巨人からソフトバンクにトレードされた秋広優人外野手(22)が15日の西武戦(ペイペイドーム)に「6番・左翼」で出場し、移籍後初安打でチームの勝利に貢献した。

巨人は2020年のドラフト会議で二松学舎大付高の秋広を5位指名。するとソフトバンクのスカウトが巨人のスカウトに「うちも獲ろうと思っていたのに…。あんなに高く評価していると思わなかったよ」と声をかけてきたという。

巨人は下位指名を予定していたが、ソフトバンクと、他のパ・リーグ球団が指名しそうな動きを、秋広の担当だった野間口貴彦スカウト(現オイシックス新潟ヘッドコーチ)が察知。猛プッシュし、5位指名にこぎつけたという。

その年のドラフトはリーグ優勝した巨人が指名順12番目だった。5巡目は巨人からで秋広を指名し、次のソフトバンクは田上奏大投手(履正社高)を指名し、5人で選択終了。その後、巨人は7位まで指名している(育成は12人)。

ソフトバンクは秋広が残っていなかったため5人で終えたのか、その年は8人指名した育成での契約を考えていたのかまでは、申し訳ないが取材していない。野間口氏は「広い二松学舎のグラウンドでも楽々と柵越えするパワーはすごい。背は大きいのに守備や動きも俊敏だった」と秋広の素質にほれ込んだが、巨人が5位指名していなければ他球団のユニホームを着ていたかもしれない。

それだけにソフトバンクにとっては、5年越しの獲得といっていい。今回のトレードは、巨人からリチャード内野手(26)が欲しいと打診されたそうだが、交換要員に秋広を指名したのは当然の流れだったのだろう。

秋広は14日の入団会見で「(ソフトバンクは)すごい選手ばかり。簡単ではないと思いますけど、活躍できるように頑張りたい。ジャイアンツのときに2軍でも1軍でも今年は思うようにいかなかったので、このトレードをいいタイミングにして何とかチームに貢献できたら」と意気込みを語った。

選手層の厚さや、次から次へといい選手が加入してくるのは、巨人もソフトバンクも変わらないだろう。昨年、打てない西武が巨人とのトレードを画策していると聞いたときに、私は「投手はたくさんいるんだから、出血覚悟でローテーション級を出して、秋広と代えられないものか」と考えたことがあった。今回のトレードに「もっとチャンスが多そうなチームならよかったのに…」という気がしなくもないが、ソフトバンクには王貞治球団会長がいる。世界の王の熱血指導で、ぜひ日本を代表するような打者に育ってもらいたい。

■塚沢 健太郎(つかざわ・けんたろう)1994年から記者生活をスタートし、デビュー戦は長嶋一茂退場、翌日はグラッデンvs中西親志大乱闘。野村ヤクルト、長嶋巨人などを担当し、18年から夕刊フジを経て25年2月からサンスポ。19年11月に野村克也さんに公認された「生涯一記者」がコラムタイトル。自称ノムさんを一番取材した記者で「野村派は出世しないぞ」とボヤかれたとおりの人生を歩んでいる。