■在校生「身近な問題と感じた」

 北朝鮮による拉致問題への理解を深めようと、川口市出身の特定失踪者、藤田進さん(61)=失踪当時(19)=の出身校の県立浦和高校(さいたま市浦和区)で、藤田さんの弟、隆司さん(59)による講演会が19日に開かれた。3年生約370人が参加し、隆司さんの話に熱心に耳を傾けた。(宮野佳幸)

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 講演会は、同高で3年次に実施している国際的な人権問題を扱う教育の一環として開催。北朝鮮に拉致された日本人を救出する埼玉の会(救う会埼玉)の提案を受けて実現した。講演会に向け、教員から指導を受けた各クラスの担当生徒が授業をする形で拉致問題の事前学習もした。

 講演会の冒頭で、隆司さんは拉致問題について「最大の人権侵害」と断じ、「拉致問題を日本が安全、平和かを考えるきっかけにして、進行中の大問題と認識してほしい」と述べた。

 政府が認定している拉致被害者で今も帰国していないのは12人だが、そこに藤田さんは含まれていない。隆司さんは「拉致問題は知られているが特定失踪者は知られていないので、直接学校に来て話をしている」と現状を訴えた。

 さらに、体育の先生を目指していたという藤田さんの「将来に対する選択の自由が奪われた。絶対に許してはいけない」と語った。

 講演会の最後に隆司さんは「罪のない日本人を国内に入り込みさらっている。こんなことを許し続けていいのか」と訴え、「安全な日本を作るのは私たち一人一人で、そういう意識を持っていないとまたやられる。拉致被害に遭わないためにも、真実を知ってもらうきっかけになれば」とメッセージを送った。

 講演を聴いた男子生徒(17)は「進さんが浦高の先輩だと初めて知って驚いた。被害者はたくさんいて、身近な問題だと感じるようになった」と感想を述べた。教員を目指しているという別の男子生徒(17)は「今日の話を聞けた人は少ないと思うので、それを伝えていきたい」と話した。