「島根県、広島県、高知県の上空を通過することになる」。対北圧力を強めるトランプ米政権に対し、グアム島周辺への包囲射撃を検討すると威嚇に出た北朝鮮。10日には朝鮮中央通信が日本の地名を挙げ、ミサイル発射計画の詳細を伝えた。半島情勢が一段と緊迫度を増す中、名指しされた形の各自治体や漁業関係者らの間には「どう対応すればいいのか」と不安と困惑が広がった。

 島根県防災危機管理課では、消防庁への照会など朝から情報収集に追われた。担当者は「これから盆の連休に入り、人員も手薄になる一方で人の流れは増える。どのように身構えたらいいのか」と嘆息。県内の市町村には改めて全国瞬時警報システム「Jアラート」の作動状況を確認するよう通知する方針で、「あらゆるチャンネルを使って注意を喚起するしかない」と気を引き締めた。

 同じくミサイルが上空を通過するとされた広島県の危機管理担当者は「現段階では発射期間の通告もなく、十分な情報がない」と戸惑いを隠せない。朝鮮人民軍は8月中旬までに計画をまとめたうえで、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の「命令を待つ」としているが、実際に動きがあるのかは未知数だ。当面できる措置として「情報収集」と何度も繰り返した。

 一方、高知県漁業協同組合連合会の松沢英八郎参事(63)は「これまで高知の太平洋側に北朝鮮のミサイルが発射されることはなかったため、身近には感じていなかったのが正直なところ。どう指示をすればいいかも分からない」と不安がった。

 松沢参事によれば、現在はカツオ漁の最盛期で、マグロ漁も始まったばかり。高知の漁業者は東西の広範囲の海で操業しているが、ミサイルがどの地点に落ちるか分からない以上、回避行動も取りようがない。「生活のためにやっている漁業者がほとんどで、ミサイル発射で漁ができないとなると痛手は大きい。何の意味があるのか、怒りを覚える」と憤った。

 高知と近い海域で漁業者が操業する和歌山県でも、北朝鮮の宣言を受けて緊張が高まった。県の防災担当者は「ミサイルはどこに落ちるのか分からない。警戒を強めたい」と語った。