葵祭のハイライトとなる王朝行列「路頭の儀」が15日、京都市で催された。NHK大河ドラマ「光る君へ」の影響で源氏物語や平安時代への関心が高まる中、沿道には多くの見物客が詰めかけ、動く平安絵巻に魅了された。

「葵祭は国の安寧を祈って行われた行事と聞いている。平和を祈りながら心を込めてご奉仕したい」。葵祭のヒロイン、斎王代を務めた京都市中京区の会社員、松浦璋子(あきこ)さん(22)はそう語り、重さ約30キロの十二単(ひとえ)に身を包んで腰輿(およよ)に乗り込んだ。

実家は、新選組と縁が深い律宗大本山の壬生(みぶ)寺(同区)。葵祭行列保存会によると、寺出身の斎王代は松浦さんで3人目という。

この日、父で同寺貫主(かんす)(住職)の俊昭さん(56)ら家族が、京都御所での行列の出発を見届けた。俊昭さんは「二度とないご縁をいただいた。道中もお務めを立派に果たしてほしい」と目を細めた。

今春、追手門学院大を卒業し、旅行大手JTBに就職したばかり。研修を経て京都支店配属となり、先輩社員と営業に回ったり、ツアーの見積もりを作ったりと、新社会人として祭り直前まで忙しい日々を過ごした。大型連休には過去の斎王代の映像を見て心構えを胸に刻み、この日を迎えた。

「葵祭には歴史と伝統がある。後世に引き継ぐことが重要で、そのバトンを受け取った」。斎王代の意義をかみ締めながら、松浦さんが力を込めた。(田中幸美)