江戸期以来の下町・深川エリアに、各国料理や独創的な店が増加中。しかも、国境を越えて矜持(きょうじ)を持ち、上質な味と心地いい空間に練り上げています。個性のせめぎ合いをとくと堪能できる8店を厳選してピックアップしてみました。

主役は羽釜で炊いたツヤピカごはん『深川 ごはん屋 おゝ貫』[門前仲町]

昼定食の豚の白角煮 半熟卵添え1000円は、三元豚を出汁と白醤油で炊く。
昼定食の豚の白角煮 半熟卵添え1000円は、三元豚を出汁と白醤油で炊く。

小窓越しに見えるのは、羽釜が3つ並んだ竃。店主 ・大貫泰宏さんは「薪炊きのごはんを食べて育ち、修業先も期せずして羽釜炊きの店ばかり」と相好を崩す。親類が丹精込めた茨城産コシヒカリとともに、昆布とシイタケを忍ばせて羽釜で炊けばふっくら艶やか。米の甘みも際立つ。また、さば節と宗田がつおの出汁の味噌汁が風味芳醇(ほうじゅん)。素材の旨味がくっきり際立つおかず類も名脇役揃いだ。

2人以上には羽釜からおひつによそう。
2人以上には羽釜からおひつによそう。
サバの柚庵焼き(夜は単品680円)は日本酒5勺480円〜と。大貫さんは唎酒師(ききざけし)でもある。
サバの柚庵焼き(夜は単品680円)は日本酒5勺480円〜と。大貫さんは唎酒師(ききざけし)でもある。
どの席からもキッチンに立つ姿を眺められる。
どの席からもキッチンに立つ姿を眺められる。
2020年12月に開店したばかり。
2020年12月に開店したばかり。

『深川 ごはん屋 おゝ貫』店舗詳細

深川 ごはん屋 おゝ貫(ふかがわ ごはんや おおぬき)
住所:東京都江東区牡丹3-9-1 第一グリーンハイツ103/営業時間:11:30〜13:30LO(ごはんがなくなり次第終了)・17:30〜22:00LO/定休日:日昼・月/アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅から徒歩5分

辛みの奥に深い繊細さ。満腹必至のタイ料理『Mae Ping』[門前仲町]

パッタイ900円(上)。ガパオやタイのオムレツ・カイジオムーザップ、ナムプリックオーンなど多彩な味を楽しめる金曜限定スペシ ャルランチ1000円(下)。実は自然派ワインも看板。
パッタイ900円(上)。ガパオやタイのオムレツ・カイジオムーザップ、ナムプリックオーンなど多彩な味を楽しめる金曜限定スペシ ャルランチ1000円(下)。実は自然派ワインも看板。

ハーブや野菜を千葉県のタイ野菜専門農家から仕入れ、店主のヌンさんは故郷のタイ北部の味を再現。昼なら金曜限定スペシャルランチを狙いたい。大皿の迫力に圧倒されていると、「まずはこれ」とヌンさんは皿中央の豚肉とトマトのディップ・ナムプリックオーンを指差した。キャベツやニンジンといった温野菜とともに口へ運ぶと、辛さとみずみずしさが口中で融合。食欲は即トップギアに入る。

ピーカオさんは長年有名タイレストランで腕を振るった猛者。
ピーカオさんは長年有名タイレストランで腕を振るった猛者。
ヌンさんとシェフのピーカオさん。
ヌンさんとシェフのピーカオさん。
路地裏に立つ。
路地裏に立つ。

『Mae Ping』店舗詳細

Mae Ping(メー ピン)
住所:東京都江東区門前仲町1-9-9/営業時間:11:30〜14:30・17:00〜22:30(土は15:00〜)/定休日:日/アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅から徒歩3分

柔らか&ジューシー味の組み合わせは無限大『とりサンド unmarl』[門前仲町]

あげどり+茶色いこうばしバンズ+甘辛しょうゆのとりサンド710円に、Sポテト+サラダ+ドリンクのフルセット450円を。辛い自家製ジンジャーエールは+50円。
あげどり+茶色いこうばしバンズ+甘辛しょうゆのとりサンド710円に、Sポテト+サラダ+ドリンクのフルセット450円を。辛い自家製ジンジャーエールは+50円。

どう組み合わせるか、とりサンドの注文には、うれしい悲鳴が上がる。「仕事をひととき忘れられる時間になったら」 と、代表の山口恵摩さん。揚げ鶏はスパイス香る衣をまとい、ラードのコクが加勢して旨味濃厚。対して蒸し鶏はしっとりとして上品な味。その上、バンズは全粒粉が芳しい茶色と低温焼成の白の2種あり、ソースは季節限定を含む6種も揃える。組み合わせ次第の味変化に驚くばかり。

山口さんの手には、むしどり+白いもちもちバンズ+バジルマヨ。
山口さんの手には、むしどり+白いもちもちバンズ+バジルマヨ。
和み空間。
和み空間。

『とりサンド unmarl』店舗詳細

とりサンド unmarl(とりさんど アンマール)
住所:東京都江東区福住1-2-2/営業時間:11:30〜14:00(金・土は17:00〜21:00も営業、日は15:00〜21:00)/定休日:月/アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅から徒歩6分

辛さが自在に加減できるまろやかブリトーボウル『cafe & bar MEDIUM』[清澄白河]

ランチのブリトーボウル(ジャークチキン+タコミート)935円と自家製ライムスカッシュ715円。セットは100円引き。
ランチのブリトーボウル(ジャークチキン+タコミート)935円と自家製ライムスカッシュ715円。セットは100円引き。

内装を手掛けるオーナーが飲み屋として始めたが、 「前任のメキシコ人店長から一気にメキシコ化が進みました」と、現店長の藤原唯さん。看板はブリトーボウルだ。ジャークチキン、ワカモレソース、タコミートが満載で、思いの外やさしい味わい。卓上のハバネロソース次第で表情が一変するのも楽しい。スパイス入りひき肉の自家製ヒートアップソースをのせた激辛版もあり、汗をかくのも一興だ。

ブラジル産の粗挽きリングイッサ&ヒートアップソースのホットドッグ935円も人気。「肉々しいでしょ」 と藤原さん。
ブラジル産の粗挽きリングイッサ&ヒートアップソースのホットドッグ935円も人気。「肉々しいでしょ」 と藤原さん。
音楽もクール。
音楽もクール。

『cafe & bar MEDIUM』店舗詳細

cafe & bar MEDIUM(カフェ アンド バー ミディアム)
住所:東京都江東区白河1-4-18 降矢ビル1F/営業時間:11:30〜15:00・17:00〜翌1:00(日・祝は〜23:00)/定休日:月/アクセス:地下鉄半蔵門線・大江戸線清澄白河駅から徒歩3分

包丁さばきで決まるマグロの舌触りに脱帽『和DININGこころ』[森下]

まぐろ丼はランチ950円。赤身、中トロ、大トロが折り重なるマグロ三昧の贅沢丼だ。小盛り、普通、大盛りから選べる。
まぐろ丼はランチ950円。赤身、中トロ、大トロが折り重なるマグロ三昧の贅沢丼だ。小盛り、普通、大盛りから選べる。

寿司屋で修業した店主の西田幸路さんが豊洲で目利きした魚が目白押し。 「まだまだ満足のいく仕上がりにいかないな」 と、西田さんは職人気質をのぞかせるが、カラリと揚げた天丼、注ぎ足しの煮汁で炊く銀ダラなど、昼はかなりお値打ちだ。まぐろ丼がまたいい。一頭買いを、部位ごとに包丁の入れ方を変え、煮切り醤油にさっとくぐらせると、艶やかで舌触りなめらか。香りも立ち、多幸感が半端ない。

包丁を入れる西田さんはねじり鉢巻きが粋。
包丁を入れる西田さんはねじり鉢巻きが粋。
1982年創業。改築を経て夫婦で営む。話好きの女将さんとの夫婦漫才もほほえましい。
1982年創業。改築を経て夫婦で営む。話好きの女将さんとの夫婦漫才もほほえましい。

『和DININGこころ』店舗詳細

和DININGこころ
住所:東京都江東区新大橋3-9-7 サンクタス森下1F/営業時間:11:20〜13:20(土曜はランチ営業なし)・17:00〜22:00LO/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄新宿線・大江戸線森下駅から徒歩1分

最後の一滴まで味わい尽くしたいスープ『スプスパ』[住吉]

魚介類の冷製パスタペスカトーレ750円は出汁ゼリーを散らす。温製も可。サラダ付き。細麺スパゲティーはツルシコ。
魚介類の冷製パスタペスカトーレ750円は出汁ゼリーを散らす。温製も可。サラダ付き。細麺スパゲティーはツルシコ。

ホテルのフレンチ出身の店主・元矢学さんが作るのは、スープスパゲティー。皮付きニンニク、鷹の爪、ローリエをとろ火で煮込んだ自家製オイルが決め手で、 「オリーブオイルや生クリームは買ったことがないですね」 と笑う。魚介満載のソースを、鶏、昆布、かつおでとった出汁で割り、このオイルをたらり。口に運ぶたび、ぐんぐん香味が増していく。 「最後はリゾットに」と小ライス付きなのも心憎い。

ランチサービスの小ライスを入れてリゾットに。
ランチサービスの小ライスを入れてリゾットに。
元矢さんは洋食に合うキムチ400円も手作り。クリームスープで味わえばまろやか&ピリ辛。
元矢さんは洋食に合うキムチ400円も手作り。クリームスープで味わえばまろやか&ピリ辛。

『スプスパ』店舗詳細

スプスパ
住所:東京都江東区石島14-7 今泉ビル1F/営業時間:11:00〜14:30・17:00〜22:00/定休日:日/アクセス:地下鉄半蔵門線・新宿線住吉駅から徒歩12分

ごはんもお酒も進みまくる燻製ずくめ『Smoked Bar KoO』[門前仲町]

燻製ランチ950円はハム2種、ベーコンの下にご飯。ポテサラはいぶりがっこ入り。豆と野菜コンソメスープ、サラダ、コーヒー付き。
燻製ランチ950円はハム2種、ベーコンの下にご飯。ポテサラはいぶりがっこ入り。豆と野菜コンソメスープ、サラダ、コーヒー付き。

スモークウッドやチップ、コーヒー粉、茶葉、ピートパウダー、ザラメなどを、食材に合わせて独自にブレンド。自家製燻製の中でも、熟成させたハムやベーコンは酒肴に最強だ。さらに、ごはんやパンに合うよう改良を重ねた燻製ランチが稀有だ。燻製塩、燻玉なども用いられ、鼻に抜ける薫香に恍惚(こうこつ)必至。「シャルキュトリ職人を目指す」店主の独創的な技が冴えまくる。

伊豆稲取の流木作家による内装、家具でしつらえる。
伊豆稲取の流木作家による内装、家具でしつらえる。
「テラス席の遮光テントはこれから張ります」と小川さん。
「テラス席の遮光テントはこれから張ります」と小川さん。

『Smoked Bar KoO』店舗詳細

Smoked Bar KoO(スモーク バル コウ)
住所:東京都江東区富岡1-12-7 石塚ビル1・2F/営業時間:11:30〜14:00(火〜木のみ)・17:00〜24:00/定休日:月/アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅から徒歩1分

魚と三浦野菜がせめぎ合う奥深い味わいのパスタ『taverna Nome』[清澄白河]

日替わりパスタランチ(平日)はサラダ付き1000円。土曜は前菜付きで1500円。写真はヒラメとカブ、ミニトマトのスパゲッティー。
日替わりパスタランチ(平日)はサラダ付き1000円。土曜は前菜付きで1500円。写真はヒラメとカブ、ミニトマトのスパゲッティー。

「昔から魚好き。イタリアンなら魚料理ができるなと思って」と、店主の岩坂玄太郎さんは豊洲市場仕入れの魚介を軸に献立を決める。タイやヒラメ、スズキなど、身は料理に、頭やアラ、中骨は出汁にと、余すことなく使い切るのが信条だ。合わせるのは、三浦半島の農家から仕入れる味の濃い野菜。素材の力を信じてシンプルに仕上げれば、魚の風味が上品で奥深い旨味に。ワインが恋しくなる。

カウンター席。夜はワインと小皿料理の飲みに、パスタで食事にも使える。
カウンター席。夜はワインと小皿料理の飲みに、パスタで食事にも使える。
改築した木造2階に2020年春移転。
改築した木造2階に2020年春移転。

『taverna Nome』店舗詳細

taverna Nome(タベルナ ノーメ)
住所:東京都江東区常盤2-12-12-2F/営業時間:12:00〜13:00LO・18:00〜22:00LO/定休日:日・月・第3土/アクセス:地下鉄半蔵門線・大江戸線清澄白河駅から徒歩3分

取材・文=佐藤さゆり、高橋健太(teamまめ) 撮影=井原淳一、鈴木奈保子