ドイツ北部のハンブルクで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議は8日、首脳宣言を採択して閉幕した。各国の主要メディアは自国の指導者の言動を論評した。独紙南ドイツ新聞は議長役を無事務めたメルケル首相にまずまずの評価を与えた。英紙インディペンデントはメイ首相の対米優先姿勢を批判した。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、トランプ大統領の対ロシア接近に警鐘を鳴らした。      

 独紙南ドイツ新聞は10日付社説でG20首脳会議の結果について「騒ぎは大きいが、何もない」との認識を示した上で、「これほど欲求不満がたまるG20は二度とない」と強調した。ただ、事前から議論の難航が予想されていたこともあり、相違を残しつつも、首脳宣言に参加メンバーが一致したことは、議長役として「不屈」に振る舞ったメルケル独首相にとっては「とにかく成功」との見方を示した。

 社説は「米国第一」を掲げるトランプ米大統領のため過去のG20会議で今回が「もっとも厄介だった」とした。その上で、米国が離脱を決めた地球温暖化対策「パリ協定」履行で19カ国・地域がまとまったことは「世界が緊急時に米国なしでも行動できると示した」と評した。

 貿易ではトランプ氏の要求を受け、不公正な貿易相手に対する「正当な対抗措置」を認めた。だが、社説はトランプ氏が「恐れられていたような懲罰的な関税を宣告せず、交渉をひっくりかえしもしなかった」と肯定的にとらえ、メルケル氏のほか、欧州連合(EU)のトランプ氏への強い態度が奏功したと分析した。

 社説では問題はトランプ氏だけでないとも指摘する。「強権的な権力者」のプーチン露大統領と中国の習近平国家主席らにとり、「米国の弱体化は好都合」で、「国際的な協力はさらに危険にさらされるだろう」と警戒した。

 一方、独経済紙ハンデルスブラットは10日付社説でメルケル氏の「外交的綱渡りはリスクをはらむ」と懸念した。首脳宣言はまとまったが、「誰も『米国第一』には立ちはだからない」とのメッセージをトランプ氏に送った形になったとみるためだ。G20では反対デモの一部が暴徒化し、市街に被害が出るなど、大都市での開催に疑問も上がった。同紙はメルケル氏への批判は避けられないとする一方、衝突したのは「左派の暴徒」だと強調した。(ベルリン 宮下日出男)