10数年前までは都心で希少だった武蔵野うどん専門店。今や武蔵野台地の枠を超え、東京各地に増えています。その中から小麦の風味をしっかり味わえる5店をご紹介。骨太な褐色うどんの良店を求め、出かけよう!
二刀流が魅せる新鮮小麦の田舎麺『手打うどん 福助』[青梅街道]

麺は武蔵野風の“田舎”と讃岐風の“白”を選べるのが珍しい。「香川の木下製粉から少量ずつ仕入れるので、常に新鮮な粉を打てます」と女将の相澤直美さん。田舎の方は、小麦の皮の近くも残るよう製粉具合を特注。ゆえに褐色がかった麺は、すすれば小麦のフレッシュな香りが。イリコや宗田、本枯れがつおなど出汁を6種も重ねた奥深い味わいのつけ汁が、小麦の甘みと美しく調和するのだ。


『手打うどん 福助』店舗詳細
手打うどん 福助
住所:東京都小平市小川町2-1307-20/営業時間:11:15〜14:00LO(麺なくなり次第終了)/定休日:月・火(祝は営業)/アクセス:西武多摩湖線青梅街道駅から徒歩8分
老若男女に愛される絶妙なコシと喉越し『よしふじ』[小平]

店主・齋藤さんの自宅敷地に店舗があり、隣の製麺小屋で完全手打ち。店主曰く「この辺で器の底が見えるうどん出したら叱られますから」というように、麺は並盛りで400〜450gと食べ応え満点! 中太でねじれのあるうどんはワシワシとした硬さはなく、ムニュッと跳ね返す食感が心地よい。麺は約60cmと長く喉越しもいいので、やや甘めのつけ汁にくぐらせ、威勢よくズズッとやるべし。


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『よしふじ』店舗詳細
よしふじ
住所:東京都小平市大沼町7-6-6/営業時間:11:00〜14:30(麺なくなり次第終了)/定休日:木/アクセス:西武新宿線小平駅から徒歩15分
比類なき幅広麺はこれぞ噛むうどん『肉汁饂飩屋 とこ井』[高円寺]

極太麺と細麺、数量限定のひもかわを選べ、極太麺は圧巻の太さ約1cm ! 上州と埼玉の地粉、さらに全粒粉をブレンドしており、麺肌は美しい褐色だ。ひと口噛めば、まるでハード系のパンのような豊かな小麦の香りがふわり。麺に目が行きがちだが、つけ汁も素晴らしい。かつおや昆布に煮干しで風味を加えたつけ汁は、塩辛過ぎず魚介の風味豊か。途中、液体ゆずで味変してもうまい!


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『肉汁饂飩屋 とこ井』店舗詳細
肉汁饂飩屋 とこ井(にくじるうどんや とこい)
住所:東京都杉並区高円寺南4-7-5 久万乃ビル1F/営業時間:11:00〜20:45LO/定休日:無/アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩3分
弾力と喉越しで魅了する完全手打ち麺『櫻井謹製』[桜上水]

店主の櫻井英晴さんは埼玉県川島町の名店『庄司』で修業し、2018年に開業。「東京・埼玉のご当地麺である武蔵野うどんをもっと広めたくて」。足踏み、手切りで作る完全手打ちの麺は、心地よいコシともちもち感で、喉越しのよさも併せもつ。かつおや宗田など一般的な材料に加え、武蔵野では珍しいあごも使ったつけ汁は出汁の香り高く、小麦の風味豊かな麺と香りの二重奏を楽しめるのだ。

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『櫻井謹製』店舗詳細
櫻井謹製
住所:東京都世田谷区桜上水5-22-7/営業時間:11:00〜14:30LO・17:00〜19:30LO/定休日:火・第2第4水/アクセス:京王線桜上水駅から徒歩1分
強烈なゴリゴリ麺とブランド豚の名コンビ『みらい家』[笹塚]

夜は、宮崎の参協味蕾豚(さんきょうみらいとん)を使った豚しゃぶメインの居酒屋として営業。そのため、ランチの豚汁もりうどんにも、そのバラ肉がどっさり。「この豚は脂が甘くて旨味も濃い。つけ汁にいい出汁が出るんです」と店主の内田敏さん。小麦香る麺は、店主が惚(ほ)れこんだ千葉県印西市の『鈴や』から毎日直送。嚙み応えのあるワシワシとした茶色い麺と、甘辛いつけ汁が、口の中でがっぷり四つ!

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『みらい家』店舗詳細
みらい家
住所:東京都渋谷区笹塚1-15-5 堀内ビル1F/営業時間:11:30〜14:30(18:00〜23:00は炭豚豚〈たんとんとん〉として営業)/定休日:水/アクセス:京王線笹塚駅から徒歩3分
取材・文=鈴木健太 撮影=井原淳一、井上洋平