WBC世界バンタム級タイトルマッチ(15日、京都・島津アリーナ)予備検診が12日、東京都内で行われ、同級王者の山中慎介(34)=帝拳、同級1位のルイス・ネリ(22)=メキシコ=はともに異常なしと診断された。具志堅用高に並ぶ国内歴代1位の13度目の防衛に挑む山中は、黒々とした挑戦者のひげを見て「狙っていく」と宣言。“ひげ面”を標的に、強烈な左ストレートで37年ぶりの大記録を成し遂げる。

 “神の左”を打ち込む絶好のポイントを発見した。初対面したネリの顔、身体などをじっくりとチェックした山中。自信を深め、勝利を確信したような不敵な笑みを浮かべた。

 「自分もヒゲが濃い方だと思っていたけど、ネリに濃さでは負けた。でも、そこで勝負するわけじゃない。(ネリの)顔の色とヒゲの色が違うので、分かりやすい。そこを狙っていけばいい」

 顔の輪郭を覆うように黒々と蓄えられた、ネリのひげ。ボクサーにとって最大の弱点ともいえる顎のラインを、自ら強調したようなものだ。自慢の左ストレートで、その黒い部分を狙い打てば最大級のダメージを与えられる。格好の標的だ。

 体格面でも最高の相性だ。検診の結果、身長で5センチ、リーチで7センチも上回っていることが判明した。「(ネリの)身長1メートル65だと、打ち下ろすわけではなく、真っすぐに(左ストレートを)打てる。ちょうどいい身長」と、山中と大和心トレーナー(42)の意見が一致。KOでのV13達成へのイメージは、膨らむばかりだ。

 準備も万全だ。減量はリミット(53・5キロ)にほぼ到達した。前夜には茶碗(ちゃわん)1杯のごはんに、サバの塩焼き、納豆、ほうれん草のお浸しなどを食べる余裕もあった。

 「きょう走りたいぐらい調子が良いので、いい精神状態でいられる」。1980年に13連続防衛を果たした具志堅用高に並ぶ大一番。プレッシャーと無縁の山中には、大記録がしっかりと見えている。(伊藤隆)