直径10センチにも満たない手のひらに収まる豆皿、そばのつけ汁を入れるそばちょこなど、小さな和食器が人気を呼んでいる。バリエーションが豊富で値段も手頃。どんな料理でも一口サイズに盛り付ければ懐石料理のような華やかさに。夏バテで落ちがちな食欲を刺激する効果もあるという。(榊聡美)

◆個性豊かなデザイン

 用途や大きさが決まっていて、形も画一的な洋食器とは対照に、和食器は大きさや形、色が多彩でバリエーション豊富なのが魅力だ。

 「最近は伝統的な製法を守りつつ、デザイン性を取り入れた若手陶芸家の器が人気を集めています。洋食を好む若い世代にも『日々の器』として支持され、注目が高まっています」

 おしゃれな和食器を数多く扱う生活雑貨の通販サイト「アンジェ web shop」(http://www.angers−web.com)を運営する、セレクチュアー(東京都品川区)広報の苅谷知美さんはこう話す。

 かわいらしいデザインが増えた豆皿やそばちょこは、とりわけ人気が高い。同サイトでは九谷、益子など全国の名産地の窯元、人気作家の豆皿を集めた「夏の豆皿市」を開催している。

 その形はシンプルな丸、四角からひょうたん、富士山といった縁起物、花や小鳥をかたどったものなど個性豊かで、眺めているだけでも楽しい。

 さらに同社は、実際に手に取って見てもらおうと、7月中旬に東京・目黒のギャラリーで、豆皿やそばちょこを中心に、約180種類の器を展示販売する「小さなうつわ市」を開いた。

 お目当ての作家の器を手に入れようとオープン前から列ができ、早々に売り切れるものも。その人気陶芸家のひとりが、長野県上田市在住の阿部春弥さん(35)だ。

 「豆皿は最近、制作が増えています。器は大きくても小さくてもかかる手間は同じ。むしろ小さいからこそ、細かいところまで手が抜けません」と阿部さんは話す。

◆少しずつ見栄えよく

 小さい器の魅力は見た目のかわいらしさだけではない。値段は数百円から“作家もの”でも1500円前後と比較的手頃なため、集めやすい。たくさん集めても収納に困らない。

 フードコーディネーターの吉村正恵さんは、器としての万能さを強調する。

 「豆皿は料理をはじめ、たれや薬味、デザート、さらにアクセサリーまで、何でものせられます。そばちょこも湯飲み、小鉢として使えて、夏はプリンやアイスなど冷たいデザートを盛るのもお勧めです」

 出来合いの総菜、冷蔵庫の残り物も、豆皿にちょこんと盛り付けて食卓に並べれば懐石料理のような趣に。また、大皿より、小さな器で“量は少なく種類を多く”盛り付けた方が、食が細いシニアや、夏バテで食欲不振のときは食欲がわきやすく、食べやすいという利点もある。

 上手に使うコツを吉村さんは、「形が異なる器を組み合わせ、目いっぱい盛りすぎずに一口サイズに品よく。トレーやランチョンマットなどにのせてコンパクトにまとめると、ぐっと見栄えがよくなります」。