日本競歩界に新たな歴史が刻まれた。13日にロンドンのバッキンガム宮殿前付近の周回コースで行われた世界選手権の男女競歩。男子50キロでは荒井広宙(ひろおき)(自衛隊)が3時間41分17秒で、この種目世界選手権日本人初の銀メダル、小林快(かい)(ビックカメラ)が2秒差の銅で続き、丸尾知司(さとし)(愛知製鋼)も5位入賞した。男女の20キロ勢には課題も残ったが、さらなる躍進が期待される。

 出場3選手がそろって入賞した50キロについて、日本陸連の今村文男強化コーチは「50キロの方はコンディションがうまくいった。前半から思うような状況だった」と振り返った。

 レースの序盤から世界記録保持者のヨアン・ディニ(フランス)が独走態勢を築き、逃げ切った。リオデジャネイロ五輪の金、銀メダリストが欠場し、銅の荒井は優勝候補だった。「(ディニが)落ちてくるかと期待もしていた」と言いつつ、実際には小林と“共闘”し、冷静に2、3位狙いに切り替えて成功した。

 38キロ過ぎには二人旅になり、「後ろと何秒差」などと声を掛け合った。「荒井さんについていけたのは良かった」と小林。丸尾も前半から2位集団に離される苦しい展開となったが「周りを気にせず、自分のペースで」と脚の止まった選手を着実に捉えていった。

 今村コーチは「ペース配分と、メダルの色を非常に意識していた」と“チームプレー”を高評価した。

 気になったのは20キロ勢だ。男子の藤沢勇(ALSOK)は果敢に先頭に立つなどしたが、終盤に失速。11位に終わって「申し訳ない」と繰り返しつつ「(海外勢は)速かった」と感想を漏らした。国内敵なしの高橋英輝(えいき)(富士通)も“内弁慶”は解消されず、14位。松永大介(富士通)、女子の岡田久美子(ビックカメラ)もピリッとしなかった。

 今村コーチは「50キロは新しいチャレンジをして、もう1ランク上げられた」とする一方、「20キロ(の完成度)は6、7割」と総括。3年後の東京五輪で競歩を“お家芸”とするには、さらなる努力が必要だ。(坂井朝彦)