店に入った瞬間に焼き芋の香りがして、山積みになった干し芋がお出迎え。有楽町のアンテナショップ巡り中に『IBARAKI sense』を訪れたら、数年前よりも明らかに品揃えがパワーアップしているようだった。東京に近く、何度か訪れたことのある茨城県だが、イメージが強すぎて、ついつい干し芋と納豆を買って帰ってしまう。今回は隠れた名産も教えてもらおう。

旬の農作物がリレーするように並ぶ『IBARAKI sense』

『IBARAKI sense』は2018年に前身となる茨城県のアンテナショップからリニューアルオープン。上質なアイテムをセレクトして、茨城から東京、そして世界へ向けて発信をおこなっている。物販スペースには飲食スペースも併設していて、入り口横には旬のフルーツを使用したスイーツが人気のカフェ、奥には県産の食材を使用したダイニングレストランがある。

お店を訪れるのは県出身者や茨城県に関わる人が多い。果物なら冬と春はいちご、夏はメロン、秋は梨・栗・柿といったようにリレー形式で変わる食材が魅力で、それを目がけて来る人も多数。カフェで提供される、季節ごとに変わるパフェのファンもいるといいう。

店長の宮崎さんが手に持っているのは、イチオシアイテムの将門煎餅と干し芋。
店長の宮崎さんが手に持っているのは、イチオシアイテムの将門煎餅と干し芋。

案内してくれるのは、県出身者の店長の宮﨑さん。散歩の達人のファンだそうで、歓迎ムード全開でお話してくれた。

宮崎さん:「リニューアルから数年経って、お客さまのご要望をお聞きしながら、商品ラインナップはかなりパワーアップしています。近年は、健康や美容に気遣って、納豆や干し芋をお求めになる方も多く、SNSをみて来てくださる若い年齢層のお客さまも増えました。

茨城県は野菜やフルーツ、魚や肉など、農林水産物が豊かで名産品もたくさんあります。たっぷりご紹介しましょう。」

店へ入ってすぐ。目の前にひしめく干し芋たち。
店へ入ってすぐ。目の前にひしめく干し芋たち。

宮崎さん:「干し芋はさつまいもの品種や生産者、加工メーカーなど多様で、商品によって乾燥具合や甘さも大きく違います。常時20種類以上を取り扱い、一番品揃えがいいのはオンシーズンの1月ごろから春ごろまでです。約100種類が揃い、芋をスライスせずに丸ごと干した“丸干し”は、ほぼこの時期にしか出回りません」

焼き芋マシーンが鎮座し、それを干し芋が取り囲む。
焼き芋マシーンが鎮座し、それを干し芋が取り囲む。

宮崎さん:「焼き芋は季節問わず提供していて、焼き上がりの時間になるといい香りがお店中に広がります。けっこう売れるんですよ」

隣の棚には立派なシャインマスカット!あまりの大きさに驚く。
隣の棚には立派なシャインマスカット!あまりの大きさに驚く。

宮崎さん:「先日、茨城県内でシャインマスカットの品評会が開催され、入賞したものを販売しました(※2022年現時点での販売は終了)。少しお値段は張りますが、なかなか手に入りませんよ」

ひと粒ずつに弾けそうな張りがあり。その神々しさに思わず手を伸ばしたくなる。

9月ごろから11月初旬までは栗も旬。
9月ごろから11月初旬までは栗も旬。

宮崎さん:「実は茨城県は栗の名産地で、国内生産量が日本一です。特に陶器の笠間焼きで知られる、笠間市が有名です」

素朴すぎるラベルに反して、なんだかすごすぎるぽろたん。
素朴すぎるラベルに反して、なんだかすごすぎるぽろたん。

宮崎さん:「生栗は10月ごろまでの入荷で、11月ごろまでは栗を使ったスイーツが入荷します。数ある加工品をひとつオススメするなら、“ぽろたん”という品種の栗の甘露煮。老舗の名店『小田喜商店』が手掛けた商品で、期間限定販売につき売り切れ必至です」

芋、マスカット、栗。そのほかにも、新米や梨などが並び、お店に秋の恵みが渋滞している。茨城県は実りの県だ。

茨城県の名産といえば、納豆。
茨城県の名産といえば、納豆。

宮崎:「稲わらに包まれた、わらつと納豆は水戸の名産です。あまり東京では見かけませんが、わさびと醤油でいただく黒豆納豆も人気。あと郷土料理でもある、そぼろ納豆はお酒のおつまみにもぴったりです」

宮崎さんのいう通りである。実はわたくし、そぼろ納豆を食べたことがあるのだ。茨城のスーパーで偶然出会い、いい酒のつまみであったのをよく覚えている。宮崎さんと意気投合し、「豆腐にのせても、海苔に巻いてもいい……!」とテンション高めに語りながら、買い物カゴへ放り込む。そぼろ納豆の詳細は後ほどお伝えしよう。

茨城県は醤油も名産!大豆、小麦がよく採れ、江戸時代から銘醸地だったようだ。
茨城県は醤油も名産!大豆、小麦がよく採れ、江戸時代から銘醸地だったようだ。
将門煎餅は宮崎さんのイチオシ。
将門煎餅は宮崎さんのイチオシ。

宮崎:「茨城はお米もおいしくて、菓子だっておいしいです。将門煎餅は、見た目はなんの変哲もないおせんべい。でも食べるとお米のうまみがあって、止まらなくなります。私はいつも薄焼を食べています。県民で知らない人はいません!」

しらす、鯖、常陸牛、日本酒などたくさんの名産品をオススメしてもらい、迷いながら店内を何周もする。今回も大量に買い込んで取材を終えた。

私の茨城県1000円セット

今回購入したのは、こちら。

そぼろ納豆 250円
日本酒 助さん格さん 208円
すいーとまろん 180円
あわ漬け 350円

合計で988円!
図らずも、大豆、小麦、米、芋でできた畑のセットになった。

盛り付けるとこんな感じ。
あわ漬けで作ったおつまみとそぼろ納豆、カップ酒で、いつも通り一杯はじめることにする。

あわ漬けは、醤油の醸造蔵が内部だけで使っていた秘伝のタレ。醤油を火入れするときにでる泡をすくって漬物液にしたのがはじまりなのだそう。きゅうりは浅漬け、きのこは茹でて醤油漬けのようにしてみた。そぼろ納豆は、切干大根がパリパリして、少し塩味濃いめの味付け。食べながら宮崎さんが「茨城県民はしょっぱいものが好きだから」と言っていたのを思い出す。

「これくらいが酒のつまみになるなぁ」と思いながら、ほの甘いあわ漬けのきゅうりをつまみ、酒をあおる。

〆のデザートにすいーとまろん。笠間の栗を使用し、白あんなどと練って焼き上げた一口サイズのお菓子で、ブランデー風味があってちょっと大人の味。こんなに豪華なおつまみセットが楽しめる茨城県、素晴らしい。

1000円オーバー追加購入品

1000円オーバーで追加購入したのは、宮崎さんオススメの新米1000円!ゆうだい21は栃木県の宇都宮大学が育成した新品種で、ねっとり甘いのが特徴。茨城県でも少しずつ栽培が広がっていて、新米が入荷するのはレアなのだそう。人気と聞いて、最後のひとつをゲットした。

炊きたてツヤツヤのご飯は、噛みしめるごとに甘みが広がっていく。何もかけずに食べても満足できるリッチさ。そぼろ納豆をかければ、食べるのがワシワシ加速する。

絶対ご飯に合うと思って購入しておいた、常陸牛のハンバーグ594円。これを焼いてオンザライス。肉汁をまとえば、ご飯の艶めきも一層増すことだろう。

ハンバーグはぎゅっとした肉感にしっかり味つけしてあり、食べ応えがある。調味料をかけなくてもいい味わいで、ご飯にもあう。

関東平野の恵みをたくわえたい

今回は関東平野の実りを存分に味わえた。大満足の気持ちで迎えた翌朝、新米のご飯を味わってみてびっくり。冷えたものでも、もっちり甘かったのだ。

ただでさえ食いしん坊になってしまう秋だから、日本酒や炊きたてご飯は少し控えようと思っていたけど、これはいかん。「恵みを体にたくわえて幸せになるのだ」と言い訳をして。台所に立ったまま、冷やご飯を海苔で巻いていただいた。

IBARAKI sense(イバラキ センス)
住所:東京都中央区銀座1-2-1 紺屋ビル1階/営業時間:10:30〜20:00/定休日:無/アクセス:地下鉄有楽町線銀座一丁目駅から徒歩1分、JR・地下鉄有楽町駅から徒歩3分

取材・文・撮影=福井 晶

福井 晶
ライター
1990年生まれ、兵庫県出身。酒場が人生の友と勝手に決め込む食いしんぼうライター。相撲の番付表の貼ってある居酒屋が好き。