【ロンドン=黒瀬悦成、ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は3日、北大西洋条約機構(NATO)の創設70周年記念の首脳会議に出席するため訪問したロンドンでフランスのマクロン大統領と会談した。トランプ氏は、米通商代表部(USTR)が2日、フランスからの輸入品に最大100%の追加関税をかける準備を進めると発表したのを踏まえ、「フランスとは小さな貿易紛争を解決しなくてはならない」と述べ、協議を進めていく意向を示した。

 USTRは、フランスのデジタル課税が米IT大手を不当に標的にしていると認定し、状況次第ではフランスからの約24億ドル(約2600億円)の輸入品に最大100%の追加関税を課すとした。年明けにも発動される可能性がある。

 トランプ氏は一方で「貿易問題が解決できなければ追加関税をかける」とも警告。ルメール仏経済・財務相は3日、「実施されれば欧州連合(EU)は強力に反撃する用意ができている」と反発しており、対立が激化する恐れもある。

 USTRのライトハイザー代表の声明によると、追加関税の対象となるのは、フランス産のチーズや一部のワインなど63の関税項目。ライトハイザー氏は、デジタル課税は「GAFA」と呼ばれるグーグルやアップル、フェイスブック、アマゾン・コムといった米国企業を「不当に扱っている」と批判し、「米企業に負担を強いる行為に米国が対抗していく明確なシグナルだ」と指摘した。

 USTRは、イタリアやオーストリア、トルコによるデジタル課税制度に対抗するため、追加関税を視野に入れた調査を開始するか検討していると指摘。デジタル課税が拡大する動きを牽制(けんせい)した。米経済の成長を支えるIT大手に他国が課税し、税収が奪われるのを座視しない考えだ。

 フランス政府が今年導入したデジタル課税は、世界で年7億5千万ユーロ(約900億円)、国内で2500万ユーロ以上を売り上げるIT企業を対象に、オンライン広告などの売り上げに税率3%を課す。これに反発したトランプ政権は、7月から米通商法301条を根拠に調査を進めていた。