言わずと知れたカレー激戦区・神田神保町で、ひときわ輝く称号がある。それは「神田カレーグランプリ優勝」。2018年に優勝した『MAJI CURRY』は、なんと創業7カ月で優勝を勝ち取るという快挙をなしとげたことでも知られる店。これはぜひ、その味を確かめてみねば……そう思い、足を運ぶことに。

おいしさとコスパの良さが、神田神保町住人の胃袋を掴んだ

「カレーグランプリ優勝御礼」の垂れ幕が燦然と。
「カレーグランプリ優勝御礼」の垂れ幕が燦然と。

店舗があるのは、神保町駅と御茶ノ水駅のちょうど中間あたり。明大通り沿いを歩いていると見えてくる。ちなみにこのエリア、なぜか老舗から新店までカレー店が多数集合している神保町屈指の“カレースポット”であり、「カレー銀座」なんて呼ぶ人も。そんなエリアにわざわざ新規出店したという店だけに、期待は高まる。

2011年から始まった「神田カレーグランプリ」は、神田界隈にある400店舗以上のカレー店からその年のナンバーワンを決めるコンテスト。優勝すると大きな話題となるのはもちろんなのだが、さすがに創業して1年経たないうちに優勝したのはこの店が初。

店内はカウンター席と、2人がけのテーブルが2席。外の券売機で購入した食券は、手ごねハンバーグカレー820円と、トッピングのチーズフォンデューソース200円。そう、このチーズフォンデュー掛けハンバーグカレーこそが、神田カレーグランプリで優勝したメニューなのだ。

ワクワクしながらカレーを待つ。と、机の上には気になるボトルが……。どうやら、ルーやライスにかけて“味変”を楽しむアイテムらしい。

と、カレーが到着! 大皿になみなみと注がれたカレー、そしてライスの上に置かれた手ごねハンバーグ。チーズフォンデューソースは写真のように別添えでやってくる。

はやる気持ちをおさえて、チーズフォンデューソースを上からトローリ。ワクワク感がさらに増し、まるでアトラクションのよう!

さて、さっそく一口。こちらのカレー、創業者の方いわく「スパイシーさと日本式の煮込みカレー、どちらのよさも求めた」とのことだが……納得! 一見欧風カレーのように見えるが、さにあらず。まずじっくり煮込まれたカレー独特の甘みと旨味が口の中に広がり、そこから追いかけてくるのがルーに使われているという数十種類のスパイスの複雑な香り、そして辛さ。チーズフォンデューソースと合わせると、そこにマイルドさとコクが加わる。

上に鎮座した手ごねハンバーグがまた美味しい! スプーンを入れると肉汁がじゅわりと染み出すジューシーさ。「トッピングのハンバーグ」と思っていると、いい意味で裏切られるはず。

1つ1つ丁寧に焼き上げられていくハンバーグ。形も美しい。
1つ1つ丁寧に焼き上げられていくハンバーグ。形も美しい。

食べていると、厨房の奥で手ごねハンバーグの仕込みが始まった。カウンターの向こう側でいい匂いをふりまく、肉肉しいハンバーグ。多分このハンバーグ、これだけを定食とかで食べても美味しいやつ。それが上にのって820円、そしてカレーがこの味。お得じゃないですか? しかもこの店、ライスは大盛り無料。近隣大学生にも人気というけれど、納得だ。

せっかくなので、卓上の味変スパイス類も試してみる。こちらは「香りのスパイス」、ミルをゴリゴリとひいてライスの上へ。中身はクミンやコリアンダーシードだろうか? ホールに近い粗さで加わるため、新鮮な香りと食感が楽しめる。

店舗で毎日仕込まれる、「マジ」なカレー

店長の下村さん。「口下手なので……」と謙遜されるが、実直さが伝わってくる。
店長の下村さん。「口下手なので……」と謙遜されるが、実直さが伝わってくる。

ひろびろとした大皿を、あっという間に平らげてしまった。神保町店・店長の下村さんに「この美味しさの秘密って、何なんですか?」と質問してみる。

「そうですね……とにかく手をかけて、丁寧に作っている、ということでしょうか。かなり長時間煮込んでいますし、ルーも毎日お店でバターと小麦粉を炒めるところから手作りしています」

なんと! 正直、そんなに広くはない店内。大変じゃないですか? と聞いてみると「あはは、そうですね」と苦笑。でもきっと、それが一番大切なことなのだろう。

日曜日はこちらの2種のみ提供になるので、休日に来店する方は要注意。
日曜日はこちらの2種のみ提供になるので、休日に来店する方は要注意。

ありがとうございました、とお礼を言って帰ろうとすると、ふと目についた壁の張り紙。その視線に気づいた下村さんが「あ、よければこの情報もぜひ。実は日曜日だけまったく違うカレーを出してまして……」と。いやいやいや! それとても大事な情報ですから!!

新型コロナウィルスの影響で、休日の神保町エリアの人出は落ち込んでいるそう。そんな中でもなにか新しい試みを……ということで2021年2月からスタートしたとか。通常出しているカレーとは全く違う「スパイスカレー」2種、これは日曜日しか食べられない限定メニュー。通常のカレーがとても美味しかっただけに、猛烈に気になる。

というわけで後日、日曜日に再訪してみようと思った。いやでも他のトッピングも気になるのがあったなあ……そうなると平日か。そんなことをぐるぐると考えながら神保町を歩く。どうやらこの店の「実直さ=マジ」に、ぐっと心を掴まれてしまったようだ。

MAJI CURRY 神田神保町店
住所:東京都千代田区神田小川町3-10-7/営業時間:11:00〜21:30LO/定休日:無/アクセス:地下鉄半蔵門線・浅草線神保町駅から徒歩5分

構成=フリート 取材・文・撮影=川口有紀