「いえいえ、鉄ではありません」と口を揃える店主の皆さん。成り行き、夢に登場、憧れの雰囲気、ロケーションが魅力など、ひょんなことがきっかけで生まれた店だからこそ、鉄道マニアじゃなくても居心地のいい空間なのである。想像力と個性が光る、ちょい鉄な店をご紹介。

とき川の小物屋さん

都幾川渓谷鉄道「蛍」駅へ、ようこそ

蛍駅の空想駅舎内、広〜い青空茶店。
蛍駅の空想駅舎内、広〜い青空茶店。

ん? 周囲を見渡せど線路も車両もない。なくて当然。走るのは、店主・川﨑敏雄さんが創った架空の鉄道なのだから。山歩きで訪ねたこの地に惚れ、小物屋を開いて4年過ぎたころ、対岸にトロッコが走っていた昔話を聞いた。「光景を想像して、都幾川沿いを走る鉄道の夢物語を描きました」。この夢を面白がる人がじわじわ増えている。新たに駅名標ができる兆しもあるとか。夢は正夢?

「ホッとひと息ついてね」と川﨑さん。
「ホッとひと息ついてね」と川﨑さん。
水出しコーヒー(アイス)450円は、シロップとミルク入り&心に響くひと言添え。
水出しコーヒー(アイス)450円は、シロップとミルク入り&心に響くひと言添え。

『とき川の小物屋さん』店舗詳細

とき川の小物屋さん
住所:埼玉県ときがわ町西平767-2/営業時間:10:30〜日没/定休日:雨天/アクセス:JR八高線明覚駅から「せせらぎバスセンター」行きイーグルバスで5分の「せせらぎバスセンター」で乗り継ぎ、「竹の谷」行き10分の「西平運動場入口」下車すぐ。

ピーナツハウス

日曜大工で作り出した、遊び心満点の銀河空間

星空の下をプラレールの銀河鉄道が走る2階席。19~22時の毎時5分出発で、臨時走行希望はボタンを押す。
星空の下をプラレールの銀河鉄道が走る2階席。19~22時の毎時5分出発で、臨時走行希望はボタンを押す。

炭火を囲んでバーベキューができる居酒屋、というだけでも“珍”なのに、さらに天井がプラネタリウム風で、頭上に銀河鉄道が走るユニークさ。「バーベキューは野外の醍醐味。夜ならば星空、星空ならば銀河鉄道でしょ」という店主・小川陽一さんのロマンチックな発想が日曜大工で実現。花火を映し、オーロラを作り、銀河の世界を演出する。機関車は汽笛の音色が風情ある旧タイプで、故障に備えてオークションで落とすのが大変だそう。

バーベキュー宴会が主だが単品も充実。カレーピザ880円、牛スジワイン煮880円はビールと。
バーベキュー宴会が主だが単品も充実。カレーピザ880円、牛スジワイン煮880円はビールと。
「一人飲み大歓迎」と小川さん。
「一人飲み大歓迎」と小川さん。

『ピーナツハウス』店舗詳細

ピーナツハウス
住所:東京都国分寺市南町1-14-6/営業時間:金・土・日18:00~23:00、月〜木は予約があれば営業/定休日:不定休/アクセス:JR中央線国分寺駅から徒歩5分

マスタードシード

浅草⇔鬼怒川、思い出の特別列車

「車窓からは上越新幹線が見えますよ」と荻原正彦さん(左端)。店長の英子さん(右端)を中心に家庭的な雰囲気でもてなしてくれる。
「車窓からは上越新幹線が見えますよ」と荻原正彦さん(左端)。店長の英子さん(右端)を中心に家庭的な雰囲気でもてなしてくれる。

青空に映える大きな車両は、1952年製造の東武鉄道57系。「アメリカンダイナーみたいなレストランを電車でしたいなと考えていたら、出合ってしまいました」と、オーナーの荻原正彦さん。土地の整備、高い運搬費、車内のリフォームは大工さんが匙(さじ)を投げ2年を要したと、1991年開店時の苦労を振り返る。元運転手さんが訪ねて来たり、新婚旅行で利用した夫妻が金婚式の宴を開いたり。さまざまな人生の思い出を、大切に乗せて営む。

線路の上に鎮座。
線路の上に鎮座。
旬の手打ちパスタなど全8品のランチサービスコース2000円〜。
旬の手打ちパスタなど全8品のランチサービスコース2000円〜。

『マスタードシード』店舗詳細

マスタードシード
住所:埼玉県行田市前谷463-1/営業時間:11:30〜14:30・17:30〜21:00前後LO/定休日:火/アクセス:JR高崎線吹上駅から徒歩20分

構成=フラップネクスト 取材・文=松井一恵(team まめ) 撮影=オカダタカオ