住宅地はもちろん、雑居ビル、遊歩道沿いなど、ご近所さんも気づきにくい立地に、ユニークな喫茶店が隠れています。潜んでたってこだわりはだだ漏れ! 店主が愛する世界を味わえる都電荒川線沿いの個性派喫茶をピックアップしました。
紙と景色に見惚れ香りにくつろぐ『iro』[早稲田]

窓越しの枝葉が一幅の絵のよう。家具や小物を紙で彩るデコパージュ用の紙専門店だが、「講座や紙選びの前後にお茶ができたら」と、オーナーの前田珠恵さん。桜並木を借景に作品を飾ったカフェを併設した。店主でコーヒー通の夫・明秀さんがドリップするエイジングコーヒーのほか、 「とことんハマって」と、中国・台湾茶も芳(ほうば)しい。前田さんの祖母が愛したニッコー製カップで供され、優雅な時間だ。



『iro』店舗詳細
iro
住所:東京都豊島区高田1-6-9/営業時間:10:00〜18:00/定休日:月・火/アクセス:都電荒川線早稲田停留場から徒歩2分
懐かしさ漂う茶屋の2階で一服のお茶を『マルキク矢島園2階 茶処まんずcafe』[巣鴨新田]

2代目の矢島新一さんが営む茶屋は1955年創業。2021年の夏、妻の千代子さんが2階で茶カフェを始めた。 「水代わりにね」と供すのは、農園と共同開発した緑茶deアールグレー。心地よい清涼感の後、柑橘がふわり。おすすめは焼き芋セットだ。芳醇なバターのせに加え、ひんやりなめらかな冷凍もあり。世界農業遺産「静岡の茶草場」栽培の緑茶にもため息。古民家風情の中、のほほんと過ごしたい。



『マルキク矢島園2階 茶処まんずcafe』店舗詳細
マルキク矢島園2階 茶処まんずcafe
住所:東京都豊島区北大塚3-22-8/営業時間:11:00〜18:00/定休日:水・日/アクセス:都電荒川線巣鴨新田停留場から徒歩4分
自家焙煎コーヒーと洋菓子と、ときどき釣具『リールズ 西洋釣具珈琲店』[鬼子母神前]

店主の宮宗(みやそう)俊太さんは焙煎士であり、釣り師。「つい話しこんじゃうから」と、名物釣具を通販に切り替え、店ではコーヒーに集中。自家焙煎する15種の豆を用い、サイフォンで抽出する。飲めば喉越しするり、香りふくよか。また、妻の央子(ちかこ)さんはパティシエで 「コーヒーに合うように」と、口溶けや香りを工夫。果実や豆の香りをムースやクリームに移して表現する季節感にも、うっとりとなる。



『リールズ 西洋釣具珈琲店』店舗詳細
リールズ 西洋釣具珈琲店
住所:東京都豊島区雑司が谷2-8-6/営業時間:11:30〜19:00(金は14:00〜)/定休日:月(祝の場合は不定)/アクセス:都電荒川線鬼子母神前停留場から徒歩すぐ
上質なケーキに寄り添う国産紅茶の香り『国産紅茶専門店 TEAROOM Yoshiki Handa』[町屋]

フランス発ティーサロンから独立した店主の半田貴規(よしき)さんは、国内産地を巡り、魅力ある茶葉を集める。一番茶で緑茶、二番茶で紅茶を作る茶園の製法違いを仕入れ、年間約15種を季節変わりで用意。飲むだけにあらず。妻でパティシエの久美さんが丹精するケーキは茶葉香るゼリーやクリームが仕込まれ、香りやさしく舌触りしっとり。「お茶は名脇役。会話やケーキの傍らにいる存在でいたいです」。



『国産紅茶専門店 TEAROOM Yoshiki Handa』店舗詳細
国産紅茶専門店 TEAROOM Yoshiki Handa
住所:東京都荒川区町屋3-6-1/営業時間:11:30〜19:00(売り切れ次第終了)/定休日:月・火・水(祝は不定)/アクセス:都電荒川線町屋停留場から徒歩6分
下町商店街に現るやさしさ滲む麺カフェ『natural cafe こひきや』[熊野前]

「昭和喫茶を現代流で」と、広島出身の店主・朝倉脩登(なおと)さんは3世代家族が多く暮らす妻の地元で開業。みんなで食べられるようにと、麺類を主役に据えることに。専門店とは一線を画す独創的なメニューぞろいで、うどんは香川、ラーメンは京都の製麺所に特注。魚介に鶏を加えた奥深い出汁は飲み干す人続出だ。食後は新潟の牧場と共同開発したソフトを。三温糖が素朴なミルク感を際立てる。



『natural cafe こひきや』店舗詳細
natural cafe こひきや
住所:東京都荒川区東尾久5-20-15/営業時間:11:30〜14:00LO/定休日:日・月・祝/アクセス:都電荒川線熊野前停留場から徒歩6分
独自のオーディオで贅沢に音楽とお茶を堪能『ビブリオ.クラシック 珈琲と紅茶』[鬼子母神]

壁一面を埋めるのはクラシックのアナログレコード約1万2000枚! 店主の新倉裕之さん秘蔵盤で、交響曲、室内楽、ピアノ曲など、まんべんなく網羅し、リクエストにも即対応。録音年代に合わせて針も使い分ける。真空管アンプ、自作の3ウエイホーン型メインと響き専用のスピーカーから音があふれ出すと、臨場感はまるでホールだ。ポットサービスの紅茶やコーヒーとゆったり楽しみたい。



『ビブリオ.クラシック 珈琲と紅茶』店舗詳細
ビブリオ.クラシック 珈琲と紅茶
住所:東京都豊島区雑司が谷3-7-2 サンライズビル3F/営業時間:13:00〜22:00/定休日:火/アクセス:都電荒川線鬼子母神停留場から徒歩3分
取材・文=佐藤さゆり 撮影=加藤熊三