめだ。

乾ききったケーキを使うときは、お酒を加えたシロップにケーキを漬け込んで作るけれど、少しパサついた程度のカステラであればお酒を少しふりかけるだけで十分。

カステラは元々の甘みが強いので、餡を添えて甘さを足すような食べ方よりは、甘さを利用するような食べ方がおすすめだ。

文・撮影=原亜樹子(菓子文化研究家)

原亜樹子
菓子文化研究家
米国高校へ留学・卒業後、東京外国語大学へ進学し、文化人類学ゼミで食を探求。卒業後は特許庁へ入庁するも、6年目に退職し、食に関する執筆活動をスタート。2006年より生活情報サイト「All About」で和菓子ガイドを務めるほか、アメリカの食に関する著書多数。