私には、中学3年生から小学1年生まで5人の子供がいる。優しい子に育って欲しいという願いを込めて、全員に「優」という漢字を用いた名前をつけた。

 5人の子育ては楽しく、幸せな瞬間も多いが、やんちゃな子供たちの間ではもめ事も絶えず、些細(ささい)なことが原因でケンカに発展する。朝から晩まで、イライラし、ガミガミと大声で怒る毎日だった。周りの人からは、上手に育てていると声をかけられることもあったが、本当はそうじゃないのに、と落ち込んだ。毎日怒ってばかりの母親に育てられて、優しい子になるはずがないと途方に暮れた。

 ある日の朝、朝食のパンとフルーツが子供たちの分しかなく、私は朝食抜きのつもりで、仕事に行く用意をしていた。すると、「はい、ママの朝ごはん」と、子供たちみんなが少しずつ自分のパンとフルーツを集めて、十分すぎる朝食ができあがっていた。反抗期真っただ中の中学3年生の長男は、自分のパンの半分を提供してくれていた。みんな食べ盛りで、ただでさえ、お腹いっぱいにならないだろうに。

 日々思い返せば、小さな優しさをたくさんもらっている。「ママが食べないなら俺はおかわりをしない」と言う長男、友達からのお土産のお菓子を必ず半分私に持ってくる長女、足をマッサージしてくれる次男、「ママは美人だよ」と言ってくれる次女、忙しそうにしている私を見て「後でいいから牛乳いれて」とコップを用意してじっと待っている三男。どれもこれも、子供たちからの小さくて、大きな優しさである。

 朝食の出来事をきっかけに、この子たちの母親である自分に、ほんの少し、自信と誇りを持つことができるようになった。

吉田育代(43) 看護師 堺市東区