注目の銘柄群が米ウォール街に存在する。その名は「FAAMG」。

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手のフェイスブック、電子商取引最大手のアマゾン・コム、スマートフォンで知られるアップル、パソコンの基本ソフト(OS)のマイクロソフト、そしてネット検索のアルファベット(旧グーグル)。米国を代表する情報技術(IT)業界の大型株である。

 この5銘柄の頭文字を並べると「FAAMG」になる。フェイスブック、アマゾン、有料動画配信最大手のネットフリックス、アルファベットを足した人気株の「FANG」から派生した呼称でもある。

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 その「FAAMG」の株価が快調だ。アップルで49%、マイクロソフトで33%上げるなど、「FAAMG」の時価総額を加重平均して株価指数として計算すると、過去1年間で49%も上昇した。年初来で21%高だ。

 米大企業500社の時価総額を加重平均したS&P500種は過去1年間で14%高、年初来では7%高。エネルギーや金融といった「オールド・エコノミー」中心で構成されるダウ工業株30種平均で18%高、7%高だから、「FAAMG」の勢いの強さが際立っている。

 「FAAMG」人気の理由はいくつかある。まずはテーマ性だ。

 他人と分かち合う「シェアリング・エコノミー」「ビッグデータ」、人工知能の「AI」といった次世代ビジネスの最先端を担うキーワードを「FAAMG」は体現している。

 昨年11月の米大統領選でトランプ氏が勝利すると、規制緩和や社会資本投資、減税といった政策を材料に「オールド・エコノミー」が買われる場面があった。だが、米国経済の潜在成長率は2%台半ばにすぎない。

 「FAAMG」構成銘柄の過去1年の1株当たり利益成長率をみるとフェイスブック29%、アップル9%、アマゾン37%、マイクロソフト10%、アルファベット20%だ。

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 アップルとマイクロソフトは自社株買いを本格化させている効果もあるが、フェイスブックとアップル、アマゾンは小型株のように売り上げを伸ばしている。「FAAMG」は夢がある銘柄群なのだ。

 「FAAMG」はちゃんとキャッシュフロー(現金収支)を稼いでいるので、ITバブルと単純比較することはできない。先行投資重視のアマゾンなどは利益があまり出ていないため割高感があるのだが、稼いでいるキャッシュフロー内で再投資している。

 だが懸念材料がある。人気が集中し過ぎていることだ。

 「グロース」と呼ばれる成長銘柄としてとらえる投資家もいれば、「モメンタム(勢い)」投資の一環として買う向きもいる。ヘッジファンドも投資信託も機関投資家もポートフォリオをみると、上位には「FAAMG」が必ず顔を出す。

 赤信号みんなで渡れば怖くない−ではないが、周囲が持っているので「買い安心感」がある。このため、食品や電力のような景気循環に左右されにくい銘柄群と同じように、「FAAMG」のボラティリティー(変動性)は低下しているのだ。

 「FAAMG」は成長と引き換えに、巨額の設備投資を要する。そもそもITは景気に敏感な業界だ。

 長引く超低金利政策が解除に向かい、足元の「FAAMG」は乱高下となっている。

 それでも「FAAMG」の相場全体の上昇に対する寄与度は大きい。IT企業中心で構成されるナスダック総合指数で、年初からの上昇率の約5割が「FAAMG」である。金融市場のリスク感応度のリトマス試験紙として「FAAMG」から目を離せない。(産経新聞ニューヨーク駐在編集委員 松浦肇)