荒井が銀、小林が銅−。日本競歩初のダブルメダルの快挙は「オールJAPAN」の取り組みでつかんだといっていい。

 日本競歩は昨夏のリオデジャネイロ五輪で「メダル1、入賞1」という好結果を出し、日本陸連から、2020年東京五輪で表彰台の頂点を狙う「ゴールドターゲット」に指定された。今村文男五輪強化コーチの下、実業団など組織の壁を越えた強化を図っている。例えば、50キロ代表で最年長の荒井。合同強化合宿では周囲のためを思い、時に厳しい言葉を飛ばす立場になった。

 もう一つ象徴的な事例がある。丸尾は20キロから50キロへの転向組。その違いは体づくりや駆け引きを含め、1万メートルとマラソンの違いに例える者もいる。丸尾も「どうしていいか分からず(練習の)方向性が定まらなかった」と明かす。

 そこに救いの手を差し伸べたのが、12年ロンドン五輪50キロ7位入賞の森岡紘一朗(富士通)だった。過去10年分の毎日の練習メニューを惜しげもなくデータで提供。人によっては門外不出の貴重な記録だろう。「頼もしかった」と丸尾はいう。

 これまで日陰の道を歩んできたといわざるを得ない競歩。今回、森岡は代表争いで涙をのんだが所属の垣根を越え、共に競歩を育てようという思いが全員の底流にある。(坂井朝彦)