25日の投開票に向けて、舌戦が繰り広げられている横須賀市長選の候補者3氏の横顔を紹介する。(届け出順)

 □林伸明氏(51) 無新・共

 基地問題市民に選択肢を

 「横須賀は基地のまち。基地問題を抜きにした選挙戦はあり得ない」

 市中心部にある米海軍基地や原子力空母配備などの是非を問うため、出馬を決意した。

 「北朝鮮のミサイルが横須賀市を標的にしてもおかしくない。そんな時に基地問題を発信しなくていいのか」と市政に疑問を投げかけ、「市民に選択肢を示そうと考えた」という。

 争点化を狙う基地問題について、「基地や空母はすぐになくせるわけではない」と前置きしつつ、「撤廃に向けた方向性を示したい」と意気込む。

 エネルギー政策に関して、国に対して積極的な発言を目指す。「世界的な流れに逆らって原発再稼働や石炭火力発電を進めている」と安倍晋三政権を批判。東京電力などが同市久里浜で計画している火力発電所新設について「東京湾に火力発電所はさらに必要なのか。ストップさせたい」と強調し、再生可能エネルギーの推進を図る考えだ。

 公約として市民生活と福祉の向上を掲げる。「市は財政調整基金をため込んでいる。基金の一部を活用することで、市内の経済活性化につながるような政策を打ち出したい。市民の暮らしはいくらでもよくできる」とした。

 沖縄の米軍基地の様子を描いた小説を執筆した経験もあり、基地問題をテーマとした絵画を手がけるなど“芸術家肌”の一面もある。

 ハイキングも趣味の一つで、休日には息抜きをかねて「近くの山を3時間ほど歩く」という。横須賀市の魅力を「海と緑に囲まれた豊かな自然環境」として、最近では横浜市の大丸山や横須賀市の鷹取山に出向いた。「体を動かし、健康や体調管理に気をつけている」と笑顔をみせた。

 □上地克明氏(63) 無新・自民公

地元横須賀の復活「責務」

 「横須賀に輝きを取り戻したい」。「横須賀で生まれ育った唯一の候補者」として、「横須賀を復活させるのが(自分に課せられた)責務だ」と言い切り、精力的にまちを奔走する。

 政治家としての原点は、父親の壮絶な戦争体験による苦しみを目の当たりにした少年時代にある。沖縄出身の父親は先の大戦のニューギニア戦線で玉砕した部隊の中で数少ない生き残りだった。復員後、占領下の沖縄から本土へと渡り、米軍景気でにぎわう横須賀で家庭を築いたが、「戦場での体験を思い出して暴れ出すことが日常だった」と振り返る。

 その苦しみから逃れるためにも、「世の中を変えていかなければならない」と心に期し、小学4年のころには政治家を志すようになったという。

 早大進学後、改革派の国会議員により旗揚げされた「新自由クラブ」を率いていた横須賀市出身の田川誠一衆院議員の門をたたき、卒業後に秘書となった。市議当選後は地域政党を立ち上げ、市内の中小企業振興を図る条例制定に尽力するなど、一貫して、市民目線での政治活動を続けてきた。

 横須賀復活に向けた処方箋として、「豊かな海とビジネスを融合させた海洋都市構想」「音楽やスポーツの力でにぎわいを創出するエンターテインメント都市構想」「谷戸に新たなコミュニティーを築きあげる谷戸再生構想」の3つを掲げる。

 自身もバンドのボーカルを務め、CDを製作するなど音楽好きは有名。「国際音楽フェスを開催し、まちぐるみで若手アーティストを育成していきたい」との夢を抱く。

 長男はタレントの上地雄輔さんで、「生まれたばかりの孫の姿を見ることが何よりも楽しみ」と顔をほころばせた。

 □吉田雄人氏(41) 無現

市民と対話街頭活動1700日

 長年にわたり官僚出身市長をトップとしてきた市政から大きな転換を果たした初当選から8年。市民との対話を重ね、市内各駅前で行う街頭活動は1700日を超えた。

 「政治家にとって、伝えることは何よりも大事。横須賀を動かすのは特定の人間ではなく、一般市民なのだから」。この信念を貫き、時には議会との軋轢(あつれき)も生みながらも、さまざまな政策を実現してきた。

 「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」との市民の声を受け、地域医療の体制強化を図った結果、在宅死亡率を全国トップに引き上げるなど、その政策力は折り紙つきだ。

 「選ばれるまち横須賀」をビジョンに掲げており、企業や観光客の誘致に一定の成果を挙げ、手厚い子育て施策も打ち出した。しかし、人口減少といった課題も残ったままで、「まだまだ道半ばだ。これから花を咲かせ、実を結ばせる」と3期目に意欲をみせる。

 早大在学中は数々の政治家を生み出した「雄弁会」に所属する一方で、小説家を目指し、「群像新人文学賞」に応募したことも。その後に就職したコンサルティング会社で省庁や地方自治体の業務電子化を請け負うプロジェクトに携わったが、「政治が機能しなければ何も決まらない」ことを痛感。政治家を目指した。

 現在、市長として多忙な日々を送り、「家族との時間もなかなかとれない」とするが、夏祭りシーズンを迎え、「はんてんに袖を通してみこしをかつぐのは、真っ白になれる瞬間」と笑顔をみせる。

 若さと体力を維持するため、ジョギングや、筋トレも始めた。走りながら横須賀の海や山の風景を眺める瞬間が心地よいひとときで、「いつかフルマラソンを走り抜きたい」と夢を語る。