2022年、寅年の新年を迎えた。ライダーの格好をして干支の動物の遊具に跨り、新年の挨拶画像とする「十二支ライダー」、干支の動物にちなんだ寺社に初詣に行く「動物初詣」を個人的に実施しているため、年末年始になると干支の動物について考える機会が多くなる。

先ずはトラの遊具を探して……

2012年の辰年から始めた「十二支ライダー」も、残すはトラとウサギのみとなった。あてにしていた早稲田・戸山公園のトラ遊具が撤去されてしまい、困っているという話は以前このコラムでも書いたが、その後多くの方から「この公園にトラ遊具があったよ!」という情報をいただいた。ありがたい限りである。

更に昨年末には、足立区の公式ホームページでもトラ遊具のある公園が紹介されるなど、「干支の動物遊具を年賀状写真に使う」という文化は、地道に浸透してきているようだ。

いくつかの候補の中から私が選んだトラは、江戸川区の西一之江四丁目公園の入り口にちょこんと座っているトラであった。

公園入り口に唐突にいるトラ。公園の案内表示の役割も担っている。
公園入り口に唐突にいるトラ。公園の案内表示の役割も担っている。

勇猛さとか威厳とかの全く感じられない、すっとぼけた表情が愛らしい。

これまた撮影助手のHさんを拝み倒して、寒風吹きすさぶ12月末の一之江に赴いた(Hさんは、毎年のように「もっと暖かい時期に撮りに行ったら……?」と助言してくれるのだが、これまでそれが実現されたことは、残念ながら一度もない)。

今回に関しては、撮影者を同行して正解であった。というのもこのトラは道路に面した入り口に鎮座しているため、セルフ撮影しようとすると、歩道に三脚を設置しなければならなくなるからだ。かくして完成した十二支ライダーがこちらである。

2022年のタイガーライダー。道路に面したところでこの格好をするのは多少の恥ずかしさがある。
2022年のタイガーライダー。道路に面したところでこの格好をするのは多少の恥ずかしさがある。

トラにまつわる寺社に初詣

さて年が明けると、今度は動物初詣の行き先を決めなければならない。このコロナ禍で、以前から一緒に動物初詣に行っていた友人たちとは、昨年は初詣に行くことができなかった。今年こそトラにまつわる寺社に初詣を、と考え、候補を選ぶこととした。川野明正監修『東京周辺 神社仏閣どうぶつ案内』(メイツユニバーサルコンテンツ・2019)によれば、東京近辺のトラにゆかりのある寺社は飯田橋の善國寺、所沢の多聞院、秩父神社などである。皆で初詣に行く前に下調べをしようと思い、私は比較的暖かい1月の休日に、バイクで所沢の多聞院に向かった。

曲がる道を間違えるなどして、ようやくたどり着いた多聞院は、武田信玄の守り本尊であった毘沙門天を祀っているという(所沢市ホームページより)。その毘沙門堂の前に、すらりとした格好の狛トラの石像があり、参拝者を出迎えていた。しかしその足元には、おびただしい数の小さいトラが、ミッシリと並べられているではないか。何でも、この「身がわり寅」に、名前と身代わりになって欲しい事柄を書いて奉納すれば、厄を祓ってくれるとのことであった。

所沢・多聞院の狛トラ。
所沢・多聞院の狛トラ。
体に縞模様があるのでトラとわかる。足元にはぎっしりと「身がわり寅」が。
体に縞模様があるのでトラとわかる。足元にはぎっしりと「身がわり寅」が。

他にもこの多聞院は、土俵で石が相撲を取っていたり、

多聞院境内に設けられた土俵。石同士では永遠に相撲は始まらない気もするが、どうか。
多聞院境内に設けられた土俵。石同士では永遠に相撲は始まらない気もするが、どうか。

かわらけを当てる的が用意されていたり、

別売のかわらけを投げつける的。なぜ設けられているのかはわからない。
別売のかわらけを投げつける的。なぜ設けられているのかはわからない。

笠地蔵がいたりと遊び心が満載であった。

笠地蔵なので、左のお地蔵さんだけはほっかむりである。
笠地蔵なので、左のお地蔵さんだけはほっかむりである。

正月だからか、電池で動く獅子舞がお囃子に合わせて踊り回っていたのも印象的である。

多聞院の授与所にいたミニ獅子。ひたすら踊り回っていた。
多聞院の授与所にいたミニ獅子。ひたすら踊り回っていた。

毎年5月1日に行われる「寅まつり」は、寅年には本尊の毘沙門天が開帳されるとのことで、その時期に訪れるのも良いかもしれない。

昨年に引き続き、今年もコロナ禍の影響で分散参拝が推奨され、節分までくらいの期間を初詣としている寺社も多い。今からでも、トラにゆかりのある寺社に初詣に訪れてみてはどうだろうか。

関西方面の方におすすめしたいのは、奈良・生駒にある信貴山朝護孫子寺。境内の至るところにトラがいる。 入り口にも巨大な張子のトラが。
関西方面の方におすすめしたいのは、奈良・生駒にある信貴山朝護孫子寺。境内の至るところにトラがいる。 入り口にも巨大な張子のトラが。
朝護孫子寺の境内に設けられた、父寅・母寅・子寅が一体となった「三寅の福・胎内くぐり」のトンネル。これは出口の母寅。
朝護孫子寺の境内に設けられた、父寅・母寅・子寅が一体となった「三寅の福・胎内くぐり」のトンネル。これは出口の母寅。
朝護孫子寺では、橋の欄干もトラである。
朝護孫子寺では、橋の欄干もトラである。

絵・写真・文=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書『斜め下からカープ論』(文春文庫)。