日本版の衛星利用測位システム(GPS)を担う政府の準天頂衛星みちびき3号機を載せたH2Aロケット35号機は12日午前、鹿児島県の種子島宇宙センターで午後1時40分の打ち上げに向け最終点検作業に入った。

 同日未明、大型ロケット組立棟から発射地点へ移動したH2Aは、午前5時ごろに燃料の注入を開始。打ち上げ時間帯の天気予報は晴れ時々曇りで、発射に問題はないもようだ。発射地点の約3キロ南にあるプレスセンターではカウントダウンに向け、記者らが慌ただしく準備を進めるなど緊張感が高まっている。

 H2Aの打ち上げ成功率は97%で信頼性は世界トップクラスだ。連続成功も28回を数えているが、気の緩みは許されない。打ち上げを行う三菱重工業の担当者は「作業は順調。定められた手順を一つ一つ丁寧に進めている」と語った。

 打ち上げの様子は動画サイト「ユーチューブ」の宇宙航空研究開発機構(JAXA)のチャンネルなどで生中継される。従来は衛星を無事に分離するまで中継されてきたが、6月の2号機では打ち上げ直後に打ち切られ、中継を企画した内閣府に対し「飛行経過や結果が分からない」などと批判が相次いだ。

 担当者は「内閣府として初めての経験で、打ち上げ後の記者会見で結果を説明すればよいと考えたが、認識が薄かった」と説明。今回は衛星を分離するまで配信することになった。

 計画では打ち上げの6分39秒後に第1段エンジンの燃焼を停止し、27分45秒後に第2段エンジンの燃焼を停止。28分35秒後に衛星を分離する。午後3時20分ごろ、関係者らが宇宙センターで会見し、打ち上げの結果を説明する予定だ。

 みちびきは10月ごろに4号機を打ち上げ、高精度に位置を測定できる4基体制で来年度から本格運用を開始する。

 運用中の1、2号機と4号機は日本のほぼ真上(準天頂)に長時間とどまる特殊な「準天頂軌道」を飛行。これに対し3号機は気象衛星ひまわりなどと同様に、赤道上空の静止軌道を飛行する。衛星の場所を分散することで、測定精度が高まるためだ。

 3号機は災害時に被災者の安否や避難所の状況を防災機関に伝える機能も装備。航空機が飛行位置を正確に把握するため、GPSの誤差を補正する信号も出し、4基の中では個性的な存在となる。

 米国が開発したGPSは日本でもカーナビゲーションやスマートフォンなどで広く利用されているが、位置情報の誤差が10メートルと大きい。みちびき4基をGPSと併用すれば誤差は最小で6センチと大幅に減り、車の自動運転や農作業の自動化など幅広い分野で新たな産業やサービスが生まれると期待されている。