【ソウル=名村隆寛】韓国国防省は17日、北朝鮮に軍当局の会談を21日に板門店の北朝鮮側にある「統一閣」で行うことを提案した。大韓赤十字社も17日、離散家族再会事業の実現に向けた南北赤十字会談を8月1日に開くことを北朝鮮側に呼びかけた。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が北朝鮮に当局間会談を提案するのは初めて。国防省によると、軍当局会談は南北軍事境界線付近での「軍事的な緊張を高める一切の敵対的行為」の停止を議題にしたもので、拡声器による政治宣伝放送などが含まれるとみられる。

 文在寅大統領は今月上旬にドイツのベルリンで演説し、朝鮮戦争(1950〜53年)休戦協定締結から64年の今月27日に軍事境界線付近での敵対的行為停止や、離散家族再会の10月4日実施をを北朝鮮に呼びかけていた。

 北朝鮮が提案に応じれば、南北政府当局者間の会談としては2015年12月以来。軍事会談は14年10月の非公開接触以来で、離散家族再会は15年10月以来となる。

 ただ、北朝鮮は朝鮮労働党機関紙、労働新聞(15日付)の論評を通し、文氏の演説を「寝言のような詭弁(きべん)だ」と非難。その一方で、「朴槿恵(パク・クネ)前政権とは違う立場だというのは幸いだ」とし、「政治・軍事的な対決状態の解消が必要」と主張し一定の評価を示している。

 北朝鮮が核やミサイルの開発を続けるにも関わらず、韓国側が歩み寄ったかたちだ。だが、北朝鮮が対話を受け入れたとしても、米韓合同軍事演習の停止などを離散家族再会の条件とすることも予想される。文政権の思惑通りに対話が進展するかは不透明な情勢だ。