衆院憲法審査会の幹事会が12日開かれ、自民党と公明党、日本維新の会、国民民主党、衆院会派「有志の会」の5党派でまとめた緊急時の国会議員任期延長を可能にする憲法改正骨子案が示された。衆院自民は賛意を得やすい項目だと期待するが、参院自民は現行憲法にある「参院の緊急集会」の役割を重視する立場だ。憲法改正を党是に掲げる自民が衆参の「溝」を埋め、結束できるのかが焦点となる。

条文案の一歩手前

大規模自然災害や戦争などの選挙困難事態下で国会機能維持を図るための骨子案は、維新、国民民主、有志の3党派案に自公の意見を反映させたものだ。関係者は「改憲条文案の一歩手前まで来た。秋の臨時国会以降の議論の出発点になる」と解説する。立民は提示に後ろ向きだったが、議事録に残らない幹事会に示すことで折り合った。

自民の船田元氏は幹事会後の憲法審で、骨子案について「次のステップに向けた大きな前進だ」と強調した。他の4党派も骨子案の意義や憲法改正につなげる必要性を訴えた。

一方、立民の武正公一氏は「選挙困難事態の立法事実はない」と改めて議員任期延長措置は不要だと訴えた。れいわ新選組と共産党も同様の見解を示した。

「参院選に影響」

衆院5党派の結束は強いが、任期延長の改憲が実現するかは見通せない。「参院の緊急集会」の役割が軽視されることへの懸念が参院で根強いためだ。

自民が10日の党会合で骨子案提示について水面下で協議したところ、参院自民の出席者から「参院選に悪影響を与える」などの反対論が噴出したという。

11日の参院憲法審の幹事懇談会に出席した立民関係者も参院自民の不満を暴露。幹事懇後、記者団に「自民側は、参院選で参院をないがしろにするようなことをやるのかという感じで、『選挙前に余計なことをしやがって』みたいなことを言っていた」と明かした。

船田氏は記者団に参院自民の意見を骨子案に反映させたことで対立は解消したとの認識を示した。しかし、立民の閣僚経験者は「議論を進めるほど自民内が割れている状況が明らかになる」とほくそ笑む。

「さいは投げられた。秋の臨時国会では速やかに起草委員会を設置し、骨子案を土台に憲法改正原案の作成に入るべきだ」。維新の馬場伸幸氏は12日の衆院憲法審でこう訴えたが、議論を牽引すべき自民の現状は心もとない。(内藤慎二、末崎慎太郎)