【ワシントン=加納宏幸】キューバの首都ハバナにある米大使館の米国人職員が身体的被害を受けた問題で、AP通信などの米メディアは10日、米政府高官の話として、人間の耳には聞こえないが身体に悪影響を及ぼす「高度な音響兵器」による攻撃が原因とみられていると伝えた。国務省や連邦捜査局(FBI)はキューバではなくロシアなど第三国が実行したとの見方を強めているという。

 APによると、米大使館では昨年秋頃から原因不明の聴覚障害を訴える職員が出始め、5人が身体的被害を受けた。カナダ大使館でも少なくとも1人の外交官が聴覚障害の症状を訴え、治療を受けていることが10日、明らかになった。

 音響による攻撃は、職員の住居の内部か外部から実行されたとみられるが、外交官らの身体に影響を与えるため実行されたか他の目的があったかは不明だ。捜査状況に詳しい米政府当局者によると、「ロシアなどの第三国」がキューバ政府に知らせずに実行した可能性があるとみて捜査しているという。

 米政府は5月にワシントン駐在のキューバの外交官2人を国外追放処分にしたが、キューバは米外交官らへの攻撃を否定。国務省のナウアート報道官は10日の記者会見で捜査中を理由に詳細な説明を避けた。

 音響兵器としては大音量で暴動鎮圧などに使われる長距離音響発生装置(LRAD)が知られているが、超音波など可聴域外の音波を使った兵器が存在するかは不明なことが多い。