先回このコラムで取り上げた土産物、スノードームと湯呑みは、いずれも重くてかさばるのが難点であった。それに対し、小さくて軽い土産物の代表格といえばピンバッジではないだろうか。 どこの観光地に行っても、大抵はその土地ならではのデザインをあしらったピンバッジが販売されている。旅の思い出にもなるし、誰かにプレゼントしてもいい。山登りをする人ならば、山ごとに販売されているピンバッジを集めることで、自らの登頂の記録ともなる。最近ではご当地ピンズとして、土産物店の店頭にガチャガチャの機械が置かれ、気軽に購入することもできるようになっている。 小さくてかさばらないからと、調子に乗って各地でピンバッジを買い求めるうち、いつしかピンバッジ入れにしていた缶が一杯になってきた。これを機に、各地の土産ピンバッジを振り返ってみたいと思う。

山ピンバッジ。私は近場の山のものしか持っていない
山ピンバッジ。私は近場の山のものしか持っていない
土方歳三の菩提寺である高幡不動にあった、新選組ガチャガチャのピンバッジ。デザインも多彩で楽しい
土方歳三の菩提寺である高幡不動にあった、新選組ガチャガチャのピンバッジ。デザインも多彩で楽しい

ピンバッジの製法には様々な種類がある

ピンバッジと一口に言っても、その製法にはさまざまな種類がある。

金属のもの。

金属に差し色が付けられたピンバッジ
金属に差し色が付けられたピンバッジ

プレス加工した金属面にラッカー塗装したもの。

金属の凹面に色を入れたピンバッジ。カラフルな印象
金属の凹面に色を入れたピンバッジ。カラフルな印象

絵柄が印刷されたもの等である。

印刷面に樹脂コーティングがされたピンバッジ
印刷面に樹脂コーティングがされたピンバッジ

私は個人的に好きなのは金属にラッカー塗装したもので、樹脂でコーティングされているピンバッジはあまり好みではない。時間が経つにつれ樹脂が黄ばんでくるからである。

樹脂が黄ばんできてしまうのは残念
樹脂が黄ばんできてしまうのは残念

しかしここではそうした好みはさておき、ピンバッジの図柄に焦点を当てていきたい。

名所・名物モチーフのピンバッジ

まずは風景をモチーフとしたもの。土産ピンバッジの場合、2㎝四方ほどの面に、よくもここまで名所を詰め込んだというような細かい柄が多い。

東尋坊の岩面が細かく表現されている
東尋坊の岩面が細かく表現されている
高尾山に天狗とムササビがあしらわれ、小さな面積に情報が山盛りである
高尾山に天狗とムササビがあしらわれ、小さな面積に情報が山盛りである

一方、その土地の名所や名物のピンバッジは、シンプルに建物や物のみがモチーフになっている。

シンプルな城ピンバッジ
シンプルな城ピンバッジ
ポートタワーのみがデザインされている
ポートタワーのみがデザインされている
高幡不動で購入した新選組ピンバッジ。こちらもシンプルに羽織のみのデザイン
高幡不動で購入した新選組ピンバッジ。こちらもシンプルに羽織のみのデザイン
奈良といえば鹿、という主張の強いピンバッジ
奈良といえば鹿、という主張の強いピンバッジ

「ゆるキャラ」ピンバッジ

最近多くなっているのは、各地のいわゆる「ゆるキャラ」のピンバッジである。

成田市観光キャラクター、うなりくん
成田市観光キャラクター、うなりくん
言わずと知れた彦根市のキャラクター、ひこにゃん
言わずと知れた彦根市のキャラクター、ひこにゃん

つくばエキスポセンターの売店では、「ゆるキャラ」という言葉が登場する以前のゆるキャラ、「コスモ星丸」のピンバッジが売られており、思わず色違いで買い求めてしまった。

1985年のつくば万博キャラクター、コスモ星丸。最近また注目されている
1985年のつくば万博キャラクター、コスモ星丸。最近また注目されている

ゆるキャラではないが、仏像や天狗、その地に見られる動物などのピンバッジも、広く「キャラクターバッジ」の仲間に入れてもいいかもしれない。

鎌倉大仏ピンバッジ。ある意味鎌倉のキャラクターと言ってもいいだろう
鎌倉大仏ピンバッジ。ある意味鎌倉のキャラクターと言ってもいいだろう
高尾山の天狗ピンバッジ。架空の人物?なので、キャラクターに分類したい
高尾山の天狗ピンバッジ。架空の人物?なので、キャラクターに分類したい
高尾に生息するムササビ。単体で付けていると、土産物とは思われないかもしれない
高尾に生息するムササビ。単体で付けていると、土産物とは思われないかもしれない

食べ物のピンバッジ

その土地の有名な飲食物がピンバッジになる場合もある。よほどインパクトのあるビジュアルの食べ物でないと土産物としては用をなさないため、数としてはさほど多くないが、食に興味がある人はこうした食べ物ピンバッジを蒐集するのもおすすめだ。

沖縄のオリオンビールピンバッジ。ピール単体ではないが、飲食物ピンバッジに分類する
沖縄のオリオンビールピンバッジ。ピール単体ではないが、飲食物ピンバッジに分類する
一目で花巻のマルカン百貨店の名物、巨大ソフト(大きすぎるので箸で食べる)とわかるピンバッジ
一目で花巻のマルカン百貨店の名物、巨大ソフト(大きすぎるので箸で食べる)とわかるピンバッジ

乗り物のピンバッジ

乗り物好きの人には、鉄道や車のピンバッジはどうだろうか。珍しいところではロープウェイのピンバッジなどもあるが

筑波山ロープウェイのピンバッジ。色違いもある
筑波山ロープウェイのピンバッジ。色違いもある

鉄道は比較的多く見られるモチーフである。全国の鉄道会社のピンズを扱うガチャガチャもあり、手軽な土産となる。

ピンバッジガチャで入手した西武線や京王線のピンバッジ。全国でチャレンジしたい
ピンバッジガチャで入手した西武線や京王線のピンバッジ。全国でチャレンジしたい

郷土愛をアピールするピンバッジ

遠出することが難しい場合、逆に地元の土産物店でピンバッジを探し、郷土愛をアピールするのも良いと思う。東京在住の私の場合、たまに東京タワーやスカイツリー、浅草などの観光地に赴いては、東京愛を前面に押し出したピンバッジを入手する。

「東京」を前面に押し出したピンバッジ。使い方に迷う一品である
「東京」を前面に押し出したピンバッジ。使い方に迷う一品である

こうして缶一杯に集まったピンバッジは、本来であればカバンや帽子などに付けて外出するのが良いのだろう。ピンバッジである以上、布に付けることがその本分だろうからである。しかし私は一度もピンバッジを付けて外に出たことがない。ピンバッジは気が付くと落として失くしていることがしばしばあるからだ。せっかく各地で集めたバッジを紛失したくない、という思いから、私のピンバッジは今後も日の目を見ることなく缶に収まり続けることだろう。もし付けて外出するとして、「東京」と書かれたピンバッジをどこに付けていくのか、という別の問題もあるわけだが。

絵・写真・文=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書『斜め下からカープ論』(文春文庫)。