昨今、クラフトビール界が勢いづいている。ビールの種類が増え、自家醸造の工房が増加の一途。中でも東京は工場内で出来たてが味わえるタップルームも多く、仕込むたびレシピも変わる。 缶やボトルは手みやげに、ドラフトの持ち帰りは今宵の晩酌に最適だ。 さぁ、グビグビっとビールの世界へ出かけよう!

『Let’s Beer Works』ビール奥深さに開眼する週末の昼下がり[東十条]

左から、It Goes Red(Fruits Gose) ハーフ750円、be lazy(Ordinary Bitter) ハーフ700円、Under the night sky(HazyIPA) ハーフ750円。全て273ml。一番人気はHazyIPA。Bitterは他店とのコラボビア。ゴーゼは夏味。飲み比べセット150㎖×3種で1300円前後(ビール種による)。
左から、It Goes Red(Fruits Gose) ハーフ750円、be lazy(Ordinary Bitter) ハーフ700円、Under the night sky(HazyIPA) ハーフ750円。全て273ml。一番人気はHazyIPA。Bitterは他店とのコラボビア。ゴーゼは夏味。飲み比べセット150㎖×3種で1300円前後(ビール種による)。
テラス席のほか、店内にカウンター席あり。小鉢200円をアテに。
テラス席のほか、店内にカウンター席あり。小鉢200円をアテに。

週末の路地に即席のテラス席がお目見え。店内をのぞけば、タップルームの奥で巨大なタンクが存在感をアピールする。
年齢も職業もバラバラの同志が集い、「ビールの楽しさを表現・発信したい」と、各自が得意分野で力を発揮。醸造家は3人もいて、「それぞれ得意なビアスタイルが違うし、味に性格が現れるんです」と、代表の阿川裕子さん。
酸味がガツンとくるゴーゼに、炭酸ゆるめのビターなど、一杯ごとに個性異なる世界を堪能したい。

月に3〜4種の新作がお目見えし、タイプが異なる8種が常時飲める。
月に3〜4種の新作がお目見えし、タイプが異なる8種が常時飲める。
コロナを機に缶の充填設備も整えた。デザインも醸造長による作。
コロナを機に缶の充填設備も整えた。デザインも醸造長による作。

造ったのはこの人!

クラフトビールのセミナーで知り合い、意気投合した6人が多くの仲間たちに支えられて2020年に立ち上げ。醸造家3人を有する。

『Let’s Beer Works』店舗詳細

Let’s Beer Works
住所:東京都北区東十条2-15-7/営業時間:13:00〜19:00(土・日のみ営業)/定休日:月〜金/アクセス:JR京浜東北線東十条駅から徒歩2分

『ガハハビール』マンモス団地の居酒屋がまさかの伝道所に[東陽町]

飲み比べ3種セット(各200㎖)1550円。左から、ダンチエール(ESB=エクストラ・スペシャル・ビター)、シャルウィートダンス(セッションウィートIPA)、ベリーベリーハッピー?(フルーツエール)。おつまみ3点盛り650円の下町レバーがベリーの甘酸っぱさとドンピシャ。鯖のリエットはESB、ポテサラは苦味爽やかなIPAに合う。
飲み比べ3種セット(各200㎖)1550円。左から、ダンチエール(ESB=エクストラ・スペシャル・ビター)、シャルウィートダンス(セッションウィートIPA)、ベリーベリーハッピー?(フルーツエール)。おつまみ3点盛り650円の下町レバーがベリーの甘酸っぱさとドンピシャ。鯖のリエットはESB、ポテサラは苦味爽やかなIPAに合う。
団地の1階の商店街にある。外飲み席があり、昼飲みもできる天国だ。
団地の1階の商店街にある。外飲み席があり、昼飲みもできる天国だ。

旬魚が自慢の居酒屋の、もう一つの看板が自家醸造のビール。
「酒はそんなに強くない」と話す店主の馬場哲生さんだが、料理修業中にIPAにハマり、醸造法を習得。生まれ育った団地で開業した。笑い声を店名に忍ばせたのは「ビールは笑って飲むもの」だから。その親しみやすさに、クラフトビールに縁のなかった老若男女までもが誘い込まれている。
また、チューハイ感覚のフルーツ系もバリエーションを用意。ここでクラフトビールに目覚める人が少なくない。

丁寧に出汁を引いた和食にも注目。煮魚、焼魚はアテに最強だ。
丁寧に出汁を引いた和食にも注目。煮魚、焼魚はアテに最強だ。
似顔絵がトレードマーク。ボトル(主に650円)は手みやげにも人気。
似顔絵がトレードマーク。ボトル(主に650円)は手みやげにも人気。
団地の一角にある醸造所。発酵タンク4つをフルに稼働させている。
団地の一角にある醸造所。発酵タンク4つをフルに稼働させている。

造ったのはこの人!

マーシーIPA小650円を手にする馬場さんは、『高円寺麦酒工房』で現醸造長と知り合い、江東区初のビール醸造所を2017年に開設した。

『ガハハビール』店舗詳細

ガハハビール
住所:東京都江東区南砂2-3-1-118/営業時間:11:00〜22:00/定休日:月(不定休あり)/アクセス:地下鉄東西線東陽町駅から徒歩6分

『RIOT BEER』ビールも店頭スタッフも日々進化[祖師ヶ谷大蔵]

左から、Roxanne(ロクサーヌ・ESB)グラス800円、Salvation(サルヴェーション・IPA)グラス800円、Stray Cats(Coffee Porter)グラス800円。ホットサンド600円とカラフルにんじんのマリネ200円は水曜、秋田のおばんざいは火曜に登場。麦芽カスを活用した定番フードも。
左から、Roxanne(ロクサーヌ・ESB)グラス800円、Salvation(サルヴェーション・IPA)グラス800円、Stray Cats(Coffee Porter)グラス800円。ホットサンド600円とカラフルにんじんのマリネ200円は水曜、秋田のおばんざいは火曜に登場。麦芽カスを活用した定番フードも。
常時10種を用意。泡切りしたビールは、パン作りや米を炊くときに使用している。
常時10種を用意。泡切りしたビールは、パン作りや米を炊くときに使用している。

狭小工房ながら、冷蔵庫9つを用いた石見式(島根県『石見麦酒』発案)で醸造。モルトを糖化するとき、50℃から4、5回に分けてゆっくり温度を上げる昔ながらの方法で仕込む。
「丁寧に作るとおいしくなる“気”がします」とは、オーナーの上池風吾さんだ。その穏やかな人柄とビールの多彩さにほれ、常連からスタッフになる人も多い。
音楽好きデザイナーが木・金に、還暦過ぎの紳士が日曜に立ち、バーのような風情に。「曜日で客層も変わります」。

木・金曜を担当するデザイナーがパッケージデザインしたボトルビール650円。
木・金曜を担当するデザイナーがパッケージデザインしたボトルビール650円。
住宅地の中にあり、子供の送迎前、仕事帰りに軽く立ち寄る地元住民多し。
住宅地の中にあり、子供の送迎前、仕事帰りに軽く立ち寄る地元住民多し。

造ったのはこの人!

140ℓと少量製造のため、週4日で仕込む上池さん。

月曜担当のマリモさん(右)。水曜担当・エリィさん(左)は土曜にビアパンの店頭販売も行う。

『RIOT BEER』店舗詳細

RIOT BEER(ライオットビール)
住所:東京都世田谷区砧5-11-10 安藤マンション1F/営業時間:15:00〜21:00(土・日・祝は12:00から)/定休日:無/アクセス:小田急電鉄小田原線祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩6分

『FOLKWAYS BREWING』ビア樽の奥に潜む地元住民の溜まり場[清澄白河]

左から、Porter 850円、Strawberry Sour Ale 950円、IPA 1200円。サワーエールはイチゴの香りと乳酸の酸味が特徴的。白カビサラミといぶりがっこ600円など、バーフードもあり。
左から、Porter 850円、Strawberry Sour Ale 950円、IPA 1200円。サワーエールはイチゴの香りと乳酸の酸味が特徴的。白カビサラミといぶりがっこ600円など、バーフードもあり。

修業先のブルワリーも店の立地も「たまたま人のつながりで」と、飄々(ひょうひょう)と語る店主の古沢大典(だいすけ)さん。路地から奥まった店は、表に出た樽が目印だ。
中に入れば、カウンターで和気あいあいと店主と話しながらグラスを重ねる住民の多いこと。4つの発酵タンクで仕込む自家製ビールは「何杯でもゴクゴク飲めてしまう味」を目指す。優しい飲み口が多いが、塩を用いるゴーゼやサワーエールがユニーク。自称「酸っぱいもの好き」で、はじける酸味が盛夏に清涼感を呼ぶ。

元製本所をリノベし、2019年に開業。外飲み用ベンチもある。
元製本所をリノベし、2019年に開業。外飲み用ベンチもある。

造ったのはこの人!

店主の古沢大典さん。8タップ中、自家醸造は4〜5種。

『FOLKWAYS BREWING』店舗詳細

FOLKWAYS BREWING(フォークウェイズ ブリューイング)
住所:東京都江東区平野3-6-3/営業時間:17:00〜22:00(土は15:00から、日は15:00〜21:00)/定休日:月・火/アクセス:地下鉄半蔵門線・大江戸線清澄白河駅から徒歩7分

『牛込ビール館』家族で盛り立てる、のどかなブリューパブ[牛込神楽坂]

飲み比べセット150㎖×3(1200円)。左から、American Amber Ale、Oatmeal Stout、Belgian White。フライドポテト400円〜のほか、鶏の唐揚げハーフ350円〜など、味付けが選べるフードも用意。
飲み比べセット150㎖×3(1200円)。左から、American Amber Ale、Oatmeal Stout、Belgian White。フライドポテト400円〜のほか、鶏の唐揚げハーフ350円〜など、味付けが選べるフードも用意。
父母が営む朝昼営業の定食屋『青柳』と店を共有。定食タイムも飲める。
父母が営む朝昼営業の定食屋『青柳』と店を共有。定食タイムも飲める。

「もともとここは父母が営む定食屋。空いている夜を活用しようとしたら、改装しろと言われまして」と、穏やかに笑うのは店主の青柳知也さんだ。
醸造の理論や化学を学ぶアメリカのカリキュラムを習得した兄の遊大(ゆうた)さんが、店の裏手に醸造所を構えたのを機に、2021年に開業。
「兄のビールはすぐに分かります。味と香りのバランスがとにかくいいんです」とほれ込み、寡黙な兄に代わり、飲み飽きない味とのどかな空間を提供。地域住民の憩いの場になっている。

兄が醸造する『新月ビア』を扱う青柳さん。
兄が醸造する『新月ビア』を扱う青柳さん。
醸造所ではボトル670円を随時販売する。
醸造所ではボトル670円を随時販売する。

『牛込ビール館』店舗詳細

牛込ビール館
住所:東京都新宿区箪笥町29/営業時間:17:00〜23:00(土・日は14:00〜21:00)/定休日:不定/アクセス:地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅から徒歩2分

取材・文=林さゆり 撮影=丸毛透 鈴木奈保子(『ガハハビール』『FOLKWAYS BREWING』)
『散歩の達人』2023年8月号より