平塚は湘南界隈でも下町風情ある街だからか、店主たちは懐っこく話し好き。しかし、こだわりを聞けば妥協を許さぬ職人気質が顔を出す。そんな居心地のよさと珠玉の技が同居した6店を紹介するので、平塚の味を堪能しよう!

丹精込めまくりの絶品洋食『洋食エイト』

Bランチ1600円はご飯とスープ付き。長山さんが修業した洋食店の名物をオマージュ。
Bランチ1600円はご飯とスープ付き。長山さんが修業した洋食店の名物をオマージュ。

「一度食べたら忘れられない味を届けたくて」と、シェフの長山文洋(ふみひろ)さん。仕込みに168時間かけるデミグラスソースや手びきのひき肉、自家製のパン粉など、手間隙を惜しまない。看板はBランチだ。肉感とソースのハーモニーに頬が緩むハンバーグ。衣ザクザク中トロトロのホタテクリームコロッケ。頭から豪快にかぶりつく天使の海老のフライの3連コンボで、童心に帰ったような幸福感を味わう。

エプロンのワッペンにマスコットのエイトくんが。マッチやステッカーはおみやげに。
エプロンのワッペンにマスコットのエイトくんが。マッチやステッカーはおみやげに。
店先のスーパーカブもレトロ感を演出。
店先のスーパーカブもレトロ感を演出。

『洋食エイト』店舗詳細

洋食エイト
住所:神奈川県平塚市宮の前7-5/営業時間:11:30〜14:30/定休日:不定/アクセス:JR東海道線平塚駅から徒歩5分

パリもちバンズとプリプリパティの衝撃『crafters』

アボカドチーズバーガー1485円とオレンジジュース440円(セットで+275円)。
アボカドチーズバーガー1485円とオレンジジュース440円(セットで+275円)。

都内で食べたグルメバーガーの味に感動した店主の中川雄太さんは、オリジナル製法のバーガーを作り上げた。パティは牛肉のブロックを部位ごとに大きさを変えて切り分け、つなぎを使わず手捏(ご)ねで圧着。バンズはベーグル生地がベースで、表面の焼き目がパリパリ、中はもっちりの食感が楽しい。かぶりつけば、ガツンと飛び込む肉の弾力と風味、小麦の甘みが口の中で躍り、気分がアガる。

中川さんは「パティの圧着は人力なので、毎日筋肉痛です」と笑う。
中川さんは「パティの圧着は人力なので、毎日筋肉痛です」と笑う。
店内は吹き抜けの2階建て。
店内は吹き抜けの2階建て。

『crafters』店舗詳細

crafters(クラフターズ)
住所:神奈川県平塚市宮松町12-52/営業時間:11:00〜15:00・17:30〜22:00/定休日:火(お盆休み未定)/アクセス:JR東海道線平塚駅から徒歩10分

重なる味の深みにハマる傑出したバランス感覚『湘南しんば』

特わんたん醤油らぁ麺1100円とサバ丼450円。ワンタンは、ひと口頬張るとまるで小籠包のごとく肉汁があふれ出る。そのほか信玄鶏胸肉の低温調理と技が光る。
特わんたん醤油らぁ麺1100円とサバ丼450円。ワンタンは、ひと口頬張るとまるで小籠包のごとく肉汁があふれ出る。そのほか信玄鶏胸肉の低温調理と技が光る。

鶏ガラに豚ガラと節類、煮干し類を合わせたスープがベース。醤油と塩の二枚看板だ。「バランスいい味にするため、毎日試行錯誤しています」と、店主の榛葉元(しんばげん)さん。醤油は、3種の醤油をブレンドしたスープが滋味深く、ツルシコ中太麺の喉越しが心地よい。一方塩は、4種の塩とさらに和出汁を加えた和風スープだ。なめらかな細麺とよく絡み、後味はすっきり。サバ丼も合わせて楽しみたい。

塩らぁ麺800円。
塩らぁ麺800円。
店主の榛葉さん。
店主の榛葉さん。

『湘南しんば』店舗詳細

湘南しんば
住所:神奈川県平塚市追分7-9/営業時間:11:00〜15:00・17:30〜21:00(火・日は昼のみ)/定休日:金/アクセス:JR東海道線平塚駅から神奈中バス「秦野駅」行き6分の「追分」下車3分

2階建て古民家の風情が時の流れを忘れさせる『自家焙煎珈琲 ちえの実』

旬ごとに豆を選ぶスペシャルティコーヒー700円。この日はブルンジ。自家製アールグレイのシフォンケーキ350円。
旬ごとに豆を選ぶスペシャルティコーヒー700円。この日はブルンジ。自家製アールグレイのシフォンケーキ350円。

青森でサラリーマンをしながらカフェを営んでいた店主の石田友和さん。転勤を機に店を人に任せ、平塚へ移住。「こっちでも自分好みの店を作っちゃおう」と、築60年近い古民家を改装して、2020年オープンした。それぞれの豆の風味と魅力を引き出すため、自家焙煎。ネルドリップで、丸みのある味わいに仕上げる。窓際の席に腰かけ、レトロな調度品に囲まれながら、のんびりと過ごしたい。

焙煎する石田さん。持ち帰り用ドリップパック200円もあり。
焙煎する石田さん。持ち帰り用ドリップパック200円もあり。
客席には振り子時計が。
客席には振り子時計が。
1棟まるっと店舗。1階が販売カウンター、2階が客席だ。
1棟まるっと店舗。1階が販売カウンター、2階が客席だ。

『自家焙煎珈琲 ちえの実』店舗詳細

自家焙煎珈琲 ちえの実
住所:神奈川県平塚市宮の前4-19/営業時間:13:00〜18:00/定休日:不定/アクセス:JR東海道線平塚駅から徒歩6分

コーヒーと空間、雑貨や花も楽しんで『CORNER COFFEE & Design』

カフェラテ500円に合わせるなら、チーズの風味が濃厚なCCDチーズケーキ580円が◎。
カフェラテ500円に合わせるなら、チーズの風味が濃厚なCCDチーズケーキ580円が◎。

「店にあるもの全部を味わってほしくて」とは、店主の冨田良江さん。前職で店舗デザインをしていた経験を活かし、店を作った。グレーを基調とした壁に、木の柱の温かみ。「武骨なデザインにほれた」という米国製エスプレッソマシンで抽出したカフェラテの爽やかな苦みも相まって、ほっとひと息。雑貨や、フラワーコーディネーター・山本真由美さんのプリザーブドフラワーにも目が移る。

左から山本さんと冨田さん。ふたりは前職が一緒だった。オリジナルデザインTシャツ3000円や雑貨も販売中。
左から山本さんと冨田さん。ふたりは前職が一緒だった。オリジナルデザインTシャツ3000円や雑貨も販売中。
光がたっぷり入る明るい店内。
光がたっぷり入る明るい店内。
角地にあることが店名の由来。
角地にあることが店名の由来。

『CORNER COFFEE & Design』店舗詳細

CORNER COFFEE & Design(コーナー コーヒー アンド デザイン)
住所:神奈川県平塚市御殿3-5-1/営業時間:10:00〜17:00/定休日:金・土/アクセス:JR東海道線平塚駅から神奈中バス「伊勢原駅前南口」行き14分の「大縄橋」下車すぐ

知識と技術と遊び心が ゆるりとした空気を生む『ボタンカフェ』

渋ラテ550円と日替わりおやつ300円。
渋ラテ550円と日替わりおやつ300円。

多忙な日々を送っていた店主の中村果林(かんな)さん。「おいしいコーヒーで落ち着ける場所を作る!」と、カフェを開くため、コーヒーマイスターの資格を取得。2014年前に地元平塚で開店した。スペシャルティコーヒー専門の焙煎士から旬の豆を仕入れ、挽きや抽出時間を調整し、風味を引き出す。また、変わり種も。カフェラテにラム酒を加えた渋ラテは、口に含んだ瞬間芳香がぶわっ。ほろ酔いに。

中村さんは時折、店頭で実演販売をする。また、客が自宅から持ちこんだ豆を、プロの技術で淹れるサービスも。
中村さんは時折、店頭で実演販売をする。また、客が自宅から持ちこんだ豆を、プロの技術で淹れるサービスも。
吊り棚がかわいらしい店内。
吊り棚がかわいらしい店内。
店名は「人と人、人とモノを掛け合わせる」ボタンと植物ボタニカルのダブルミーニング。
店名は「人と人、人とモノを掛け合わせる」ボタンと植物ボタニカルのダブルミーニング。

『ボタンカフェ』店舗詳細

ボタンカフェ
住所:神奈川県平塚市袖ケ浜17-61/営業時間:11:00〜17:00/定休日:月〜金/アクセス:JR東海道線平塚駅から徒歩10分

千石河岸で提灯を点(とも)す、孤高の食堂『あぶさん』

港めし1800円。漬けや揚げたてのフライ、しらすなど、少しずついろんな味が楽しめる。
港めし1800円。漬けや揚げたてのフライ、しらすなど、少しずついろんな味が楽しめる。

平塚漁港近くで暖簾(のれん)を掲げて18年。アジやカマス、カンパチといった地魚は、定置網漁の朝獲(ど)れが基本。しらすは平塚のしらす漁船から直接生で仕入れ、自らの手で釜ゆで、佃煮、醤油煮にし、たたみイワシも手製する。定食の吸い物も、旨味が出たしらすのゆで汁を生かしたものだ。人気の港めしは、葉蘭の上に地アジの刺し身にフライ、マグロの刺し身や漬けなどをぎゅっと盛り込んだもの。添えた酢飯がいい塩梅なのも店主・水島新次さんが元鮨職人と聞いて合点がいく。口数は少ないが、「なるべくおいしいものを出したい。それだけだよ」の言葉に思いが表れる。

地アジ丼1700円。酢飯の上に、調理用違いの4種のしらすが敷き詰められる。そこに、甘みのある特製たれを一回して提供。
地アジ丼1700円。酢飯の上に、調理用違いの4種のしらすが敷き詰められる。そこに、甘みのある特製たれを一回して提供。
旅情感漂う店内。テーブル席、半・屋外席もある。
旅情感漂う店内。テーブル席、半・屋外席もある。

『あぶさん』店舗詳細

あぶさん
住所:神奈川県平塚市千石河岸30-15/営業時間:11:30〜15:00・17:00〜22:00/定休日:水・火の昼/アクセス:JR東海道線平塚駅から徒歩24分

取材・文=高橋健太(teamまめ)、林加奈子、沼由美子 撮影=原幹和、丸毛透、井原淳一、小澤義人