5月22日に英国のナショナルデーがあり、公式行事に参加させていただいた。
その場において、大阪・関西万博を契機として、英国と日本のあいだの人的なつながりを深めるべく、「MUSUBIイニシアチブ」と名付けられた新たな交流の枠組みが発表された。洋上風力などの技術開発における若手人材育成を主眼とする奨学金制度、サッカー・プレミアリーグのリバプールFCが日本で展開する育成クラブをはじめとするスポーツプログラムなど多分野にわたる。いずれも日英の友好を深めるうえで有意義な事業である。
異色だと感じたのが、世界的に人気の高い日本のキャラクター「ハローキティ」が交流事業のアンバサダーを務めると発表された点だ。ナショナルデーには、ひつじのショーンやくまのパディントン、ピーターラビットなど英国を代表する人気キャラクターが登場、観客を大いに沸かせた。キャラクターを介した外交であり、文化交流というわけだろう。
実際、今回の万博では、従来の博覧会とは比較にならないほど、いたるところにキャラクターを見ることができる。会場内にはガンダム、鉄腕アトム、ポケモン、モンスターハンターなどのオブジェが各所にある。日本館では藻類に変身した32種類のハローキティが展示の目玉である。
地方自治体が主催する行事には、マスコットの「ゆるキャラ」の着ぐるみが登壇するのが常だ。たとえば関西広域連合が出展している関西パビリオンや会場内各所のステージでは、連日のように市町村の催事がある。そこに京都府広報監「まゆまろ」や兵庫県マスコット「はばタン」、奈良県マスコットキャラクター「せんとくん」など、ご当地を代表するゆるキャラが登場すると、多くの人が一緒に写真を撮ろうと集まってくる。
一方、外国パビリオンにもキャラクターを設定しているところがある。たとえばオランダ館ではミッフィの像が撮影スポットになっている。シンガポール館には、マーライオンをモチーフした政府観光局のマスコットである「マーリー」がいる。ドイツ館のマスコットキャラクター「サーキュラー」は、日本の「カワイイ文化」にヒントを得たというふれこみで話題になった。来場する日本人を意識して、各国も独自のキャラクターを用意しているのだろう。
集客施設やイベント会場において、マスコットが入場者を出迎える習慣は、米国のテーマパークとともに世界中に広がった。それを「カワイイ」という形容とともにアレンジし、日本発の文化産業として展開し、海外で支持を得るに至った。
今回の博覧会は、私たちの日本は「カワイイ文化」の国だと、会場全体で自己主張しているように見える。平和な光景でなによりだが、子供たちだけではなくキャラクターに群れる日本人の姿を見て、世界は本音ではどう評価しているのだろうかと思う。
はしづめ・しんや 京都大大学院、大阪大大学院修了。工学博士。大阪市立大教授、大阪府立大特別教授などを経て令和4年から現職。大阪・関西万博の誘致案策定にあたって中心的役割を担った。大阪府出身。64歳。


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