【カイロ=佐藤貴生】アフリカ南部ジンバブエの首都ハラレで15日までに、軍が政府の中枢施設を封鎖し、国営テレビ局を占拠した。軍報道官はテレビを通じ、ムガベ大統領(93)の「周辺にいる犯罪者」の拘束が目的だと述べた。隣国・南アフリカのズマ大統領は15日、声明で、ムガベ氏との電話で同氏が自宅で監禁下にあることを確認したと明らかにした。軍によるクーデターとみられる。

 軍は14日、ハラレの政府庁舎や議会、裁判所などの封鎖に乗り出した。15日には市街で銃声や爆発音が聞こえたが、戦闘などは起きていないもよう。英米政府は自国民に外出しないよう呼びかけた。

 軍報道官は「ムガべ氏周辺の、社会や経済に打撃を与えている犯罪者を法で裁くのが目的だ」とし、クーデターを否定。ムガベ氏や家族は無事だとしている。

 ジンバブエでは先週、ムガベ氏の後継者の一人とされていたムナンガグワ第1副大統領が解任されたことでムガベ氏が妻のグレース氏(52)に権力を委譲するとの観測が広がり、政治的な緊張が高まっていた。ロイター通信などはグレース氏に近いチョムボ財務相や、グレース氏を支持する政党のトップが拘束されたと報じた。

 ムガベ氏は現在の国名となった1980年以来、実権を掌握。大統領在職が30年に及ぶ世界最高齢の首脳としても知られる。2000年代に白人が所有する農場を強制収用するなどの強引な政策を進めたが、農業生産の低下などからハイパーインフレを招いた。反対勢力への弾圧などの独裁的な政治手法が欧米諸国の批判されてきた。近年は体調不良だと伝えられている。

 一方、妻のグレース氏は、豪奢な生活ぶりから、高級ブランドにちなんで「グッチ・グレース」などと呼ばれている。