イタリアとの争いを制し、約77万〜12万6千年前の年代を「チバニアン」(千葉時代)と命名できる見通しになった日本の研究者チームは14日、都内で会見し「本当にほっとした」などと感想を語った。主なやり取りは次の通り。

 −−率直な感想を

 岡田誠・茨城大教授「これからの本選に進むことができたという位置付けだ。今後は3段階の審査が行われ、地質年代の基準地としてふさわしいか決められることになる。第1次審査で落とされたらおしまいだったので本当にほっとしているが、最終審査で駄目になった例もある。気を引き締めていきたい」

 亀尾浩司・千葉大准教授「メールで連絡をもらった。よかったなと思ったのが最初の感想だ。まだやらなければいけないことがいっぱいあるので、それがすぐに気になった」

 久保田好美・国立科学博物館研究員「正直、とてもうれしいなと思った。研究人生の中で、こういうことに関われるのは非常にいい機会なので、今後も研究をどんどん頑張っていきたいと思っている」

 岡田氏「たぶん、決選投票になるだろうと思っていた。やはり候補が3つあって、6割以上の票を獲得するというのはかなりの差がつかないといけないので、まだしばらく待つのかなあと。もちろん、負けるということも可能性としてあったので、そうなったら雲隠れしようかと思っていた。まさか1回で通るとは思っていなかった。だから、申請メンバーはみんなびっくりしている」

 −−16人の審査委員から11票を得る圧勝だった

 岡田氏「選ばれなかったらどうしようと思っていた。冷静に考えると、ビリということはないと思っていた。でも、今後の審査で何が起こるか分からないから『やった!』という感じではない」

 −−勝つことができた理由は

 岡田氏「私たちに言えるのは、われわれのチームが集めたデータが、いちばんいいという評価をもらったということだ。もともと千葉は、地磁気の逆転がきちんと記録されているのが強みだった。しかしイタリア側も、その他のデータをいろいろ集めていた。イタリアの方がはるかにいい部分もあった。そういうところを覆すため、地磁気の逆転以外に、花粉やプランクトンについても遜色ないデータを集め、総合的に取りまとめた。イタリアにあって日本にないデータをなくす戦略だった」

 −−地磁気逆転の痕跡が明確なら、方位磁石を持っていったら分かるのか

 岡田氏「現地に行って磁石を近づけても分からない。磁力は弱いため、かなり感度の高い磁力計で測らないといけない」

 −−以前、これが最後のチャンスと言っていた

 岡田氏「名前を付けることができる地質年代は、もう、ほとんど残されていない。だから、これが最後のチャンスだと言った」

 −−最終決定はいつか

 岡田氏「(第1次審査は)議論に3カ月、投票に1カ月と計4カ月かかった。今後は審査が3段階あるので、およそ1年かかることになるが、正確にはよく分かっていない」

 −−今後の審査をクリアするためには

 岡田氏「申請書には多様なデータを盛り込んだが、まだ論文にしていないものも多い。きちんとした国際的な学術雑誌で査読を経て論文発表し、データの信頼性を高める必要がある。これから少なくとも4〜5本の論文を作らなくてはならない。今後が正式審査。ベストを尽くすしかない」

 亀尾氏「(最終決定に)間に合わせられるよう、論文投稿を頑張る」

 −−数多くの人たちの協力でここまで到達できた

 岡田氏「この研究の意義に対する理解が得られて、さまざまな分野の方から協力を得られた。皆さん本当に努力してくれて、感謝している。これで負けたら本当に申し訳ないと思っていたが、こういう結果となってよかった」

 −−正式に決定したら、どんな位置付けになるか

 岡田氏「時代の境界の決定には古地磁気を見なくてはいけない。放射性同位体も使わなければいけない。さらに花粉や微化石など、多様な要素が絡み合っている。これらについて、興味を持って学べるいい材料になるだろう」

 −−地学への関心も高まるのではないか

 久保田氏「地学教育の普及などに活用していければと思っている。国立科学博物館には、はぎ取りをした地層が展示してあるので、博物館でもいろいろな普及活動をしていきたい」

 −−地元の千葉県市原市では天然記念物指定への動きが進んでいる

 岡田氏「天然記念物という形がいちばん適切だということで、市原市教育委員会にお願いして、天然記念物に指定できないか頑張っていただいている。ぜひ、その方向で進んでいただきたいと期待している」