観光地を巡るでもない、地味な路線と言ってしまえばそれまでだ。しかし荒川線は、華の大東京に残された最後の都電。郷愁、下町、人間模様。そういったニオイが文学的な何かを呼び寄せるのかもしれない。

『早稲田大学国際文学館 村上春樹ライブラリー』[早稲田]

入り口の先にはトンネル型の階段。
入り口の先にはトンネル型の階段。

2021年10月、早稲田大学構内にオープンしたばかりの同館は、その名の通り小説家・翻訳家の村上春樹にちなんだ文学館だ。村上氏の作品およびその各国語訳や、関連する書籍、レコードなどを所蔵。ゆかりの家具やピアノなども館内のあちらこちらに。B1のカフェ「橙子猫-Orange Cat-」は予約不要で入れるぞ。

再現された「村上さんの書斎」も。
再現された「村上さんの書斎」も。
オーディオルームでは村上氏に縁のあるジャズが聴ける。
オーディオルームでは村上氏に縁のあるジャズが聴ける。
「橙子猫-Orange Cat-」のハンドドリップコーヒー 500円にシュガードーナツ300円。店名はかつて氏が経営していたジャズ喫茶「Peter Cat」へのオマージュ。
「橙子猫-Orange Cat-」のハンドドリップコーヒー 500円にシュガードーナツ300円。店名はかつて氏が経営していたジャズ喫茶「Peter Cat」へのオマージュ。
建物の設計は隈研吾によるもの。
建物の設計は隈研吾によるもの。

村上春樹(1949〜)

小説家・翻訳家。早稲田大学卒。『ノルウェイの森』(講談社、1987年)が人気を博し、海外でも大きな支持を得る。同書には早稲田をモチーフにしたシーンが多く、都電に乗る場面も描かれている。

『早稲田大学国際文学館 村上春樹ライブラリー』店舗詳細

早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)
住所:東京都新宿区戸塚町1-104/営業時間:10:00〜17:00(カフェの営業は土・日・祝は〜15:00)/定休日:水/アクセス:地下鉄東西線早稲田駅から徒歩7分、都電荒川線早稲田停留場から徒歩7分

『吉村昭記念文学館』[荒川二丁目]

入り口には初刊本のカバージャケットが。
入り口には初刊本のカバージャケットが。

2022年に開館5周年を迎えた荒川区の中央図書館、それと同時に誕生した吉村昭記念文学館は、2フロアにわたる展示資料の充実ぶりや、図書館との強い連携が魅力的だ。展示や各種イベントなども多く、また企画展のウェブサイトが会期後も見られるのもうれしいポイント。建物の上階から見える都電は、まるでおもちゃみたいに見えるぞ。

再現された書斎はご子息も驚くほどの出来栄え。
再現された書斎はご子息も驚くほどの出来栄え。
3Fには著書の他、作品を深く理解するための関連書籍や縁のある作家の作品なども。
3Fには著書の他、作品を深く理解するための関連書籍や縁のある作家の作品なども。
自筆の清書原稿はとても丁寧な楷書で書かれており、氏の性格が伺える。
自筆の清書原稿はとても丁寧な楷書で書かれており、氏の性格が伺える。
おみやげは1Fカウンターで。メモ帳150円、ブックカバー各550円。
おみやげは1Fカウンターで。メモ帳150円、ブックカバー各550円。

吉村 昭(1927〜2006)

小説家。荒川区日暮里の生まれ。記録文学・歴史文学の分野で大きな足跡を残す。またエッセイ集『東京の下町』(文藝春秋、1985年)も、故郷の荒川区など東京の下町を詳細かつ温かに描いた傑作。

『吉村昭記念文学館』店舗詳細

吉村昭記念文学館(よしむらあきらきねんぶんがくかん)
/営業時間:9:00〜20:30/定休日:第三木/アクセス:都電荒川線荒川二丁目停留場から徒歩1分(ゆいの森あらかわ内)

取材・文=かつとんたろう 撮影=吉岡百合子(編集部)