吉祥寺駅前から続くサンロード商店街にあり、板塀の外壁と「祥」の文字が輝く外観は、思わず足を止めてしまう迫力がある。博多ラーメンや熊本ラーメンなどをアレンジした豚骨の九州ラーメンを味わえる店で、深夜まで通し営業ということもあり、昼夜問わず客足が絶えることがない。

博多&熊本ラーメンの真骨頂を味わえる

2009年にオープン以来、九州ラーメンの人気店として知られている。店主の古川潤也さんは「この店と、渋谷にあるラーメン店と2店舗ありますので、行ったり来たりとなかなか大変です。この店は大学生の頃、オープニングスタッフとして手伝いました。その頃からの基本の味は変えず、オペレーションを少し変えて、より動きやすく、お客様においしいラーメンをお届けできるようにしています」と話す。
“九州らーめん”と銘打っているのは、博多ラーメンや熊本ラーメンを基本とした独自の豚骨ラーメンを提供しているからだ。


店内炊きで1から作るスープの旨さの秘訣

自慢の豚骨スープは豚の頭、ゲンコツ、背脂を使用し、じっくりと3〜4時間かけて煮出している。スープを仕込んでいるというにもかかわらず、店内には豚骨特有の臭いがあまりしない。なぜなのか聞いてみると、「特に豚の頭をしっかり血抜きして、下処理を行っているからなんです。そうしないと、雑味も独特の臭みも残るのでおいしいスープができません」と古川さん。
このほか、別のメニューに使う魚介出汁や鶏出汁の2種類もいちから作っているという。こうした手間を惜しまないのは、スープだけではない。
チャーシューは豚バラと豚ロースの2種類を使い、ほかに豚の角煮も作る。麺も極細ストレート麺と縮れの細麺を用意し、それらはすべてメニューによって使い分けている。

自慢のスープとトッピングを堪能できる1杯

おすすめは特金祥らーめん990円。麺の硬さは、柔(やわ)めから「こなおとし(極硬め)」までの6段階から選べる。
スープをすくってみると、感動のクリーミーさ! 濃厚だがやや甘さもありおいしい。シコシコと弾力があり、喉ごしのよい麺は小麦の風味が高く、コクのあるスープをまとって旨みが増す。


2種類のチャーシューは、脂身が多くジューシーな豚バラ、肉質をしっかり感じ脂身とのバランスがよいロースと、食感の違いを楽しめるようになっている。角煮はトロトロと口溶けもよく甘い感じで、すべて食べ終わるころにはお腹もすっかり大満足だ。


卓上には味変アイテムも並ぶ。お店がおすすめするトッピングの違いを明記したPOPも貼られているので、好みに合わせて選んでみたい。ラーメンコショーをはじめ、マイルドになるすりゴマ、旨さが引き立つ生ニンニクなど7種類も用意されている。
今日はどんな味で試そうか? 卓上に並ぶ味変アイテムを選ぶ手にも迷いながら、自分なりの味を探していく楽しみはまた足を運びたくなる。
九州らーめん 祥(きゅうしゅうらーめん しょう)
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-13-1/営業時間:10:30〜翌4:20LO(金・土・祝前日は〜翌6:30LO)/定休日:無/アクセス:JR中央本線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩2分
取材・文・撮影=千葉香苗、構成=アド・グリーン
アド・グリーン
編集プロダクション
1982年創業の編集プロダクション。旅行関係の雑誌・書籍、インタビューやルポルタージュを得意とし、会社案内や社内報の経験も多数。企画立案から、取材・執筆、デザイン、撮影までをワンストップで行えるのがウリ。