《築地市場(東京都中央区)の移転問題をめぐる東京都の小池百合子知事の臨時記者会見。ここまで築地市場については比較的多く語られたが、小池氏は豊洲市場(江東区)についてあまり多くを語っていない。ここで初めて、『豊洲市場の可能性』と題した文書が示された》

 《そこには羽田と成田に近い豊洲という地の利が触れられ、環状2号線が開通すればより便利になると説明されている》

 「豊洲市場では市場機能、その中でも移転配送機能を維持発展させることで、新たなビジネスチャンスも出てくると思っています」

 「これはあまり知られていないことですが、2020年からHCFCフロン規制が強まり、各地の業務用冷凍冷蔵庫の更新需要が期待される時期に差し掛かります。そのため、冷凍冷蔵庫を兼ね備えたセンターというのは大きな可能性があります」

 《HCFCフロン規制は、国のフロン排出抑制法に基づく新たなフロンガス規制だ。環境相を務めた小池氏だけに、環境問題は雄弁だ。会場にあるモニターを示しながら、冷凍冷蔵庫を兼ね備えた物流施設の可能性について話を進めていく》

 「冷凍倉庫の需給ギャップの拡大ということですが、この表からごらんいただけます。大型物流施設の実質的な賃料は特に、東京湾岸エリアでは上昇しているということなので、中央卸売市場に加えて、ITを活用した新たな物流拠点にもなり得ます」

 「そこで、豊洲への過剰投資ともいうべき繰り返しを、築地市場のワンショット売却で充当すべきではありません。築地市場の土地は売却せず保有して、むしろ、有効活用することで、キャッシュを継続的に創出できるのではないかと考えております」

 「豊洲は将来的に物流機能を強化した中央卸売市場プラス物流センターとして経営に徹することで、赤字の負担を軽減しつつ存続も可能としていくという考え方。よって、豊洲、築地を両立させるのが最も賢い使い道ではないかと考えております」

 《小池氏はさらに、今回の問題で生じた混乱について言及。信頼回復をどう図っていくかについても見解を示した》

 「東京都の信頼回復については、築地再開発、豊洲市場活用の具体案を都民との対話の場の中で情報公開しながら検討してまいります。築地の再整備ですが、それぞれの方が選択をすると思うが、経営支援については(今後)検討してまいります。それから、築地市場の街づくりについては、場外市場の方、新規の参入の方などを含めた工程表を作成したいと考えております」

 「また、築地の用地については土壌汚染調査、文化財調査などが必要になってきます。あっちこっちにいって恐縮ですが、豊洲移転については、専門家会議で提言された地下空間工事、モニタリングなどをしっかりとすることが大事です。豊洲市場の安全性は情報公開をすることによって、風評被害を払拭してまいりたいと思います」

 《安全性をめぐって混乱した豊洲。風評被害の払拭は容易ではないが、小池氏は対策を講じていくとした》

 「東京都の信頼回復のための行動として、豊洲市場移転後、豊洲市場の使い勝手を改善していきます。そのために、施設改修、使用ルールの整備などを行っていきます。そして、豊洲市場の経営を改善していきます。経営収支の改善を図ってまいります」

 「環境の監視として、地下水の管理、付近の交通量の調査などをしながら安心安全の確保に努めていきます。支援については、業者のみなさんの経営相談を行い、政策を講じてまいります」

 《会見時間も残り少なくなってきた。小池氏は、これまで述べてきたことのまとめに入る》

 「改めて、3つの基本方針をまとめると、築地市場は5年後をめどに再開発をしてまいります。環状2号線は五輪前に開通させます。築地市場の跡地は当面、五輪用の輸送拠点として活用します。その後、食のテーマパーク機能を有する新たな市場として東京を牽引(けんいん)する一大拠点としてまいりたいと思います」

 「そして、豊洲中央卸売市場ですが、冷凍冷蔵、物流、加工などの機能をさらに強化することによって、将来に渡る総合物流拠点にもなり得るという考え方。築地の再開発と豊洲市場利用の具体案については、事業者と都民とのオープンな場を設け、広く情報公開をしながら検討をしていきます。東京都は業者、都民の皆さまの信頼を回復するよう徹底的に努力をしていきます」