舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市平)で11日、戦争やシベリア抑留の記憶を伝える「語り部」として、舞鶴市立若浦中学2年生の井上鈴奈さん(14)、谷口喜蘭(きら)さん(14)の2人がデビューした。同館で語り部活動を行っているNPO法人「舞鶴・引揚語りの会」のサポーターとしての活動で、中学生の語り部は初めて。2人は「抑留者が強い思いを持って生き延びたことや家族を思っていたことを、(戦争を)二度と繰り返さないように伝えたい」と話した。

引き揚げ犬「クロ」の物語も

 同記念館では平成27年10月、シベリア抑留の資料がユネスコの世界記憶遺産に登録が決定し、入館者が増加。語り部の高齢化もあり、増員のため、同記念館と同NPOは22年から中断していた「語り部」養成講座を27年に再開した。

 井上さん、谷口さんは同中学2年の藤原暖(はる)さん(14)と3人で、29年1月からの講座に参加し、12の講座すべてを修了した。同NPOの規約は「会員は社会人」としているため、3人は会員ではなくサポーターとして、語り部活動を行うことになった。今回、藤原さんは部活動などのため、参加が見送られた。

 この日、井上さんと谷口さんは、所蔵品の「白樺(しらかば)日誌」や収容所を再現したコーナーなどで来館者に対応。収容所のコーナーでは「食事のパンは、はかりで量られていました。なぜかわかりますか」などと問いかけながら、抑留者の生活を説明した。

 また、セミナールームでは、シベリアで抑留者の心を支え、一緒に日本に引き揚げた“引き揚げ犬”のクロを描いた紙芝居を読み上げた。

子供たちが子供たちの目線で

 井上さんは「(収容所は)窮屈で、毎日がつらかったことを伝えないといけないと思いました。最初にしてはよくできました」。谷口さんは「緊張して真っ白になりましたが、練習通りにできました。白樺日誌に書かれている家族を思う和歌の大切さを伝えたい」と話していた。

 若い世代の「語り部」誕生について、同NPOの宮本光彦会長(70)は「夏休みで子供の来館者が増えるなか、子供たちの目線で話してくれた。若い人が若い世代に伝えてくれることが、うれしい。(戦争や抑留の記憶を)次世代にバトンタッチしやすくなった」と目を細めていた。