中日春季キャンプ(11日、沖縄・北谷)中日・松坂大輔投手(38)が11日、沖縄・北谷町でのキャンプでキャッチボールを回避した。球団は「しばらくの間、ノースロー調整が続く」と発表。球団によると、数日前にファンと接触した際、右腕を引かれたことで右肩に違和感を覚えたという。今キャンプでは、まだブルペン投球を行っておらず、開幕ローテーション入りを目指す“平成の怪物”にとって思わぬアクシデントが発生した。

 北谷に衝撃が走った。球団はこの日の午後、松坂が当面の間、ノースローで調整すると発表。午前中のキャッチボールを回避した理由は、過去に苦しんだ右肩の違和感−。その原因は何とファンとの接触だった。

 ソフトバンクから加入した昨季は6勝を挙げ、カムバック賞に輝いた松坂の周りには今キャンプも常に熱い竜党が集まっていた。D1位・根尾(大阪桐蔭高)の加入もあり、北谷は連日の大盛況。ファンサービスに熱心な38歳は丁寧にサインを書くなど、その輪は明るい笑顔にあふれていた。この日も球場には5500人の観衆が詰めかけた。

 球団によると、数日前にファンとの交流の中で、右腕を引っ張られるアクシデントがあったという。グリーンカード(米国永住権)取得のための渡米でキャンプを一時離脱し、再合流したのが8日。休む間もなくキャッチボールを行っていただけに、違和感を覚えたのは、その後とみられる。

 この日、松坂はグラウンド上で与田監督、阿波野投手コーチと3人で話し合った。初めて報告を受けた指揮官は「本人の中でも、うまく治るんじゃないか、痛みが消えるんじゃないかとか、(痛みが)起きたときにとんでもない事故になったわけではない、と厳しく考えていなかったと思う。数日間、悩んだと思う。不慮の事故という形になる」と沈痛な面持ちだった。

 首脳陣は報告を受けたばかりで、今後の検査への流れや練習再開、2軍でリハビリに専念するかなどについてはめどを立てられない状況だ。軽症で済めばいいが、ソフトバンク時代に悩まされた右肩に異変が生じただけに、患部の状態が心配される。今キャンプではいまだにブルペン投球を行っておらず、今後の調整遅れは必至で、開幕ローテーション入りもピンチ。与田監督は「病院で診てもらうことになる。松坂がこの(違和感のある)状態で(チームが)全く問題がない、なんてことはない」と苦しい胸の内を吐露した。

 ダッシュや打撃練習で汗を流した松坂は、チームが初の対外試合で完勝を収めた試合中に無言で球場をあとにした。“平成の怪物”が平成最後のキャンプで巻き込まれたまさかのアクシデント。垂れ込めた暗雲を振り払えるか−。 (須藤佳裕)

選手会長の中日・福田「ファンの気持ちは分からないでもない。でも、そこはグッと抑えていただきたい」

松坂に状態について中日・阿波野投手コーチ「今後の状況を見ないと、どれくらいのダメージかわからない」

★松坂・右肩の苦闘VTR

 2015年、ソフトバンクで日本球界に復帰し、4月に右肩の筋肉疲労が判明。5月に2軍で実戦復帰したが、再び異常を訴えて8月に右肩の内視鏡手術を受けた。16年10月2日の楽天戦で、1軍では復帰後初登板。4番手でマウンドに上がり、先頭から4連続四死球など1回3安打5失点(自責2)の大乱調だった。17年はオープン戦で復活の気配をみせたが、再び右肩の不安を訴えて1、2軍通じて登板がなく、11月にソフトバンクを退団した。

★ファンが関連した主なアクシデント

 ◆観客席からビン(1956年) 5月20日の広島−巨人(広島)のダブルヘッダー第2試合で、試合終了後に引き揚げようとした巨人・木戸にビンが当たり、右膝を2針縫った。

 ◆乱入(73年) 10月22日の阪神−巨人(甲子園)。巨人がチーム最終戦で大勝しリーグ9連覇。阪神ファンがグラウンドに流れ込み、巨人・王がげたで殴られそうになったが、かろうじて避けた。

 ◆サイン会があわや(2006年) 11月13日の倉敷キャンプの練習の合間に、阪神・鳥谷が即席サイン会を始めたところ約50人のファンが殺到。内野席とグラウンドを分ける鉄製のフェンスの柱が1本折れ、十数人が1メートル下のグラウンドに転落した。