遊園地と動物園を併設する「みさき公園」(大阪府岬町)が、動物の餌代などをまかなうため、インターネット上で個人から寄付を募るクラウドファンディング(CF)を導入。目標を大きく上回る支援金を集めた。ただ、これで買える餌の量は限られたもの。同園を運営する南海電気鉄道には、資金集め以外にも狙いがあるという。(阿部佐知子)

想定以上の202人

 みさき公園は開園60年を迎えた今年4月、運営資金として一口3千〜5万円の支援を募った。応募した人は1年間、「動物サポーター」となり、金額に応じたプレゼントや特典を受けられる。

 3千円なら入園券やオリジナル缶バッジを贈り、3万円だと好きな動物の獣舎に名前を掲示、5万円では南海電車に装着されていた、みさき公園開園60周年記念のヘッドマークをプレゼント、といった内容だ。

 募集開始約3カ月で202人から、当初目標の100万円を大きく上回る160万3千円が集まった。5万円のプランは、鉄道ファンの注目も集め初日に“完売”する人気だった。

効率的に寄付

 天王寺動物園(大阪市)や京都市動物園(京都市)、王子動物園(神戸市)なども個人から寄付を募っているが、成果は微妙。年間入場者数で、みさき公園(約35万人)を大きく上回る天王寺動物園(約173万人)でも、個人からの寄付は年間約400万円にとどまる。

 みさき公園が、短期間で想定以上の成果をあげたのは、国内最大規模のCFサイト「Makuake(マクアケ)」を活用したことが大きい。

 主にイベントの開催資金を集めたい団体や、新製品の開発資金を求めるベンチャー企業などが利用するサイトで、支援したい人はクレジットカードなどを使って簡単に寄付ができる。団体や企業としては市場動向を把握するのにも便利な仕組みで、利用が急拡大している。

真の狙いは

 みさき公園では、以前から来園者だけでなく、遠方からも「動物に食べ物やおもちゃのプレゼントをしたい」といった申し出が多くあった。しかし、受け入れる仕組みがないために断っていたという。そこで着目したのがCFだった。

 今回、目標を上回る額が集まったとはいえ、南海電鉄によると餌代の「ごく一部」しかまかなえないという。ただ、担当者は「取り組みを通じてファンを増やすことが最大の狙い」という。CFは全国にアピールするのに格好の手段だ。

 みさき公園の入園者は、昭和41(1966)年の年間96万人をピークに減少傾向にある。少子高齢化もあって厳しさを増しており、魅力を再確認してもらうことや新たなファンの獲得が最重要課題となっている。CFで資金調達と話題作りの一石二鳥を狙う。