産学連携に関する2020年度予算
文部科学省 オープンイノベーションの加速に向けて

(文部科学省 科学技術・学術政策局/産業連携・地域支援課)

大学を中心としたスタートアップ・エコシステムの強化
近年、経済社会構造が資本集約型から知識集約型に急速に変化し、オープン・イノベーションの加速が不可欠となりつつあるなか、イノベーションの担い手としてスタートアップの役割が重要性を増している。

2019(令和元)年6月に閣議決定された「統合イノベーション戦略2019」にもあるとおり、世界的に研究開発型スタートアップが増え、大規模化しているなか、日本においても起業家精神にあふれる人材の潜在能力を最大限に発揮できる環境を整備していくことが必要である。その具体的施策として、内閣府を中心として策定された「Beyond Limits. Unlock Our Potential〜世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略〜」においては、拠点都市への集中支援、ランドマーク・プログラムの招致などを通じ世界と伍するスタートアップ・エコシステム拠点都市の形成を推進していくことや、大学を中心としたスタートアップ・エコシステムの強化を推進していくこととされている。

大学等の革新的な研究成果を基にした大学発ベンチャーの市場価値は、2兆円程度まで成長している。一方で、わが国における大学発ベンチャーの設立数は、ここ数年は増加傾向にあるものの、依然として一時に比べて低調である。また、わが国では起業意欲が国際的に見て低いのが現状である。教職員・学生の起業意欲やベンチャーへの関心の低さ、アントレプレナー育成への支援体制の不足、日本全体のアントレプレナーシップ醸成が不十分といった点が課題である。

そのため、文部科学省では、2017(平成29)年度より次世代アントレプレナー育成事業(EDGE−NEXT)を実施している。本事業は、これまで各大学などで実施してきたアントレプレナー育成に係る取り組みの成果や知見を活用しつつ、受講生の拡大や、アントレプレナー育成のロールモデル創出加速に向けたプログラムの発展に取り組むことで、アントレプレナーシップ醸成を促進し、わが国のベンチャー創出力を強化することを目的としており、複数の大学が連携したコンソーシアムに対して、アントレプレナー育成のための実践プログラムの開発やそのために必要なネットワーク構築・体制整備等を支援している。

本事業については、これまでに各コンソーシアムの累計で2万人以上の学生や教職員、社会人などがプロジェクトに参加し、受講者のアントレプレナーシップ醸成に一定の成果を上げている。一方、世界に伍するスタートアップ拠点を形成していくためには優れたアントプレナーの輩出、そのためのわが国全体でのアントレプレナーシップ醸成が必要不可欠であり、EDGE−NEXT参加機関のみならず、より裾野を拡大し、拠点都市はじめ各地の大学を巻き込んでいく必要がある。今後はEDGE−NEXTに参画していない大学などや起業家育成を支援する個人や企業、団体なども対象に見据え、EDGE−NEXT関連の積極的な情報発信やマッチング支援などを通じて、日本全体としてのアントレプレナーシップ醸成とエコシステム構築の加速を図っていく。

本格的産学官連携の推進および地域科学技術の振興
このほか、文部科学省においては、大学における企業の事業戦略に深く関わる大型共同研究の集中的なマネジメント体制の構築を支援する「オープンイノベーション機構の整備」(2020年度予算額(案):約19億円)に取り組むとともに、地域の競争力の源泉(コア技術など)を核に、社会的インパクトが大きく地域の成長・国富の増大に資する事業化プロジェクト等を推進する「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」(2020年度予算額(案):約36億円)や、自治体、大学などが中心となって地域の社会課題を科学技術イノベーションにより解決し、未来ビジョンの実現を目指す「科学技術イノベーションによる地域社会課題解決(DESIGN−i)」(2020年度予算額(案):約3千万円)などについて着実に取り組むことで、「組織」対「組織」の本格的産学官連携を通じたオープンイノベーションの加速および地方創生に資するイノベーション・エコシステムの形成を図っていく。