『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より、旅先で気軽に楽しめる散歩コースを紹介。歩行時間や歩行距離も明記しておりますので、週末のお出かけにご活用ください。 大野山の魅力は、間違いなく富士山。それも最初から富士山を眺めながらの山歩き。それが見えないとがっかりするのも、この山の特徴だろうか。

牧場になっている広い山頂は、西丹沢の絶好の展望所

山頂付近が牧場になっている山が大野山だ。山が牧場として利用できるということは、つまり平べったい山容をしているということだ。 実際、山頂に着くと、平べったいのでどこが山頂かがわからない。でも大丈夫。富士山をバックにした地点に山頂標識が立っている。

大野山の山頂にある標識。これがないとどこが山頂なのかがわからない。
大野山の山頂にある標識。これがないとどこが山頂なのかがわからない。

JR御殿場線の無人駅、谷峨(やが)駅で下車する。このコースは谷峨駅からと、反対の山北駅から上がるコースがあるが、おすすめは谷峨駅から。理由は、こちらは最初から富士山を眺めながら上がれること。そして勾配もこちらのほうが緩い。もう一点は、山北駅からだと、最初に長い車道歩きが続くからだ。せっかく山に来たのに、いきなり車道歩きは、やや登高意欲をそぐのではないか。 以上、3点の理由から谷峨駅からがおすすめなのだ。

 

嵐集落から登山道に入ると、まもなく左手に富士山が見えてくる。右は東名高速道路の陸橋。
嵐集落から登山道に入ると、まもなく左手に富士山が見えてくる。右は東名高速道路の陸橋。

御殿場線に架かる陸橋を渡ってからいったん畑に下りて、酒匂川(さかわがわ)の吊り橋を渡る。車道を少し上がって行くと、東名高速道路の奥にぽっかりと富士山が浮かんできた。もうここからは富士山がときどき顔を出すことになる。

車道をさらに上がって行くと嵐集落に入る。道標があり、そこが大野山への登山口。しばし上がって行くと舗装道に出る。この道が江戸時代、奥山家道と呼ばれた古道で、かつて奥山家と呼ばれた玄倉(くろくら) 、世附(よづく) 、中川を結ぶ古道。大野山一帯は西山家と呼ばれていたようで、その奥にある村ということだ。近くの頼朝桜を見て、古道の先にある東屋でちょっぴり休憩してから、登山道を上がって行く。

奥山家古道そばの頼朝桜。1881(明治14)年に台風により倒れたが、根元から出た枝が育ったのだとか。
奥山家古道そばの頼朝桜。1881(明治14)年に台風により倒れたが、根元から出た枝が育ったのだとか。
山頂にはまだ遠いが、富士山はときどき顔を出してくれる。大野山はまさに富士山を満喫できる山のひとつだ。
山頂にはまだ遠いが、富士山はときどき顔を出してくれる。大野山はまさに富士山を満喫できる山のひとつだ。

左手に富士山がときおり微笑んでくれる。今日の富士山はご機嫌がいいようで、くっきりと見える。裾野も愛鷹山塊もよく見える。手前には、谷峨の西側の山の斜面に作られた段々になっている茶畑のような畑が見える。遠いので正確にはよくわからない。

 

さらに上がって行くと、今度は南側の景色が広がり、少々霞んではいるものの遠くに相模湾が見えてきた。

 

大野山の山頂は近い。

山頂から広がる絶景に、この山の魅力を実感。

山頂付近の牧場も見えてきた。富士山はさらに近づいてきたようだ。スカイツリーと高度が同じという634ⅿの手作り標識を過ぎれば、頂上までは100mほど。

 

大野山山頂付近は牧場が広がる。
大野山山頂付近は牧場が広がる。

谷峨駅から2時間弱、山頂に広がる牧草地に到着。富士山は緑の牧草地の奥にどっしりと控えている。富士山が見える山はいくつもあり、そのうち20、30山は登っていると思うけれど、ここは楽ちんに登れて、しかもず〜っと富士山といっしょ。こんな山も珍しい。人気が高いのも頷けるというものだ。

山頂が平らなのでよくわからないが、標識を探してようやく登頂。山頂付近の南側は遠くに相模湾、そして裏側になる北側には丹沢湖と西丹沢の山並みと箱根の山々が見える。

山頂の南側からは小田原方面と、その奥には相模湾が見える。
山頂の南側からは小田原方面と、その奥には相模湾が見える。
山頂の北側には丹沢湖と西丹沢の峰々が見える。
山頂の北側には丹沢湖と西丹沢の峰々が見える。

サクラにはちょっと早い季節だったが、山頂にヤマザクラの木が何本か。のんびり弁当をひろげてから下山にかかった。一気に下りて廃校になった共和小学校に立ち寄ってから山北駅を目指した。

下山してくると古宿地区に出る。酪農開拓のために一時人口が増えた地区で、廃校となった共和小学校の建物も残る。
下山してくると古宿地区に出る。酪農開拓のために一時人口が増えた地区で、廃校となった共和小学校の建物も残る。

ポッポ駅前屋

100年前のお茶屋で、味よし雰囲気よし

山北駅前にある店で、2011年に開店。昼は食堂、夜は飲み屋になる。建物は約100年前 のもので、元はお茶屋さんだったとか。写真は足柄牛を使ったメンチカツ600円。ランチ (650円)もあり、味と雰囲気のいい店だ。

●11:30〜22:00、月曜休。JR御殿場線山北駅から徒歩1分。☎0465-44-4420

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より