【江陵=桜井紀雄】韓国で平昌五輪が開幕し、15日から旧正月の連休が始まったが、外国人観光客の主力だった中国からの団体客訪問が低迷したままだ。習近平国家主席も五輪閉会式出席を見合わせる予定で、文在寅大統領が中韓関係の修復を急いで展開した“平身低頭外交”も期待した成果を生んでいないようだ。

 著名儒学者の生家として、五輪会場がある江陵(カンヌン)市を代表する観光地、烏竹軒(オジュッコン)。併設する市立博物館で催された伝統茶を振る舞うイベントには14日、多くの外国人が訪れたが、中国人客は見当たらなかった。担当者は「海外からの団体客といえば、中国人が多かったが、昨年、激減し、最近もあまり見かけない」と話す。

 中国は米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に反発して事実上、韓国への団体旅行を制限。昨年の韓国への中国人観光客は約417万人と前年に比べて48・3%急減した。

 最悪といわれた中韓関係の打開に向け、文氏は昨年12月に訪中し、習氏と関係修復を確認した。THAADの追加配備をしないことなどを事前に表明した上、訪中でも中国側の冷遇が目立ち、韓国内では「屈辱外交だ」との非難を浴びた。

 韓国は五輪を観戦する中国人に15日間のビザなし入国を認める特例も用意したが、観光客の回復にはほど遠い。中国の旅行サイトなどによると、中国人の旧正月連休の海外旅行先で上位を占めてきた韓国は10位内にも入らない“圏外”に脱落。韓国への団体旅行の解禁が北京市など一部に限られているためとみられる。

 中国は五輪開会式に共産党序列7位の韓正政治局常務委員を派遣。劉延東副首相の閉会式出席を発表した韓国外務省は「韓中関係重視の表れだ」と評価した。だが、文氏が繰り返し求めてきたのは習氏の出席だ。

 文政権は北朝鮮との対話を進める一方、安全保障上は米国との協調路線から一歩も抜け出していない。習政権にとって目に見えた成果はなく、次の冬季五輪開催国でありながら、トップが欠席することで不満を示したとも読み取れる。